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[オザケン]2020年のチケットを持って2年後のライブへ行った話し


※ポルノグラフィティはほとんど関係ありません笑
※小沢健二は大好きですが「何年かに1度はライブに行きたいな」くらいのファンです

続・ポルノグラフィティのライブ映像を観ました。
見覚えのある、ステージからの景色が美しいホール。
ポルノグラフィティ、東京ガーデンシアターで2021年にライブをやっていたんですね。
ふと、このホールに2020年のチケットを持って2022年の小沢健二のライブに行ったことを思い出しました。


東京ガーデンシアターは2020年5月にこけら落としを予定していた新しいホールです。

↑2019年のライブ発表時は「どこそれ?そんなホールあったっけ?」となりました

そして時は2020。
コロナ禍で世界が変わり、あらゆるエンターテイメントが止まりそうになった時期。
この年は長男と一緒にセカオワとオザケンのライブに行く予定にしていましたが、セカオワは初の東京ドームの10周年公演が中止、払い戻しに。
オザケンもライブができなくなりました。



でも中止ではなく、延期。

チケットを持っている方はチケットを、僕は曲順表を握りしめて、この暗がりを抜けた先で、落ち合いたいです。「約束するよ、そばにいると」です。お互いにそう思いながら進んで、1年後の会場で死ぬほどぶち上がるのを、強くイメージしていたいです。

2020年4月14日小沢健二 Twitter @iamOzawaKenjiより


特徴的だったのが、紙のチケットをそのまま手元に保管して1年後にライブ会場でそのまま使うと約束されたこと。(※払い戻しも対応してました)
このままどうなってしまうんだろうかと不安だったあの時、この先の約束があることは確かに希望でした。

でも、結局1年後の2021年もライブはできず、また1年延期。

高校1年生は高校3年生になってしまう、この、異様な時空間。でもその異様な時空に合うアルバムのツアーとも思っています。確かめたいです、色々。来年、低音の轟くライブ会場で。

2021年6月29日小沢健二 Twitter @iamOzawaKenjiより


この頃になるとライブができない、行けないのがすっかり当たり前の感覚になっていました。エンターテイメント業界が苦境に置かれた時。

そしてチケットに印字されている2020年から2年後、2022年6月にやっと東京ガーデンシアターでオザケンのライブが実現されました。
2年間「失くしたらどうしよう」とどきどきしてたチケットを持って。

2022年6月に、2020年6月の日付のチケットでチケットで入場する。

実際にそのチケットを手にすると、想像以上に独特な感覚でした。
まさに時空が歪むような、不思議な体験。すっかりオザケンの掌の上。

2022年6月26日に。席番もそのまま。


ライブの冒頭、オザケンが「この2年間、みんな共通しているのは歳をとったこと」「生まれて、育って、死んでいくことは輝かしいこと」と朗読。
本来ならライブのあったはずの2020年、進路についてだいぶ悩んで迷走していた高2の長男は、2022年には明確にやりたいことを見つけて顔つきもすっかり変わり、目標のために前向きにもがく浪人生になっていました。

どしゃぶりの雨の中で恋をしてるみたいだよ
ついていくよ あっちでも そっちでも
どしゃぶりの雨に映る 未来の神秘

君が君の仕事をする時
偉大な宇宙が薫る

ありがとう 友よ いてくれて
So kakkoi 宇宙の中に
暗い路地の壁に 森の木に
僕らがいたこと 標してこう

薫る(労働と学業)/おさ


世代的にはど真ん中ですが、一世を風靡した頃はキラキラして、渋谷系の王子様とか言われて鼻持ちならないアーティストと思ってました。
でも彼がずっと歌ってきた真髄は、こういうこと。
日常の生活の奇跡、美しさ、神秘。


あふれる愛 止まらない泉はるか遠い昔 
湧き出した美しさは今ここにある 

この暮らしこそが宇宙だよと
今も僕は思うよ 
なんて素敵なんだろうと

彗星/小沢健二


「帰還」後の音楽に惹かれて聴き始めたオザケンだけど、あのキラキラした名盤「LIFE」の多幸感も同じところに通じていたんだと、ライブで改めて実感しました。
いつか悲しみで胸がいっぱいでも続いていく。
こんな時でも。
まだ幼さの残っていた高校2年生が随分大人びた浪人生になったように。


このオザケンの代名詞のような名曲が、実は彼がとても落ち込んでいる時に作られたと最近知り、また見える景色が変わりました。
だからLIFE IS COMIN' BACK、なんですね。

それでLIFE IS COMIN' BACK
僕らを待つ
OH BABY LOVELY LOVELY
こんなすてきなデイズ
いつか悲しみで胸がいっぱいでも
OH BABY LOVELY LOVELY
続いていくのさデイズ

ラブリー/小沢健二


ライブは大変大変贅沢なバンド編成で(指揮は服部隆之)、オザケンなしでバックバンドの演奏だけでも2時間充分に楽しかったと思うくらい。
そんなバンドをバックに炸裂したオザケンワールドは、ちょっとびっくりするくらい圧巻の音楽で、「音楽って、人生って素晴らしい」と感極まる時間でした。これが、小沢健二なんですね。
(そうです、初めてのオザケンのライブでした。この人、音楽は素晴らしいけど歌はちょっと…って思ってたんですが、全然そんなことなかった…笑。CDより圧倒的にライブ向きなミュージシャンだと思います)

ライブの最後は「さあ、生活に帰ろう」で締めくくられました。これまたザ・オザケン。
労働に、学業に帰る。

「君が君の仕事をする時、偉大な宇宙は薫る」

宇宙の中でのきらめくような時間を体感した東京ガーデンシアター。
思い出深いホールです。

(ま、ライブ後にすんなり生活に帰れるわけがなく、「♯生活に帰れない」というタグでTwitterが溢れかえり、本人に「まだ帰ってなかったんですか」とつっこまれていたファンたち)

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コロナ前に最後にライブに行ったのは、2019年6月のセカオワ。
セカオワがライブを再開したのは2021年の暮れで、私たち親子が久しぶりにセカオワのライブに行った2022年3月まで、実に約3年間のブランクがありました。(配信ライブなどもなかったはず)
さいたまスーパーアリーナ、あんな大きな会場にたくさんのファンが集まっていること、ライブを聴くことができることに感動したことをよく覚えています。

そういえばワズビルで久しぶりに声が出せるようになったことにみなさん感激していたけど、セカオワの声出し解禁は割とさらっとして、特別な感慨とかなかった気がします。それより3年ぶりのライブがずっと感慨深かった。
それだけに2020年にかなり間引きしたとはいえ、客入れしてライブを実現したポルノグラフィティの覚悟をREUNIONを観て感じました。アーティスト側もオーディエンス側も、そして行くことを諦めたファンも、いろいろな覚悟があったはず。

あらゆる意味で大変だったあの頃。
2021年の秋、コロナ禍に入ってから初めて四季劇場へ行きました。だいぶ躊躇いながら。ミュージカルを観に行くなんて周りにちょっと言いにくくて、こっそりと。
オペラ座の怪人は人気演目で、通常ならチケットはすぐに埋まってしまうのに、2021年当時はこんなに空席だらけ。胸が痛みました。
劇団四季も深刻な経営危機に陥っていました。

2階席最後列(格安C席)からの眺め。
見渡す限りの空席に胸が締め付けられました。
(場内撮影可能です、念のため)

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