🌸息子の小学校卒業式🌸

先日、息子が小学校を卒業した。

…と、ここだけ書いてから、いろいろありすぎて、月が変わってしまった。

花粉症と風邪でダラダラ鼻水を垂らしつつ、引き出しを落っことした足の親指の痛みを我慢しながら、深夜２時なのに寝つけないので、続きを書くことに…。ずびずび。。。

3学期に入ってから、学校へ行きたくない気持ちが強くなってしまった息子。

友達から出されるちょっかいが煩わしくなってしまったり、卒業へ向けてのあれこれで気持ちがいっぱいいっぱいになってしまったり、いろいろそれらしい理由はあれど。

一番の理由は、「中学生になること、大人へ近づいていくことへの、漠然とした不安」

こればかりは、時間と本人の成長以外に特効薬がないので、

せめてもの助けとして、学校以外の居場所づくりをあれこれ調べたり、考えたりしてみた。


同時に、スクールカウンセラーというものも初めて受けたりして、「話せる」時間や場所を「紹介」してみた。

その過程で、私もいろいろ勉強になったり、気づいたりすることがあったように思う。

ただ、ここまでは、本人と話し合ったとは言え、親が主導で動いた部分が大きいので、本人の成長に伴いこれからまた色々あるかもしれない、とは思いつつ。

そんな中で迎えた卒業式。

「こんなに成長して嬉しい」
「大きくなってくれて誇らしい」
気持ちはありつつも

「これから、どんな中学生活を送っていくのだろう？」という不安もあり

「不安になったって仕方ない！なるようになる！」とまで割りきれない私は

「ゴール」というよりも「中間点」のようなつもりで、卒業式当日を迎えた。

息子もそんな感じだったのかもしれない。
卒業式で歌う「旅立の日に」の替え歌バージョンを一生懸命覚え、「本番で歌う！」と張り切って？登校していった。。。

後から考えれば、この時点で既にフラグは立っていた。

コロナ禍が明け、全校生徒が参加できるようになった久しぶりの卒業式。

１学年に１クラスしかない小規模校なれど、5年生までが揃うとやはり「卒業式」の空気が濃くなる。
低学年の子達は皆、初めて参加する卒業式。
それでも騒ぐ子はおらず、じっと卒業生の入場を待つ姿に、なんだか涙ぐましい気持ちになってしまう。

そして、厳かに卒業生の入場が始まる。

担任の先生を先頭に、普段とは違うセレモニースーツ姿の子どもたちが歩いてくる。

3年前に小学校が合併してから、ほとんどの年月をマスク姿で過ごしてきた卒業生たちは、6年生になってからようやく、マスクを着けない生活を送れるようになった。
存分に素を出し合えるようになった反面、思春期に差し掛かる時期でもあり。お互いの素顔を晒す生活に、抵抗を感じた子もいたんじゃないかと想像する。
それでも、こうして小学校生活を乗り越えてきたことを思うと、自然と胸がいっぱいになってくる。

入場した卒業生たちは、静かにそれぞれの席へ着く。
半分を過ぎた頃、ついに息子が、前の子に続いて入ってきた。

それまで、小学校で過ごした年月に想いを馳せ、卒業生たちの成長した姿に胸を熱くしていた私は、我が子が入ってきた暁にはきっと、感動の涙で崩れ落ちるはず…と、思っていた。

だがしかし。私は別の意味で崩れ落ちた。

伸ばしっぱなしのスポーツ刈りに、メガネをちょーんと掛け、ワイシャツに黒いカーディガンを着た背中を少し丸めているせいで、緊張感よりも脱力感をまとった息子が、のほほーんと歩いてきた時点で、卒業式なのに面白すぎて爆笑しそうになった私は、「卒業式で、子どもが入場しただけで笑いたくなる親ってどうなの？」と我が身を省みて、あまりの申し訳なさに脱力する。

卒業式で笑いを取れる息子。最強だな

(※親限定の面白さ)

席に着き、開会の言葉に続いて「君が代」を歌うと、一人ひとり名前を呼ばれて、卒業証書を受け取っていく。

前の子を待っているときの表情、名前を呼ばれたときの返事の仕方、証書の受け取り方。
同じ指導を受けていても、それぞれの子の個性がある。

サッカーや野球などのスポーツや武道系の習い事をしている男子は皆、凛々しい表情で、キビキビした動作で証書を受け取っていくが、

天然系男子の我が息子は、わりと高めの背を少し丸め、そこはかとない「好好爺」感を醸し出しながら、証書を「ヒョイ」と受け取ると、「ホイ」とお辞儀してスルスルと席へ戻っていった。

本人は至って真面目にやっているのだ。だから、おかしくもなんともないはずなのに、全身から溢れ出る面白味と可愛気が、私の口もとを揺さぶる。

これは笑っちゃいけないやつだ、大人なら尚のこと耐えねば、と思っているうちに、校長先生の言葉や来賓挨拶、祝電披露などがあり、大一番の「贈る言葉」「別れの言葉」の時間になった。

ステージの上に卒業生たちが上がっていく。

出席番号の兼ね合いなのか、背丈のためなのか、6年生全員で並ぶとき、息子は後列のセンターにいることが多かった。合唱のとき、発表のとき、見つけやすくて助かった。
そして、卒業式でもまた、彼の位置は最後列のセンター。
女子の間で1人、ぴょこっと飛び出たメガネ面。人生5周目並みの落ち着きとあどけなさの同居したオーラ。「すーん」としたニュートラルな表情。

なにを思っているのか、どこを見ているのか分からないが、視線は在校生も保護者も通り越して、はるか彼方を見つめている。一体、どこまでトリップしているのやら。

もう、可愛くて可笑しくてたまらない。

なんせ、いっちばん置物化しているひとが、いっちばんセンターで、在校生の熱い言葉を浴びているのだから。

それはそれとして、在校生の言葉と歌は素晴らしかった。

何度も練習したのであろう、ひと言ひと言に想いが乗っているのを感じるし、子どもが一生懸命何かをしているだけで、涙腺が緩んでしまうのだ。

特に、子どもたちの歌声は染みた。
歌いながら、こちらに向けた背中を震わせたり、袖で顔をぬぐっている子もちらほら見える。そんな、純粋な子どもたちの感受性が愛おしい。

在校生の言葉と歌が終わると、いよいよ卒業生の番になった。
既に、何人かの子は目を赤く泣き腫らし、鼻をすすり上げている。

それでも、別れの言葉を一人ひとり、順番に繋げていく。

自分の言葉を大きな声で言い終えた息子は、変わらぬ表情で虚空を見つめ続けている。

右隣で、顔を真っ赤にして嗚咽していた女の子が言葉を絞り出した瞬間だけ、くしゃりと顔を歪めたように見えたが、また元の表情に戻り、卒業生の歌「旅立ちの日に」が始まった。

「仰げば尊し」「蛍の光」に代わり、今ではすっかり卒業式の定番となっている「旅立ちの日に」は、埼玉県の公立学校の先生が作られた、若者の思い出と旅立ちを力強く豊かに描いた歌である。

白い光の中に　山なみは萌えて
遥かな空の果てまでも　君は飛び立つ
限りなく青い空に　心ふるわせ
自由を駆ける鳥よ　ふり返ることもせず
勇気を翼にこめて　希望の風にのり
このひろい大空に　夢をたくして

懐かしい友の声　ふとよみがえる
意味もないいさかいに　泣いたあのとき
心かよったうれしさに　抱き合った日よ
みんなすぎたけれど　思いで強く抱いて
勇気を翼にこめて　希望の風にのり
このひろい大空に　夢をたくして

いま、別れのとき
飛び立とう　未来信じて
弾む若い力信じて
このひろい　このひろい　大空に

いま、別れのとき
飛び立とう　未来信じて
弾む若い力信じて
このひろい　このひろい　大空に

引用元：Uta-netより
https://www.uta-net.com/song/159065/

子どもたちの、今しか出せない初々しく美しい声が、静かに情景を紡ぎ、ラストの「いま、別れのとき」から一気に高まり、気持ちと涙をさらっていく。

んが。。。
息子が「設定」したミッションは、(誰も傷つけずに)この感動をひっくり返すものだった。

サビの部分をひそかに、YouTubeで覚えた以下の歌詞に変えて、誰にも気づかれずに歌おうチャレンジ👇️

ピーマン　わかめのポッキー
飛び納豆　苦いシイタケ
パズル　破壊　チータラ信じて
ゴミ拾い　ゴミ拾い　大トロに

…誰が改作したのかは不明だが、音読すると明らかに違う歌詞を、メロディーに乗せて柔らかな発音で歌うとあら不思議、音レベルではそこまで違いがなくなってしまう。はず。。
(ただ万が一、隣の子にバレて笑わせてしまったら、大失敗もいいところ…)

はたして、息子が本番でミッションを決行するのか、それともきちんとした歌詞で美しく歌い上げるのか、

いらん所でいらん神経を使うも、そんなのどうでも良くなるくらい、卒業生の歌声は素晴らしかった✨

気づいたときにはかろうじて、最後の「大空に」を、最高に清々しく「大～トロに～」と歌い上げる息子の口元が確認できたのみだった。

ミッションを完遂した息子は、この上なく「すーんっ」とした顔で誇らしげに前を向き、その両側では歌い終えた女の子たちが涙に咽ぶのだった。

そして、教頭先生が閉式の言葉を述べると、
2人1組になった卒業生たちが、在校生や保護者の拍手を受けながら退場していく。

事前に「人数の関係で、オレは1人で退場するから」と教えられていたが、息子の順番は入場と異なっていた。

ふたり、また2人と卒業生が体育館を後にしていく。

最後の2人が席を離れたとき、その後ろへ1人で歩を進めたのは、息子だった。

まさかの、しんがり。大元締め。

入場のときの、のほほーんとした空気は寸分も見当たらなかった。

在校生や保護者、来賓、体育館にいる全ての人たちの注目と拍手を一身に受け、しっかりと前を見据えて堂々と退場していく息子は、前髪の先から爪先まで、過去最高にかっこ良かった。
心なしか、猫背も伸びたように思えた。

おめでとう、息子よ。。。

心から、子どもの成長を祝えた瞬間だった。

🌕️🌕️🌕️

こうして、無事に小学校を卒業した息子は、春休みの間ゲームをしまくり、アニメを見まくり、「うんこ」を連呼しながら放屁し「千の風になって」を歌いながら浄化する、保育所を卒園したときよりもひどい有り様で、明日から中学生になろうとしている。

うん。。。
きっと、彼なら大丈夫だ🤣
(どこがだ。。。)