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レトロフューチャーを描くビダイセイ
こけし、チャッカーズにインスパイアされて作品を制作しているビダイセイ、東北芸術工科大学洋画コース3年生のシノユウキを訪ねる。
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出身
宮城県塩竈市
美術歴
アクリルガッシュ 8 年(中 1〜)・油彩 6 年(⾼1〜)。絵は 2 歳からずっと描いており、作品を意識するようになったのは⼩学校の⾼学年くらいから。平⾯で絵画作品を制作。
展示
2019 第 71 回宮城県高等学校美術展覧会(宮城)
2021 東北芸術工科大学洋画コース展示「100 号展」(山形)
2022 東北芸術工科大学美術科進級展 展示(山形)
みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ 2022
「東北画は可能か?」(山形)不思議の国のアリス展2(東京)
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受賞歴
2018 第 69 回仙台市内高等学校美術展覧会 優秀賞
2021 第 65 回東北現代美術協会公募展 入選
2022 リキテックススクエアアートコンペ 原高史賞
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近日の受賞作、
「この作品は『桜桃源郷』という題名です。コンペのテーマが「私と⼭形」ということ で、やはり⼤学を描こうかと思いました。芸⼯⼤は私にとって、まさに「桃源郷」です。ずっとコンプレックスだった「絵を描く=変なやつ」という偏⾒が全くなくて、とても過ごしやすいです。現在就活中なのですが本当に⼤学卒業したくないので、⾃分の中で美大は桃源郷なのだなあと思いました。『桜桃源郷』の“桜桃”はさくらんぼうという意味です。大学周りに⽣えている植物はさくらんぼうの⽊です。」
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リキテックス主催の学内コンペ受賞者として作品について上記のコンセプトをスピーチした。それを聞いた学長や教授陣は『話を聞けてよかった』と彼女を励ました。そして後日、リキテックスのカタログが届き好きな画材を自分で選び注文できる景品を受け取った。彼女は何を注文するのか?
「迷っています。アクリルガッシュはたくさん持っているので、スプレーかメディウムを検討しています。でも、2023 年の 6 ⽉くらいまでに頼めば良いらしいので、プレ卒展までは悩んでいようと思います。」
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大学3年生の彼女は、来年に卒業制作控えている。美大(桜桃源郷)で過ごせるのはあと1年しかないと、寂しさと希望を感じさせる返事であった。
作品の源、
「無意識的ですが、幼少期の⾃分を思う気持ちが強いと思います。⼩さい頃にコンプレックスがあるからです。⼩さい頃からマイペースだったので⾃分のことに集中しすぎて上⼿く友達をつくれないことが殆どでした。趣味も合う⼈がいなかったので、SNS を始めるまで共通の趣味を持っている⼈間なんてこの世にいないものなのだと思っていました。で も、作品を描くとなるとそれが個性になります」
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美大は人格のサラダボウルだ。どんなに周りと違っていてもそれを受け止めてくれる。
「今もその思いがつながっていて、⾃分の趣味や感覚を作品に落とし込むことで⼩さい頃に周りと違うことを気にしていた⾃分を正当化しているような感覚は常に持っています」
昭和のコンテンツにも彼女は精通していおり、チャッカーズのグッズをコレクションしている。構図を考える時も昭和の映画ポスターの構図から作品に持ってくることが多いと語った。昔ながら風景が残る港町で育った影響が出ていると感じられる作風だ。
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ビダイセイカツ、
「平均1、2時間くらいだと思います。締め切り前だと睡眠と⾷事以外は制作している感じになってくるので 10 時間くらいは描いていると思います。ドローイングは 1 ⽇に絶対⼀回は描くようにしているので、全く絵を描くことがないと⾔うことは無いと思います。常にメモ帳とペンを持ち歩くようにしていて、今⽇絵を描いてないな、と思ったらその場ですぐ何か描きます」
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2022年の大学の文化祭にてファッションショーにも出演。
テーマが『女性の収集癖』の衣装を纏って闊歩。
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「アメリカの作家マーク・ライデンのアトリエに憧れて⾃分のアトリエに⼦供⽤の玩具やテントを張ったりしています。」
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こけし愛、
こけしをよくモチーフにした作品が多く見受けられたため、そのバックボーンも取材した。
「私は“伝統こけしには作品性がある”と考えているからです。幼少期からこけしを⾒てきた私から⾒ると、こけしはアート作品と同じように作家性もありますし、時代によって形や顔、装飾も変わっていくものなのでこけしには作品性があると感じるのです。こけしに作品性を⾒出す活動の⼀つとして私は絵画作品にこけしを落とし込んでアプローチしていこうと思ってこけしを描いています。」
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伝統を継ぐ者と時代を見る、思いを馳せる。
それがまた自分の作品となる。
これから、
「今の作品の⽬指しているところがこけしのモダンさを評価され、怖いというイメージを取り払うことです。だから、ポップな感じを作品の中から感じ取ってもらいたいです。しかし、まだポップな感じを作品に取り⼊れ切れてないので試⾏錯誤中です。伝統こけし⼯⼈さんの中にも何⼈か⾃分の表現を追求している⽅がいらっしゃるようで、将来的にはそういう⽅々と連携して活動ができたらと思っています。」
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彼女は現在、制作アカウントで絵日記を投稿している。作家の人柄や日常を垣間見れるようになっている。また、来年の 4 ⽉に同コースの友⼈と仙台の SARP さんで⼆⼈展をすることになったそうだ。是非、バックボーンを見ながら足を運んでみてはいかがだろうか。
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