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母の日
◆概要
端的に言えば「母親の苦労を労い、感謝しよう」の日。日本はアメリカにならって5月の第2日曜日であるが、他の国では5月の第1日曜日だったり、5月の最後の日曜日だったりと、その日付は案外バラバラである。理由としては、そもそもの起源となった出来事がバラバラであることが挙げられる。
日本はかなりアメリカの影響が強く、先述のとおり日付はそうなのだが、母の日を代表とする花がカーネーションなのもその影響の1つとされる。
以上、インターネットより。
◆駄文
「おかーさん!いつも、ありがとうっ!!」
微笑ましい情景に、自然と周りの人々にも笑顔が浮かぶ。
今日は、母の日か。
そういえば近頃街中にも「母の日準備!」的なポスターが至る所にあったけど……、それが今日だなんて。やはり意識していないと日付けの感覚がこうも簡単に無くなってしまう。末恐ろしい。これ以上世の中から乖離しないためにも、少しは意識をしっかりともたなければ。
なんて、少し苦笑しながら家に戻る。
◇
ただいま。と言ったとしても、返事をしてくれる人は今この家には居ない。
息子は買い出しだろうし、娘は部活、夫は仕事に行っているはずだ。
そう考えると、家族全員が一堂に会する時間というのは今はもう大分少なくなってしまった。
「ただいまぁー!!」
感傷に浸っていると、娘の声と共に扉が開いた。
おかえりなさい。
「ごめんね!お母さん!ちょっとすぐ出ないといけなくって……あ、でも、これ!」
そう言ってドタバタしながらも、娘は私の眼前にお菓子を並べる。どれも、私の好きな物ばかりだ。
「母の日だから……喜んで貰いたくって……。ありがとうね。お母さん。」
娘はそう言うと、少し照れくさそうにその場を後にする。用事もあるし、気恥ずかしさもあるのかもしれない。
こちらこそ、ありがとうね。
声こそ届かないが、暖かい気持ちでいっぱいになる。
「ただいま」
程なくして息子も帰ってきた。買い物袋を机に置いてから、彼は私の前に座った。その手には白いカーネーションがあった。
息子は、何も言わなかった。
何も言わず、その花を端に寄せられていた花瓶に活けて、お菓子の山の真ん中に置く。
暫くお互いに無言が続いた。
そしてそのまま、息子は立ち上がり、買ってきた野菜や肉を冷蔵庫へしまい始めた。
会話どころか、言葉すらなかったが、それで良かった。私もいい加減に、家族離れをしなければならないと、思うのであった。
P.S.
去年と視点を変えてみました。
時間切れ。