
各メディア、媒体それぞれの特性と長所を考える
世の中にはさまざまな媒体がある。これに従ってあらゆるコンテンツは作られている。そして各メディアごとにやはり特徴や長所がある。
今回はそこを深掘りしていきたいと思う。
映像メディア
映像は言わずもがな圧倒的に我々の視覚に訴えかけることができる。人間にとって最も優先度の高いこの五感をハックできるのはやはり強いと言わざるを得ない。
実際現在の人々は暇さえあれば何かしらの映像コンテンツを消費している節がある。そう考えるとずば抜けて大衆的である。絵や写真、雑誌なんかもその色が強いと言えるだろう。受動的に片手間でも楽しむことができる。(美容院の最中にファッション雑誌や動画コンテンツをみることはあっても、新書や文芸誌を読む人は少ない)
直感的に理解できるというのは大きな強みだ。動きを見せることができるのも強い。我々が生きている世界に一番近い媒体であると言えるだろう。今後VRが覇権を取って代わるのかは非常に見ものではある。
音声メディア
次に音楽やラジオなどの音声コンテンツはどうだろう。これは逆にメジャーな視覚を使わなくとも楽しめるというのが大きい。息抜きがてら楽しむことができる。実際疲れた時に目を閉じてこれらを聞いていると、いつの間にか脳疲労が無くなっていることに気づける。
それに加えて聴覚には記憶に残りやすいというメリットがある。実際人はその時の音楽や匂いをもとに当時の記憶を呼び起こしてくるのだという。たしかに高校の時に聞いていた音楽を耳にすると、何となくあの時の記憶がフラッシュバックしてくるというのはあるあるだ。
音は我々に特に大きな影響を与える力がある。これはライブ会場に行くとよく分かる。大勢の人が曲に乗って一つになっている様子を目にすることができる。あれは側から見るとある種の狂気すらある。だからこそ人類は国歌とか軍歌とかで士気や一体感を高めてきたのであろう。やはり音は人を突き動かす力が圧倒的である。
対象者の感情や思いを直に感じることができるというのも強い。声には感情が乗りやすい。恋愛系のアニメ作品が原作よりもときめくのはそのおかげであろう。登場人物の感情をより身近に感じることができる。(そう考えると声優さんはすごい。姿を見せず身振り手振りもなしでキャラクターの喜怒哀楽を演じるのであるから)
漫画
次は漫画。絵と文章の合わせ技とも言える日本のお得意コンテンツ。
これはやはり表現力を見ているのが大きいと言えるであろう。絵を実際に動かせない中でどう動いているように見えるのか。白と黒の制約の中でどのようにその濃淡だけで色を表現するのか。一枚絵の構図の中でどのように迫力や躍動感をみせるのかなど。漫画家はここに全力を尽くしている。
そう考えると読者はなかなかに頭を使うことを求められているような気はする。目に見えるもの以上のことを自分で補わなければならないい。仮に中身を知るだけなら、映像作品を見てしまえば色付きで一つの正解を見ることができるのであるから。だからこそアニメから火が付くというパターンが昨今多く現れたのであろう。
だがここの難点としてはどうしても時間がかかるということである。その点漫画なら自分のペースで一気に読み進めることができる。漫画家はこれらも含めて絵の独自性やコマ割りなどで差別化を図らなければいけないのだから大変である。
文字媒体
さてラストは文章。ここまで書いてきたこの文字群もそれに当たる。
これの強みはなんといっても情報の濃さである。インプットのスピードが圧倒的に早い。効率的な情報収集をするだけであるならこれに勝る媒体はまあ無いであろう。ここからも本をよく読む人は頭が良いとよく言われるのがわかる。
そして何より文字の特性としてあげられるのが、筆者の頭の中を追体験することができる点である。やはり文章は多くの人にとって、脳内での思考をできるだけそのままの形で伝え受け取らせるのに最高のスタイルと言える。これはなかなか他の媒体で代替することができない。思索が深ければ深いほどどうしても抜け落ちが生じてきてしまう。文豪原作の映画を見ればそれが特に顕著である。
単なる情報伝達だけなら、映像やAIによる要約で十分な場合もある。そのため、文章を用いる際は「深み」で勝負する必要がある。美しい文体や表現技法も服飾的な楽しみはあるが、本質的には「どれだけ思考を深められるか」が鍵となる。よって哲学的・思想的な内容を深く掘り下げるには、文字媒体が最適であると言えそうだ。
まとめ
メディアごとに異なる強みがあり、用途や目的に応じて適切な媒体を選ぶことが重要になる。
概して、映像は直感、音声は感情、漫画は想像、文章は深度といった特性にそれぞれ強みがあると言えそうだ。
各メディアの特性を理解し、自分の目的に合った使い方をすることで、より豊かな情報体験が可能になるだろう。