甲状腺機能低下症について

東京は今日も最高気温34度です。
80年ぶりの、最も遅い猛暑日になる予報となっております。
いい加減夏バテ気味。

この暑さは、
本州に広がる夏の高気圧のせいらしいですが、
新しく発生した台風13号も、
この高気圧のせいで本州には来ないようです。

来週末以降(9/19以降)はようやく、
最高気温も30度を切ってくるそうなので、
あと1週間の我慢のようです。

甲状腺機能亢進症の次は、
甲状腺機能低下症です。

Hypothyroidism.
Cleaveland Clinicより

甲状腺機能低下症は、甲状腺が十分な甲状腺ホルモンを生成して体内に放出しない場合に起こります。これにより代謝が遅くなり、全身に影響を及ぼします。甲状腺レベルが極端に低い場合、「粘液水腫」と呼ばれます。粘液水腫は非常に深刻な状態であり、次のような深刻な症状を引き起こす可能性があります:
低体温。貧血。心不全。錯乱。昏睡。

「粘液水腫」は、
重度の甲状腺ホルモン不足に際しておこる合併症です。
通常は経過の長い患者でおこります。

低体温を伴う意識障害や呼吸抑制、けいれんなど
が起こることがあります。

発症の誘因としては何らかの重症疾患の合併、感染症、外傷、
中枢抑制作用のある睡眠薬等の服用、寒冷への暴露があります。

約30%のかたがお亡くなりになると報告されています。
(日本内分泌学会)


甲状腺機能低下症の影響を受けるのは?
甲状腺機能低下症は、あらゆる年齢、性別、民族の人々に影響を及ぼす可能性があります。特に 60 歳以上の女性によく見られる症状です。女性は一般的に、若い頃よりも閉経後に甲状腺機能低下症を発症する可能性が高くなります。

日本のデータを見てみると、
橋本病自体は珍しい病気ではなく、
成人女性の10人に1人、成人男性の40人に1人にみられます。

しかし、橋本病のうち甲状腺機能低下症になるのは4~5人に1人未満です。
大部分の人では甲状腺ホルモンは正常に保たれています。

女性に多く、男女比は1:20~30くらいです。
特に30~40代の女性に発症することが多く、
幼児や学童はまれです。
(日本内分泌学会)

甲状腺機能低下症の原因
甲状腺機能低下症には、主な原因と続発的な原因があります。主な原因は、甲状腺に直接影響を及ぼし、甲状腺ホルモンのレベルを低下させる状態です。続発的な原因は、下垂体の機能不全を引き起こすもので、下垂体が甲状腺に甲状腺刺激ホルモン (TSH) を送って甲状腺ホルモンのバランスをとることができない状態です。甲状腺機能低下の主な原因で最も一般的なのは、橋本病と呼ばれる自己免疫疾患です。橋本病では、体の免疫系が甲状腺を攻撃して損傷します。これにより、甲状腺が十分な甲状腺ホルモンを生成および放出できなくなります。甲状腺機能低下症のその他の主な原因としては、以下のものが挙げられます。
・甲状腺炎。
・甲状腺機能亢進症治療後(放射線治療および甲状腺の外科的切除)。
・ヨウ素欠乏症。
・遺伝性疾患。
妊娠後(産後甲状腺炎)またはウイルス性疾患後に甲状腺炎が起こることもあります。

橋本病を持っている人が、
強いストレスや妊娠・出産、
ヨード過剰摂取
(海藻類、薬剤、造影剤など)等を
きっかけとして甲状腺機能低下症を発症し、
橋本病が明らかになるのではないかと考えられています。

橋本病になりやすい体質は遺伝しますが、
上にあげたような何らかの誘因が加わって発病すると考えられています。


妊娠中の甲状腺機能低下症
妊娠中に甲状腺機能低下症を患う女性のほとんどが、橋本病を患っています。甲状腺機能低下症を患う妊婦は、非常に疲れを感じたり、寒さに耐えられなくなったり、筋肉のけいれんを経験したりすることがあります。甲状腺ホルモンは胎児の発育に重要です。胎児が発育中に十分な甲状腺ホルモンを摂取しないと、脳が正しく発達せず、後々問題が発生する可能性があります。妊娠中に甲状腺機能低下症を治療しない、または十分に治療しないと、流産や早産などの合併症を引き起こす可能性があります。

甲状腺自己抗体が陽性の場合、
TSHが2.5µU/mlをこえる程度の軽い潜在性甲状腺機能低下症であっても
流早産や妊娠高血圧症候群のリスクが高く
治療によりそのリスクを改善できることが明らかになっています。

橋本病(慢性甲状腺炎)では、
妊娠を希望する場合には、
TSH2.5µU/ml以下を目標に、
合成T4製剤(チラーヂンS®、レボチロキシン®)の内服を調整します。


甲状腺機能低下症の症状
甲状腺機能低下症の症状は通常、時間の経過とともにゆっくりと進行します。症状には次のようなものがあります。
・疲労感。
・手のしびれやチクチク感。
・便秘。
・体重増加。
・体全体に痛みを感じる(筋力低下を含む)。
・血中コレステロール値が正常値より高い。
・気分が落ち込む。
・寒さに耐えられない。
・肌や髪が乾燥して荒れている。
・性的関心の低下を経験する。
・勃起不全
・月経が頻繁になり、量が多くなる。
・顔の変化(まぶたの垂れ下がり、目や顔の腫れなど)。
・声が低くなり、かすれてしまう。
・物忘れがひどくなる。

甲状腺機能亢進症の逆で、
元気がなくなってくる感じです。
顔もむくんで腫れぼったくなり、
眉毛の外側3分の1が抜けるのが特徴です。

女性では月経過多になることがあります。
うつ病や認知症と間違われることもあります。
血液検査では、
コレステロール高値や肝機能異常を認めることがあります。

甲状腺機能低下症の診断
甲状腺機能低下症の症状は他の病気と混同されやすいため、診断が難しい場合があります。甲状腺機能低下症を診断する主な方法は、甲状腺刺激ホルモン(TSH)検査と呼ばれる血液検査です。橋本病などの病気の血液検査が行われることもあります。甲状腺が肥大している場合は、診察中の身体検査で確認できる場合があります。

橋本病では、
A)甲状腺腫大があって、
B)抗TPO抗体または抗サイログロブリン抗体陽性
(または細胞診でリンパ球浸潤あり)
の時に診断されます。

甲状腺機能低下症は、
A)臨床症状があって
B)遊離T4低値(参考として遊離T3低値)およびTSH高値
の時に診断されます。

(日本甲状腺学会)


甲状腺機能低下症の治療
ほとんどの場合、甲状腺機能低下症は、甲状腺が生成しなくなったホルモンの量を補充することで治療されます。これは通常、薬で行われます。よく使用される薬の 1 つは、レボチロキシンです。この薬を経口摂取すると、体内で生成される甲状腺ホルモンの量が増加し、レベルが均一になります。

甲状腺機能が正常の橋本病では、
原則的に治療は必要ありません。

甲状腺機能低下症がある場合は、
合成T4製剤(チラーヂン®S)の内服を行います。
ヨード過剰が疑われる場合は、ヨード制限も行います。

甲状腺ホルモン値が正常範囲内で、
甲状腺刺激ホルモン(TSH)が高値の場合は、
潜在性甲状腺機能低下症となります


潜在性甲状腺機能低下症の場合は、
妊娠中あるいは妊娠希望の女性では、
速やかに甲状腺ホルモン補充
を開始します。

甲状腺刺激ホルモン(TSH)が10µU/ml以上や、
高コレステロール血症を伴う場合などでは、
合成T4製剤の内服を検討するようです。
(日本内分泌学会)

潜在性甲状腺機能低下症でTSH 10μIU/mL未満で,
特に自覚症状がない場合,
近い将来妊娠の希望がない場合は,
経過観察を行うこともあるそうです。












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