甲状腺機能亢進症について。その①

昨日は久々に気温が低くて過ごしやすかったですが、
また今日は真夏日にもどり、
週末にかけて最高気温も34度にもどってしますようです。
来週以降も、
台風や秋雨前線の影響で天気も崩れやすくなってくるようです。

本日は、甲状腺機能亢進症です。
Hyperthyroidism.
Cleaveland Clinic.

甲状腺の働き
首の前部にある甲状腺は蝶のような形をした腺(gland)です。腺は体中に見られる器官です。腺の中には、体の機能と成長を助ける物質であるホルモンを生成して放出するものもあります。甲状腺が生成する主なホルモンには、thyroxine(T4)とtriiodothyronine(T3) があります。甲状腺は、次のような体の主な機能の多くに大きな役割を果たしています。
①体温調節。
②心拍数調節。
③代謝調節

甲状腺機能亢進症は、甲状腺が必要以上に多くのホルモンを生成し放出する病気です。誰にでも発症する可能性がありますが、女性に多く見られます。
甲状腺機能亢進症は比較的まれであり、米国では約 1% の人が甲状腺機能亢進症を患っています。

日本では、人口1000人あたり0.2~3.2人と報告されています。
20~30代の若い女性に多く、
男女比は1:3~5くらいと言われています。
(日本内分泌学会より)


甲状腺機能亢進症の症状
甲状腺機能亢進症には多くの症状があり、全身に影響を及ぼす可能性があります。これらの症状の一部は現れても、他の症状は現れない場合もあります。また、同時に複数の症状が現れる場合もあります。甲状腺機能亢進症の症状には、次のようなものがあります。
・動悸。
・震えや緊張。
・体重減少
・食欲増進。
・下痢と排便回数の増加。
・視力変化
・温かく、しっとりとした肌。
・月経不順
・暑さに耐えられず、発汗過多。
・睡眠障害。
・首が腫れて大きくなる。
抜け毛と髪質の変化。
眼球突出
筋力低下

甲状腺ホルモンは、
全身の新陳代謝を活発にし、元気にするホルモンなので、
体が常に運動しているような状態になります。

痩せる人が多いのですが、食べ過ぎて太る人もいます。

疲れやすくなるので、
スポーツ選手などでは、
急に成績が落ちる人もいるようです。

イライラして、
せっかちになり、
子供では学力低下につながります。
学習障害とされることも。

特にアジア人男性で、
炭水化物の多い食事をした後や運動の後などに、
手足が突然動かなくなる発作が起こることがあります
(周期性四肢麻痺)。

症状と原因
甲状腺機能亢進症を引き起こす可能性のある病状や状況には、以下のものがあります。
バセドウ病(Graves' disease):この病気では、免疫系が甲状腺を攻撃します。これにより、甲状腺が過剰な甲状腺ホルモンを生成します。バセドウ病は遺伝性疾患です。家族にバセドウ病の人がいる場合、家族の他の人もバセドウ病になる可能性があります。出生時に男性と診断された人よりも、女性と診断された人に多く見られます。バセドウ病は甲状腺機能亢進症の最も一般的な原因で、症例の約 85% を占めています。
・甲状腺機能性結節(プランマー病): 甲状腺結節は、甲状腺内のしこりまたは細胞の増殖です。結節自身が甲状腺刺激ホルモン(TSH)と関係なく、体が必要とする以上のホルモンを産生することがあります。
甲状腺炎: 甲状腺炎は甲状腺の炎症で、痛みを伴う場合と伴わない(無症状)場合があります。出産後 1 年以内に起こることもあります(産後甲状腺炎)。
ヨウ素の過剰摂取:甲状腺機能亢進症のリスクがあり、食事や薬でヨウ素を過剰に摂取すると、甲状腺が甲状腺ホルモンをより多く生成する可能性があります。ヨウ素は、甲状腺が甲状腺ホルモンを生成するために使用するミネラルです。静脈内ヨード造影剤の投与も甲状腺機能亢進症を引き起こす可能性があります。ヨウ素を多く含む薬であるアミオダロンも甲状腺機能亢進症を引き起こす可能性があります。

バセドウ病は、
自己免疫疾患の一つで、
甲状腺刺激抗体が、甲状腺のTSH受容体を持続的に刺激し、
甲状腺機能が亢進します。

下垂体でTSHを産生する細胞が腫瘍化して、
自律的にTSH産生をおこなうこともあります
(TSH産生下垂体腫瘍)。

胎盤から分泌されるヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)には、
甲状腺刺激作用があり、
妊娠初期に一過性に甲状腺ホルモンの産生が過剰になることもあります。

亜急性甲状腺炎や無痛性甲状腺炎は、
破壊性甲状腺炎とよばれ、
炎症により甲状腺濾胞が破壊され、
甲状腺ホルモンが血中に放出されることでおこります。
多くは数か月で自然に改善します。

バセドウ病の家族歴があるかたは、
ヨウ素(昆布など海藻に多い)過剰摂取には気を付けたほうがよいかも。
親、兄弟、祖父母がバセドウ病の方は、
一般の人に比べて20~40倍くらいバセドウ病になりやすいと言われています。


診断と検査
次のようないくつかの方法で甲状腺機能亢進症を診断できます。
身体検査
甲状腺: 触診し、腫れや腫れ、圧痛がないかどうかを確認します。
: 充血、腫れ、眼球突出がないか目を検査することがあります。
心臓: 心拍が速いか不規則であるかを聴診します。
:震えがあるかどうかを確認したり、爪の変化も調べることがあります。
皮膚: 温かく湿っているかどうかを触診にて確認する場合があります。
血液検査
甲状腺ホルモンの高値を調べるために血液採取することがあります。甲状腺機能亢進症の場合、甲状腺ホルモン T3 と T4 の値は正常値を超え甲状腺刺激ホルモン (TSH) は正常値より低くなります。
画像検査
放射性ヨウ素摂取量 (RAIU) 検査: この検査では、少量の安全な放射性ヨウ素 を口から摂取し、甲状腺が放射性ヨウ素をどれだけ吸収するかを調べます。甲状腺が放射性ヨウ素を大量に吸収した場合、甲状腺がチロキシン (T4) を過剰に生成していることを意味します。
甲状腺スキャン:この検査は RAIU の延長であり、甲状腺に吸収された放射能の量を測定するほか、特殊なカメラ (ガンマカメラ) で甲状腺の画像を数枚撮影します。放射性物質により、甲状腺の全体または一部が画面上で「明るく」見えます。甲状腺スキャンを使用して、甲状腺のしこりや結節、炎症、腫れ、甲状腺腫、甲状腺がんの有無を調べることがあります。
甲状腺超音波検査: 超音波検査では、高周波音波を使用して甲状腺の画像を作成します。これは非侵襲的な検査で、医師は画面上で甲状腺を観察できます。この検査を使用して甲状腺の結節を探す場合があります。

採血では、
FT4(free T4)、FT3(free T3)、TSHを計測します。

必要時、
バセドウ病の原因となる自己抗体のTRAb(TSH受容体抗体)
TSAb(
TSH刺激性レセプター抗体)、
TPO抗体(抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体
Tg抗体(抗サイログロブリン抗体)などを測定します。

画像検査は、
一般的には超音波検査が行われます。
核医学検査は、
お手軽にはできず、
限られた施設のみで行われます。


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