天才次男寛
その25年後、寛にはすごい才能があることに気づいた。
凄い絵が描けるのだ。上の絵は少し力がない時に書いているが、力があるときはパワーを感じる。スミからスミまで見飽きることがない。素晴らしいデザインでカラフルなのだ。どうしてこんな絵が描けるのか、私には想像ができない。本人に尋ねてみた。
「どうしてそういう絵が描けるの?」
「いやー勝手に手が動くんだよ」
ただそれだけだった。天才発言。
SNSで公開したら、いろんな人がファンになってくれた。ニューヨークのマンハッタンからも声がかかった。
しかし、寛は、そんな世界に入りたいと思っていない。
こうも言う。
「お金をもらって絵を描く事は僕にはできない。そうなると描けなくなるんだ」
良いことだ。
その数年前は依頼が多かったため、疲れたのだろう。最後はこの絵で終わっている。見た感じ力が感じられない。それは少しでも自分の家族を養うために描いていたからだ。お金が絡んでては、頭の引き出しは開かん。
作家にとっては、お金はインスピレーションをそぐものなのだ。楽しんでやれば、素晴らしいものができる。
ちなみだが、寛は学習障害。
だから、寛が中学生まで持って帰るテストの点数は全て0点。
普通のことだ( ̄∀ ̄)
親も慣れて来る。
通信簿を見るのは、開いて右側。生活態度だけ。
ここは、ずいぶん良いと思った。
そのことは、また話そう。
ADHDもある。見かけは、ごく普通。
何か普通の人とは違う、ずば抜けたところがある。
トム・クルーズさん的な異様な天才さも醸し出している。彼もADHDだ。
幸い、運動神経は抜群に良い。バスケットボールをしても相手の動きを瞬時に見分ける能力がある。
逆に、寛は人の話が、理解できない。
人の話がわからない時は、適当に相槌を打って笑顔で「そうですねー」と言っている。
傍で見ていると笑える。
うまいこと対応する天才だ。
下の絵は、小さいキャンバスだが、隅から隅まで身飽きない。
つづく