半夏生
◆概要
雑節という、季節の移り変わりを的確に把握するために設けられた日のうちの1つ。半夏という薬草が生える頃を指す。七十二候という古代中国で考案された季節を表す方式の中の1つである「半夏生(はんげしょうず)」が由来とされている。昔は夏至から数えて11日目とされていたが、現在では天球上の黄径100度の点を太陽が通過する日となっており、これが毎年7月2日前後にあたる。
ちなみに黄径とは黄道座標という、天球上の天体の位置を表すための天球座標系の一種で、黄道を基準とする座標系の単語であるが、本当に小難しい話になるので、ここでは割愛する。
農家にとっては大事な節目の日で、畑仕事や水稲の田植えを終える目安とされ、この日から5日間は休みとする地方もある。
また、この日は天から毒気が降ると言われており、井戸に蓋をして毒気を防いだり、この日に採った野菜は食べてはいけないとされたりした。
なお読み方は「はんげしょう」
以上、インターネットより。
◆駄文
「暑い……」
気がつけば、春も梅雨も終わりを告げて、夏になっている。
ただ歩いているだけだと言うのに、鬱陶しく頬を伝う汗。
風もなく、いつもなら聴こえてくるどこかの家の風鈴の音も全く聴こえてこない。
今朝、例年よりも涼しい日が続くでしょう、と教えてくれた気象予報士のお姉さんは、まさか嘘つきだったのだろうか。
こんな日にはせめて、冷たい水を頭から浴びたいものであるが、現状、頭上から降り注ぐのは燦々とした日差しだけである。
もしも今日が休みならば、扇風機の前を陣取って、その首振りに合わせてゆらゆらと揺れるだけで時間が過ぎていくのだが、平日であるためそんな怠惰に1日を過ごす訳には行かない。
ため息を吐きつつ、重い足取りで通学路を進む。
必死に影になってるところを探し、極力そこを通るようにするという、ささやかな抵抗をしているものの、これが意味を成しているのかは怪しいところである。
一刻も早くこの直射日光から逃れる為にも校舎内に滑り込みたいのだが、その為に小走りなんてしようものなら、汗が滝のように流れ出ることは想像に難くない。運動部の奴らが流す爽やかな汗とは違って、ベタベタとまとわりつく汗は、ただでさえ無いに等しいであろう周りからの好感度を著しく低下させるだろう。……そんな事態、避けられるなら避けたい。決してチヤホヤされたいとまでは言わなくっても、嫌われるなんてことは避けたいなんて考えは、別に自分に限らず抱く思想だろう。
そうだと信じたい。
というか、その為にこの時間帯に日陰が多くなる道を選び、そんなに焦らなくてもいい時間に家を出るようにしているのだ。ささやかな抵抗と言えど、我ながら健気で可愛らしいことをしている。もっと評価されてもいいとすら思ってる節がある。
そんな地道な努力の甲斐もあって、学校に着いた頃には他の連中に比べて汗も少なく登校出来たような気がする。暑いということ自体に変わりは無いが、なにかしら意義があったという達成感を抱いてないと、あんなに苦労して登校する意義が薄れて悲しくなるのだ。
自分の席に着席して暫くすると、隣の席のクラスメイトが声を掛けてくる。
「なぁ、2時間目の課題終わってるか……?見せて欲しいんだけど……」
「……終わってるけど、自信はないよ。」
そう言いながら、自分のカバンに手を突っ込んでファイルを取り出す。
「間違ってても、文句言わないで、よ、……」
「………………」
「………………」
「……おまえ、もしかして」
あんなに汗をかかないようにしていたのに、あの地味な努力が全て水の泡になってしまった。
P.S.
去年はこれを書いてる途中で途絶えてしまったので、それを完成させたぞ。完成っても、どんな内容書こうとしてたか覚えてないけれども。まぁでも、去年よりは強くなってるはず。