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インドのラストワンマイル問題
インドにもラストワンマイル問題があるなと、インドで生活をしていてつくづく思う。
ラストワンマイルという言葉は、最近は物流の業界でよく聞く。元々はインターネット業界で、個人宅のところにまで回線を引く最後の部分が手間なことをラストワンマイル問題と呼んでいた。最近は物流の分野でもこの言葉が適用されて、再配達の多さによって配達員へ過剰な負担がかかっていることを、ラストワンマイル問題と言ったりする。顧客へサーヴィスを届ける最後のプロセスで起きる問題は、ラストワンマイルと表現されうるのだと勝手に思っている。
私が言う、インドのラストワンマイル問題は言葉の話である。サーヴィスの申し込み時は英語で出来るのに、実際にサーヴィスを受ける時には英語が通じずに困ることが多々ある。インドは公用語がヒンディー語で、準公用語に英語が設定されている。また、その他にもベンガル語、テルグ語、マラティー語などなど憲法で定められる22の指定言語に、地方方言も2000ぐらいと言葉のダイバーシティが日本に比べて広い。ヒンディー語ですら、話す人は全体の4割程度らしい。ヒンディー語を話す同僚のインド人も、違う州や地域に行くと文字が読めなかったり、意思疎通が難しかったりすることがあるらしい。インド人ですらそうなのだから、日本人の私がどれほど言葉に苦労するかは想像に難くない。
インドに住み始めてから、いろいろとアパートメントの設備関連でインド人が家に訪ねてくるのだが、大体が英語を話さない。ハウスキーパーの売り込み、セキュリティガードマン、家の不具合を修理してもらうための工事員、インターネットの工事員などなど、みんな私のアパートメントに来ても英語を話さない。それなりに外国人が住むアパートなのだが、この有様である。
意思疎通ができないということは、かなりのフラストレーションがたまる。例えば、先日は家にガス管を引いてもらう工事をしてもらったのだが、工事日程の調整などはアパートメントの責任者と行ったので英語で出来た。しかし、当日に作業に来る人は全く英語を話さない。責任者も別に付き添ってくるわけではないので、作業員と意思疎通が全く取れないのだ。おかげで、作業員が途中で作業をほっぽり出して帰っても、何があったのかサッパリ理解ができない。もう一回戻ってくるつもりなのか、今日はここで終わりなのかも分からないのだ。結局は、インドだからなのか、「配管の穴を開ける人」「穴にパイプを通す人」「パイプとガスレンジをつなぐ人」みたいに分担で別々の人が来るということだったのだが、それも全部の作業が終わってようやく理解できた次第。いったい誰が全体の作業を把握しているのかを聞いても(英語で)答えてくれない。こんなに言葉が通じないと言うことが大変なのかと思い知ると、日本で困ってる外国人も少しは優しくしておかねばなと思ってしまう。
最初は、翻訳アプリでなんとかなるかなとも思っていたのだが、それもなかなかうまくいかないことがわかって来た。例えば、家に頼んでもいないハウスキーパーが来て、家の掃除をさせてくれと来た(のだと、思っている)ことがある。ちょうどスマートフォンにGoogleの翻訳アプリを入れていたので、会話をしてみようとしたのだが、相手が翻訳アプリというものを知らず、スマホのマイクを向けた時点で電話のように会話を始めてしまった。翻訳アプリも、(ヒンディー語で相手に話してもらう)→(日本語の翻訳を私が聞く)→(日本語で私が返事を返す)→(ヒンディー語に翻訳した私の返事を相手に聞いてもらう)というお作法を、双方が守らないと使うことができない。こういうユーザーエクスペリエンスの部分でコケてしまうと、どれだけ高精度の翻訳機能を持っていても全然役に立たない。「翻訳アプリとはなんぞや」を人に伝えるアプリがぜひ欲しい。
と、このようにインドでは英語しか使えないと、最後のワンマイルで言葉のトラブルにあう「ラストワンマイル問題」に遭遇することがある。準公用語といっても、全員が英語を話すわけではないのだ。仕方がないので、最近は少しヒンディー語の勉強に挑戦している。
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