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「後継者がいない」と大声で言える世界を
はじめまして。株式会社ライトライトCOOの齋藤めぐみと申します。
乗り遅れまくってますがようやくnoteをはじめました…!
しょっぱなから8年前の記事を掲載したのですがw、この記事は私の原点とも言える所信表明で、この日を起点に想像もしていなかった私の第二の人生がスタートしたのであります。
さて、12月3日放送のNHK「クローズアップ現代」をご覧いただいたみなさま、ありがとうございます。
これまでも全国番組やabemaなど出演の機会は何度かいただいていましたが、まさかのクローズアップ現代。私はまだまだ未熟なCOOで毎日もがき中の身ですし、事業承継に関わってこられた先輩方が数多いらっしゃるなかで、私でいいのだろうか…という不安もありましたが、日本の社会課題を扱うクローズアップ現代で小規模事業者の後継者問題を取り扱っていただけることが大変ありがたく、素人風情の女性である私が話すことで伝わることがあるかもしれない…と二つ返事で出演をさせていただきました。
番組出演は、非常に大きな反響をいただきました。職業柄、普段から事業承継に興味関心のある方とばかり話しているので、事業承継に縁もゆかりもなく過ごしている方々からの感想をいただけることは、とてもありがたく新鮮でした。
普段仕事の話をしない友人や同級生から「事業承継って意外と身近なんだね」「考えないといけない問題なんだね」などと言ってもらえたことが一番嬉しかったです。
私たちは、廃業問題の真の課題は「後継者がいないこと」ではなく「後継者がいないと口に出せないこと」「事業承継というイメージが難しく心理的ハードルが高すぎること」だと考えているからです。
私たちが運営する「事業承継マッチングプラットフォーム relay」では、億単位の事業同士のM&Aではなく、地域に根付いて事業をされてきた小規模事業者さんの後継者探しのお手伝いを行っています。
relayでは「オープンネーム」という手法を使って、後継者探しを行っています。「どの場所でどういう想いで事業をして、どういう人にどういう条件で継いでほしいか」というストーリーを記事化し、「共感型の事業承継」という新しい方法での後継者探しです。
「オープンネーム」の事業承継が生まれるまでは、事業承継というのはすべて「クローズ(ノンネーム)」で行われていました。匿名でまずは財務面を公表し、ビジネス的にマッチングしていけそうなところからつなげていき途中でネーム開示をする、という手法です。
クローズは一定規模以上の企業には有効である一方で、地域の小規模事業者には不利な面もあったと考えています。地域で何十年も根付いてその地域になくてはならない存在の事業でも、黒字経営でお客さんがたくさんついている事業でも、億単位の売上があるわけではないのでどうしても本来の魅力が伝わらずこぼれ落ちてしまい「望まない廃業」をすることが多々ありました。
取引先やお客さんとの距離も近く、クローズにするメリットの少ない事業はオープンにして、地域での持続可能性や存在意義などを前にだしていこう!それがrelayをはじめた当初からの考えです。
当初は「オープンなんてありえない」と箸にも棒にもかからないところからのスタートでしたが、オープンネームが有効なのか、通用するかというのは事業者様たちが証明してくださいました。今では累計500件以上の募集記事が掲載され、約100件の事業がマッチングをしています。
そして「オープンネーム」は数々のメディアに取り上げていただけるところまで成長しました。「オープン」にしたからこそ後継者不在事業者の顔が見えて取り上げられるようになった、というのが正しいのかもしれません。
ただ、ひとつ重要なのは、「オープンネームとノンネームは対立関係ではない」ということです。それぞれに適した規模感や業種があり、どちらも「選択肢のひとつ」。これから後継者探しをする事業者様は、ご自身がどの支援機関やプラットフォームを利用し、どの方式で募集をするのか、検討されることをおすすめします。
今「事業承継」はポジティブな面でもネガティブな面でも非常に注目度を増しています。それでも、まだ「事業承継」に対する世間の理解度は全く進んでいないと日々感じています。
後継者を募集する事業者に対しては、
「こんな一軒くらい廃業してもどうってことはない」
「後継者がいないということは事業や人間性に問題があるのでは」
という声を聞くこともあります。
そして、勇気をもって事業を承継した方に対しては
「どうせ前の店主は超えられない」
「どうせ長く続かないんでしょ」
となぜか否定から入る方が多いのも事実です。
平安時代から脈々と受け継がれてきた「親子承継こそが正当」という考えは令和の今も日本人のDNAに染み付き、時代変容により親子承継が激減し事業存続の危機にある現代も「第三者承継」はなかなか受け入れられづらいのが現実です。
起業は「挑戦することに価値がある」と言われるのに、第三者承継による起業は「絶対に失敗は許されない」。この周りからの同調圧力こそが、今の後継者問題を加速させていると感じます。
でもそれは誰のせいでもない。事業承継というものが長年アンタッチャブルなものとして扱われてきたことの結果であって、そこには「事業者を守る」という優しさや気遣いもあったはずなので。
だけど、時代は動いています。2025年には中小企業の「廃業」で22兆円のGDP、650万人の雇用が失われるという数字も出ているなか、もはや「廃業」は個人ではなく地域全体で向き合うべき社会課題なのです。
後継者がいないことははたして悪なのでしょうか。息子が継がないことは恥なのでしょうか。「一軒くらい」の廃業が積もりに積もった結果、地域の未来はどうなるのでしょうか。事業を継いで新しいチャレンジをする方は、最初から完璧でないといけないのでしょうか。
私たちは、事業承継に対してもっとカジュアルでポジティブで寛容な世の中をつくりたい。誰もが「後継者いないよ〜」と声に出すことが受け入れられる世の中をつくりたい。(※最近増えてる詐欺の問題などに関してはもちろん慎重かつ厳重に対応しないといけないので、あくまでソフト面での話です)
そのために、これからもっともっと事業承継の可能性について発信を続けていきたいと思います。事業承継をして素晴らしい事業に育てている方、地域のキーマンになってる方、たくさんいます。そういう方ももっともっと紹介していきたいです✨
なんだか抽象的な話になってしまいましたが、私たちはこのような想いを胸に日々事業承継と向き合っています。
これからもrelayをよろしくおねがいします!