百日咳について
クリスマスも終わり、
年末にむけて慌ただしくなってきました。
本日は、年末とは思えない陽気となる見込みです。
東京都心も11月中旬並みの16℃の予想。
12月下旬に15℃以上が2回観測されると、
8年ぶりのことになるそうです。
夕方以降は次第に寒気が流れ込むため、寒くなるとの予報です。
今日の話題は、
コロナ禍ではすっかり影を潜めていた、
百日咳です。
米国では、パンデミック前の水準に戻ってきているとのこと。
Whooping cough
Mayo Clinic
百日咳は、非常に伝染性の高い呼吸器感染症です。多くの人は、激しい空咳の後に「ヒューッ」という音のような甲高い息を吸い込む症状を呈します。
ワクチンが開発される前は、百日咳は子供の病気と考えられていました。現在、百日咳は主に、ワクチン接種を完了するには幼すぎる子供や、免疫力が弱まった十代の若者や成人に影響を与えています。
百日咳による死亡はまれですが、最も多くみられるのは乳児です。そのため、妊婦や乳児と密接な接触がある人は、百日咳の予防接種を受けることが非常に重要です。
大人だと、ひどい咳が続くというイメージですが、
小児では重症化しやすく、
死亡者の大半を占めるのは、
1 歳未満(特に生後6カ月未満)の乳児となっており、
注意が必要です。
症状
百日咳に感染すると、兆候や症状が現れるまでに約 7 ~ 10 日かかりますが、それより長くかかることもあります。症状は通常最初は軽度で、風邪の症状に似ています。
鼻水、鼻づまり、目が赤くなる、涙目、熱、咳
1~2 週間後、症状は悪化します。気道内に粘液が蓄積し、制御不能な咳を引き起こします。重度で長引く咳の発作は、次のような症状を引き起こす可能性があります。
・嘔吐を誘発する
・顔が赤くなったり青くなったりする
・極度の疲労を引き起こす
次の呼吸のときに甲高い「フーッ」という音を出して終了します。
多くの人は特徴的な咳嗽を発症しません。時には、持続的な空咳が、青年または成人が百日咳にかかっている唯一の兆候であることもあります。
乳児は咳をまったくしないこともあります。その代わりに、呼吸に苦労したり、一時的に呼吸が止まったりすることもあります。
ちょっとあっさりしているので、補足。
百日咳とは
国立感染症研究所
臨床経過
1)カタル期(約2週間持続):
通常7~10日間程度の潜伏期を経て、普通のかぜ症状で始まり、次第に咳の回数が増えて程度も激しくなる。
2)痙咳期(約2~3週間持続):
次第に特徴ある発作性けいれん性の咳(痙咳)となる。これは短い咳が連続的に起こり(スタッカート)、続いて、息を吸う時に笛の音のようなヒューという音が出る(笛声:whoop)。この様な咳嗽発作がくり返すことをレプリーゼと呼ぶ。しばしば嘔吐を伴う。
3)回復期(2, 3週~):
激しい発作は次第に減衰し、2~3週間で認められなくなるが、その後も時折忘れた頃に発作性の咳が出る。全経過約2~3カ月で回復する。
成人の百日咳では咳が長期にわたって持続するが、
典型的な発作性の咳嗽を示すことはなく、やがて回復に向かう。
他のウイルス等(アデノウイルス、マイコプラズマ、クラミジアなど)のでも同様の発作性の咳嗽を示すことがあり、診断は難しいです。
百日咳菌に対する治療として、
生後6カ月以上の患者にはマクロライド系抗菌薬が用いられます。
(エリスロマイシン、クラリスロマイシンなど。
新生児ではアジスロマイシン。)
これらは特にカタル期では有効であるそうです。
流行期はとりあえず抗生剤出したくなります。
原因
百日咳は百日咳菌と呼ばれる細菌によって引き起こされます。感染者が咳やくしゃみをすると、細菌を含んだ小さな飛沫が空気中に撒き散らされ、たまたま近くにいた人の肺に吸い込まれます。
原因菌ですが、
グラム陰性桿菌である百日咳菌(Bordetella pertussis)となります。
一部はパラ百日咳菌(Bordetella parapertussis)も原因となるそうです。
感染経路は、
鼻咽頭や気道からの分泌物による飛沫感染、および接触感染です。
子どもの頃に受けた百日咳ワクチンの効果は、やがて薄れていきます。そのため、流行時にはほとんどの十代の若者や成人が感染しやすい状態になり、流行は定期的に続いています。
12 か月未満の乳児で、ワクチン接種を受けていない、または推奨されるワクチンをすべて接種していない乳児は、重篤な合併症や死亡のリスクが最も高くなります。
百日咳ワクチンの効果は、
接種後約10年間ほどとなっていますので、
流行期は、成人はほぼノーガードですね。
大人では、
しつこい咳のみが症状となることが多く、
知らず知らずに乳幼児にうつしてしまう危険があります。
合併症
十代の若者や成人は、百日咳から問題なく回復することがよくあります。合併症が発生する場合は、激しい咳による副作用であることが多いです。たとえば、次のような症状です。
・肋骨の打撲またはひび割れ
・腹部ヘルニア
・皮膚や白目(眼球結膜)の部分の血管が破れる
乳児
乳児、特に生後 6 か月未満の乳児の場合、百日咳の合併症はより重篤で、次のような症状が現れることがあります。
・肺炎
・呼吸が遅くなったり止まったりする
・摂食困難による脱水または体重減少
・発作
・脳損傷
乳児や幼児は百日咳による合併症のリスクが最も高いため、病院での治療が必要になる可能性が高くなります。生後 6 か月未満の乳児の場合、合併症は生命を脅かす可能性があります。
大人だと、しつこい激しい咳です。
咳をしすぎると肋骨(肋軟骨)にヒビが入って痛むこともあります。
乳児はワクチン接種は必須です。
2024年4月以降、5種混合ワクチンを用いた接種が可能となっています。
(百日せき・ジフテリア・破傷風・不活化ポリオ・ヘモフィルスインフルエンザ菌b型 )
成人用に輸入3種混合ワクチンを自費で接種できるところもあるようです。
効果の程などはよくわかりません。
診断
百日咳の初期段階での診断は、その兆候や症状が風邪、インフルエンザ、気管支炎など他の一般的な呼吸器疾患の兆候や症状と似ているため、難しい場合があります。
検査には次のようなものがあります。
・鼻または喉の培養検査。医師は鼻と喉が接する部分(鼻咽頭)から綿棒または吸引器でサンプルを採取します。その後、サンプルを調べて百日咳菌の存在の証拠を探します。
・血液検査。白血球は、百日咳などの感染症と闘うために身体を助けるため、血液サンプルを採取して検査室に送り、白血球数を調べることがあります。白血球数が高い場合、通常は感染症または炎症があることを示します。これは一般的な検査であり、百日咳に特有のものではありません。
・胸部X線検査。医師は、百日咳やその他の呼吸器感染症に肺炎が合併した場合に起こる可能性がある、肺の炎症や体液の存在を確認するために、X線検査を指示することがあります。
白血球数や胸部レントゲンでは診断は難しいかと。
大人では、典型的な症状や経過をたどらないことも多いです。
確定診断の方法として、
細菌培養や、採血での抗体価測定、PCR検査がありますが、
①鼻咽腔からの細菌培養は検出率が低く、
②血清診断は、感染と維持された抗体との鑑別が必ずしも明確ではない。③PCR、LAMP法などによる核酸検出法は、健康保険の適応になっておらず、検査可能な施設は限られています。また、核酸検出法は検出感度が高すぎて、必ずしもその診断的意義は確定していない。
大学生などにおける百日咳流行についての注意喚起
(小児科学会)
2週間以上続くしつこい咳をみたら疑うしかないですね。
(3週間くらい経過すると抗生剤もあまり有効ではないそうです。)
予防法としては、
手洗い、マスク、咳エチケットに
気を付けるくらいしかないですかね。
咳が出るときは、
なるべく乳児には近づかないように
(当たり前ですけど)。