ポーカーチェイス 初心者から200戦でレジェンドになった
攻略記事というより、ポカチェのランクマッチ体験記として読むことをお勧めします。疑わしい記述がいくつかあります。あまり記述されていないポカチェ固有の情報があり全くの無ではないとは思いますが、ポーカー道とか読んだ方がいいです。
このゲームをはじめた時はルールすら知りませんでした。各STAGEごとの印象と身に着けておくべき技術を挙げます。なお、ランクにあたっては自分が入れる最も高いSTAGEを選んで入るようにしていました。
STAGE I(ビギナー・ブロンズ)
ルールを分かってるだけの人、ルールを分かってない人が入り乱れます。そういう段階です。
・オールイン対応
気軽にオールインを受けないこと。プレミアハンドでだけ受けてください。
感想
開幕オールインが飛び交います。この頃はハンドレンジの概念すらなかったので、1対1のオールインにのみ、Axとペアとプレミアハンドでだけ付き合って、後は勘で打ってました。
STAGE II(ブロンズ・シルバー)
STAGE Iとレベルは変わらないように思います。
・オールイン対応
気軽にオールインを受けないこと。プレミアハンドでだけ受けてください。
感想
一時期逆にオールインに付き合ってみたりしてたらポイント溶かしまくりました。強そうなハンドだけ戦うのがいいです。
なお、ゲーム開始時からゴールドになるまで57戦掛かりました。迷走していた影響が明らかです。
STAGE III(シルバー・ゴールド)
オールインを多用しない人が出てきます。とはいえ複雑なゲームになったわけではありません。オープン出来るハンドで確実にオープンし、戦える役が出来た時にバリューを取りに行くことを意識することが重要になります。
特に何も読んだことが無ければ、何でもいいので基本的な事項をまとめているサイトを読むべきです。この記事自体も、あまりSelf-containedにはなっていません(すいません)。
・ハンドレンジ
世界のヨコサワさんのハンドレンジをざっくり覚えます。未だにJ7s辺りのマージナルハンドは覚えてません。でもざっくりで大丈夫なはずです。ポカチェのランクマッチはかなり特殊で、レンジは広がり気味になるので。
・オールイン対応
依然として重要です。レンジに従って打つ限り長期的には利益的なので、3betにオールインを返されたりしても、それが受けていいレンジなのかを必ず考えます。
・バリューベット
ブラフはいりません!どうせ降りてくれないです。トップヒット(自分のハンドがフロップの一番強いカードとペアになること)以上の時に33%betを繰り返して相手からチップを引き出すといいと思います。
・ナッツの意識
今のボードで何番目の強さの役なのか?を考えます。トップヒットしてたら大抵は強く主張出来ます。
・相手からの高額ベットおよびリレイズ
本物だと仮定しましょう。ブラフが混じってるにせよ、コール頻度を考えられるほど慣れていなければ意味がないので、降りておけば大きくロスをしないことは間違いありません。トップヒット程度なら降りておくのが無難です。
感想
この頃からポーカーの攻略サイトを読んで、ハンドレンジが重要なこと、ポジションの重要性、自分のハンドの強さが上から何番目かを意識してベットするといいことを学びました。
この記事執筆時点でも、それ以上の技術は特にないので、この点がいかに重要で、いかに周りが行えていないかが分かります。実際、このランクでスタックしている方は多く見かけます。例えば、次に自分が身につけたいと思ってるのはアウツのカウントとオッズの概算ですが、こんなことは中級者からすれば呼吸をするように出来るはずです。
また、STAGE IIIから順位の統計を取り始めました。22試合で抜けたようです。
STAGE IV(ゴールド・プラチナ)
オールイン多用マンが減っていき、ポーカーらしくなってきます。とはいえ固く打っていれば5,6位は取りづらいです。STAGE IIIで言及したことに加え、以下を意識します。STAGE IV攻略時点でVPIPは36%でした。
・リンプインを避ける
プリフロップでレイザーがいないときにコールすることです。強いハンドの時はポットもデカくした方が強いです。AKなんかフロップになった瞬間クソザコになったりしますし、強いハンドをリンプで入ったことによって得られる恩恵というのは、フロップで互いに絡んだ時に相手をびっくりさせられることだけです。
・ポジションの意識
BTNとの相対的な位置関係でオープン出来るハンドが変わることはよく知っていると思います。それだけでなく、IP(インポジション・行動順が後になる位置)とOOP(アウトオブポジション・行動順が先になる位置)のことを考えましょう。フロップ以降に相手の行動を見てから動けるのは大きいです。OOPからドンクベット(オリジナルレイザーの行動を見ずにベットすること)をするプレイヤーも多いので、相手が悩んでからベットをしてくる場合、何かしらが絡んでいて打ってきているのだろうと判断がついたりします。これは大きいです。
・ベットサイジング
STAGE IV以降はほぼフロップ33%、ターン33% or 50%、リバー50%しか使ってなかったです。100%は使いどころが難しいです。フォールドしてくれそうな相手にプロテクションっぽく使うくらいでした。どれほど利益的になるか知りませんが、オーバーポットベットはみんなよくわかってない感じがします。とはいえ余計なテルが出ないように固定してしまう方が無難な気がします。
・ドンクベットを避ける
避けましょう。多くの場合期待値上損です。オリジナルレイザーが主導権を持っているのだから、その人の動きを見るべきだ、ということでしょう。OOPのコーラーならとりあえずチェックでいいです。
ただし、一つだけ例外的にドンク(みたいなもの)が使えると思った場面があります。あなたがBBで、ミッドポジション以降のプレイヤーがリンプまたはミニマムレイズをしてきたケースです。互いにハンドが弱いケースが多いため、リバーまでチェックで周りがちです。この時にリバーで75%とかでドンクを入れると相手が降りてくることが多いです。STAGE IV,V限定戦略だと思います。
・CB(コンティニュエーションベット)
ポーカーにおける重要な戦術の一つです。オリジナルレイザーのときに、フロップでベットを繰り返すことを言います。相手からするとブラフか非常に分かりづらいのが良いのでしょう。ボードを次のように分類して、勘で行っています。そのため、ここは分析的裏打ちがありません。鵜呑みにしない方がいいです。
ウェット/ドライはボードがどれほどストレート、フラッシュを完成させそうかの示したものです。ドライなほどそれらのドローが付きづらい(ex. Kc7h2d)、ウェットならその逆(ex. 5c6c7c)です。AKQ/notはボードに大きい数字のカードが含まれるか否かです。今の説明から分かるように、この二分法はあまりに多くのものを捨象しているので、調整する必要はあります。
①のような場合、闇雲にポットをデカくすると大事故に繋がるケースが多そうなので、低頻度にしていました。逆に④の場合はスーコネみたいなよくわからんやつに負けてるケースが嫌なので頻度を下げていました。一方、③の場合はCBが打ちやすいです。②の場合は相手がトップヒットしている場合が結構あるので、やや頻度を下げますが、結局7割以上は打っている気はします。
・マルチウェイに関して
横コール民がとても多いです。もし3bet可能なハンドでマルチウェイで回ってきたときは、いつもより大きめに打ちます。4人とかいる場合はプレミアハンドでオールイン入れるのが利益的かもしれません。
・VPIP/参加回数による評価
重要です。この値で、レンジやベット頻度に傾斜をつけるべきです。普通の数値から外れた相手は、必ず何かをやらかしています。その何かを見つけられて、咎めることができた時が、このゲームで一番面白いかもしれません。
VPIP<30%
ここのプレイヤーの3betに対してはAA,KK,AK,AQ,QQ以外で押さないでいいと思います。元々3bet過小な環境なので、強いことは間違いないです。また、フロップ以降のベットも本物である可能性が高いと思います。本来VPIPとフロップ以降のベット率に関係はないはずですが、ポーカーチェイスにおいては相関があります。リスク選好度がそのままプレイに出ているのでしょう。
30%<VPIP<40%
適正です。30-34,35-39で若干差はありますが、自分の標準的なレンジでプレイするのが良いです。
40%<VPIP<50%
恐らくAxo、Kxs、Qxsがすべて、任意のポジションでコールレンジに入ってます。適切に3betを入れれば十分でしょう。ここの人たちは逆に全然降りない感じがします。STAGE Vに至ってもピュアブラフで数十BB溶かしているのを見たのは一度や二度ではありません。この人たちに限っては、何かがヒットした場合には大きめにベットするのが利益的に見えます。逆にセミブラフは抑えめにした方がいいでしょう。
50%<VPIP
高すぎるので、適正レンジでやってれば勝手に狩れてるはずです。フォールドもしないのでバリューだけで圧掛けましょう。なお、参加回数が少ない割にここに属するプレイヤーは、あえてやってる可能性があります。
参加回数<200回
そこそこ勉強していて、基礎を知っていると思います。特に変えません。
200回<参加回数
参加回数は、それ自体ではプレイの判断材料にはなりませんが、注視するかの判断には使えます。ゲーム開始時に、この条件を満たしているプレイヤーがいたら優先的にプレイを観察することを勧めます。絶対に何かをやらかしています。滅茶苦茶ブラフが多かったり(レイズを返しまくってるタイプ)、逆にブラフがまるでなかったり(バリューを持ってる時は即コールしてくるタイプ)、というのが観察で気付きやすい典型的なパターンでしょうか。
感想
思ったより時間が掛かりました。インターネットから情報を得ようとして色々調べてましたね。ネットの情報あるあるですが、とにかく体系的でないことが問題です。散発的な知識でもないよりはマシですが、まともにやるには体系的学習を志向すべきだと思っているので、本当に勝てなくなったらやろうと考えて(これはいかにも合理化っぽい!)、一旦放置することにしました。
また、ここを抜けた頃に『ハンター・シッチーのポーカー分析 ノーリミットホールデム3つの要』を買って読みましたが、何も記憶に残っていません。結局GTOでソリューション計算するのは大変だし金もかかるしで諦めた記憶があります。PioもGTOWも下手の横好きが使うには高すぎます(本ではSnowieを使ってるので少し事情は異なります)。実際ランク上げるだけならそんな高級な研究はコスパが悪いですしね。
STAGE V(ダイヤモンド)
環境が一変します。変わり過ぎてビビります。顕著な違いはラス回避の傾向が極めて強まることです。5BBを切ってもひたすらフォールドを続けて順位を上げようとするプレイヤーが散見されます。
でも、やることはあまり変わりありません。STAGE IVよりは守り気味に打ちましたが、十分エクイティがあるなら勝負はします。STAGE IVで私が特に意識した技術はほぼ出尽くしているので、小ネタしか書くことがありません。
一方、このランクになっても、①3bet過小②ドンクベット③リンプイン④1bbベットといった推奨されない打ち方は頻出します。これらに対する搾取戦略を考える必要は特にないと思います。ハズさない打ち方をしたら勝手にカバーできているはずだからです。専ら実力の指標に使うと良いです。
また、STAGE V攻略時のVPIPは34%でした。狭くなっていることが伺えます。恐らくSTAGE VのみのVPIPは30%程度だったでしょう。リングだと23%になるそうですが、シットゴーならこんなもんな気がします。環境的にも50%を超えているプレイヤーはごく稀に見かける程度です。40%以上も20%もいないです。ほとんどが30-40%の間に落ち着いています。
・スティール戦略
前述の通り、スタックが小さくなるとロックと化すプレイヤーが多々います。そういうプレイヤーがBBの時に、COとかBTNから20BBとかでオールインするのが明らかに利益的です。順位を大事にするプレイヤーが増えるので、絡みに来るプレイヤーは全然いません。
・VPIP/参加回数による評価②
ほぼ変わりませんが一応。
参加回数<300回
そこそこ勉強していて、基礎を知っていると思います。特に変えません。
300回<参加回数
参加回数は、それ自体ではプレイの判断材料にはなりませんが、注視するかの判断には使えます。ゲーム開始時に、この条件を満たしているプレイヤーがいたら優先的にプレイを観察することを勧めます。
・3bet
前述の通り、3bet過小な人が多いです。あなたが強いハンドなら、フロップが開かれる前に相手に嫌な思いをさせるべきです。少し進んだプリフロップレンジの記事として、これは一読する価値があると思います。
もちろん、これはリングゲーム準拠で書かれてるので正しい解ではないですが、こんなに3betや4betをするんだ、という参考にはなるはずです。
・ICM
詳細は余所に譲りますが、ポーカーチェイスでは結局チップの絶対量は問題にならず、最終的に順位によってptを受け取ります(要するにMTTなわけです)。したがって、チップを通貨とした場合の完璧なプレイも、順位を競うときには誤りになり得る場合があるのが想像できると思います。これに対処するためのモデルとして、ICMがあります。
私はICMを考慮したことはないです。というのも、大抵は直感的に対処できるからです。例えば、25bb(Hero), 8bb, 5bb、という状況では、8bbのオールインに対しては、ほとんどのハンドでフォールドを選択すべきに感じるでしょう。
もっとも、問題になるのはもっぱらマージナルハンドなので、十分な理由にはなっていませんが、要するに細かい話だから後回しでいいということです。人間の直感がそこそこ通用する場面だと思っています。
・テル
ゲームの選択以外の部分の相手の行動の傾向のことを言います。たとえば、ライブでQQ+持ってる時だけ踊り出しちゃう、とかです。このゲーム上で私が一番顕著だと思ったのは、相手がOOPで、Flopでチェックする前に数秒間が空く場合に、ヒットしている可能性が高いことです。これはかなり再現性が高いと思ってます。その機序もほとんど明らかで、さすがにある程度上のレベルになるとOOPはとりあえずチェックという情報は知れ渡っています。しかし、ヒットするとポットを焚きたいという心理が働いてドンクをすべきかの考慮時間が生じてしまうのでしょう。
これを対策するために、チェックの時間を一律で2秒後にする、といった処理をしているプレイヤーを見かけることもなかったと思います。
感想
IVを抜けてから数ヶ月放置してました。単純にポーカーに飽きてました。
STAGE Vでは全然絡めずにグダグダ減って行って、ロックでギリギリ5位に滑り込む、というパターンが多かったです。これは環境の変化だけでなく、ブラフ過小のサインかも知れませんが、上手くバランスとるのが無理そうだったので、バリューでしっかり打つ、ブラフを打つのはCBの時だけ(これブラフって言うんですかね)、という本線は崩しませんでした。
自分も終わってみてから反省したことですが、ラスのマイナスが厳しい傾斜になってるわけじゃないので、ロックでラス回避を志向するのは理に叶ってないと思います。4位を狙うのは価値があると思いますが。
ところでSTAGE Vの間耐久してランク回し続けてたのですが、6時間+17時間で到達しました。一日でSTAGE Vは抜けられるみたいです。平均順位は3.23でした。頭打ちが近いのを感じます。
全体の感想
初心者が少しずつレベルアップしていく環境が整っていると言えます。STAGE VIになってやっとゼロサムになるような配分なので、初心者に楽しくポーカーを学んでほしいという運営の優しさが感じられます。ちゃんと勉強した分だけ勝てるようになる感覚があるのは偉いですね。
今後はポーカーの理論を勉強しようと思っています。このノートは結構情報が充実してそうです。
また、No-Limit Hold'em for Advanced Players: Emphasis on Tough Games は必読っぽいので入手しようと思います。英語を読むのが嫌で読んでないとも言います。
おまけ - ティルトについて
ポーカーでも麻雀でも避けられない要素ですが、バッドビートが起きた際に外的要因(ほとんどの場合確率操作)に帰責しようとする傾向が見られます。
確率操作がある、とする主張は不完全情報ゲームにつきものですが、プレイするつもりがあるなら無いと仮定すべきです。合理化はプレイの質に何ら良い影響を及ぼしません。
確率的に異常に感じた現象があった場合、真っ先にそれが合理化でないのか疑いましょう。この時に役立つのはプロスペクト理論です。詳細はWikipediaとかに譲りますが、我々は正の報酬と負の報酬のうち、負の報酬を過大評価する傾向があることが報告されています。つまり、我々は、自分が不運であると錯覚してしまうように出来ているのです。
そうでなくとも、勝率60%のオールイン勝負を100回やったとして、50回程度しか勝てない人は普通に出てきます。1000人プレイヤーがいたら50人はこの憂き目に遭います。20回なら60人は負け越します。その中に統計的素養がない人がいたら、自分は異常に不運だと報告するのは避けられないでしょう。上振れた人はあえて騒がないでしょうから、報告バイアスがあることも想像できます。
また、運という言葉の性質にも注意する必要があります。多くの人は、期待値に対する下振れという事実を不運である、と表現することと、自分が運の無さという性質を持っているという意味で不運である、と表現することの違いに無頓着です。これを混同すると、早まった一般化に繋がってしまいます。
本当に疑わしいなら統計的検定とともに告発すればいいです。もしこれを読んでいる方が、目の前の理不尽な結果をどう受け止めるかについて信念を固める前であったなら、この考え方は非常に重要になるはずです。
それはそれとしてティルトは起きます。レジェンド昇格寸前の時にAQo vs A7oのプリフロオールインで負けた時は家を半壊させました。半壊はEVロスなので、やめましょう。STAGE Vを通してみると、ずっと回し続けてたので疲れて感情が死んでたのがティルト対策になっていたと言えます。
また、20戦もすれば平均値はそこそこ落ち着いてくるので、その間に稼げたポイントの平均を出すことによって、現実的にはどの程度試合数が掛かりそうか、というのは大体想像がつきます。一喜一憂するよりは、自分が平均x pts稼ぐマシーンだと考える方が精神には良いです。ギャンブルしてる感じがしなくなるという問題はありますが、脳汁駆動だといずれ限界が来るのは皆さんよくご存知だと思います。
(2024.5.17. CBの記述を変更。ICMの記述を追加)
(2024.7.30. 注意事項を追加。参加回数の記述を変更。テルの記述を追加)
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