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大きさだけじゃない!『クリフォードの大冒険で見える真の価値』
正月明けの週末、いかがお過ごしでしょうか。
ドイツでは正月よりもクリスマスが一大イベントなので、仕事はじめは2日から早々にスタート。
ということですっかり正月ボケも抜けて仕事に復帰できて一息ついている私です。
そんな週末は天気も悪く、また冷え込んできたので子供と一緒に映画でも観て過ごしました。
アマゾン・プライムで、映画・ファミリー向けで何かないかなぁーと探していたら
「パパ、これみようよ」
と子供が食いついたのが、これでした。
(えっ、なにこのデカい犬??)
というのが第一印象だったんですが、まぁ子供が観たいならいいか、と思い観てみました。
あんまり期待せずに観たところ、色々メッセージ性もあってなんだかんだ面白かったです。
まずは単純に子供が観て楽しめる。
まぁでっかい犬ですからね。動物が好きならこの犬の表情やしぐさだけで満足できる場面がたくさんあります。
そして大人の私目線では、人種の違いによる分断が進む昨今に対して、愛を持って接しましょうというハートフルなメッセージが面白ポイントでした。
では感想の前に簡単にあらすじを紹介したいと思います。
舞台はアメリカ・ニューヨーク🗽
学校で嫌がらせを受ける12歳の少女エミリーが赤い子犬と出会ったと思ったら急にでっかくなる。
そこからパッとしない叔父と同級生のアジア系の男の子と3人とデカくて赤い犬のクリフォードが悪者と繰り広げるドタバタ劇、というのがおおざっぱなあらすじです。
先にも触れましたけど、この物語の背景にアメリカが抱える人種の違いによる分断という課題に触れている部分が私にとっては興味深いところでした。
主人公エミリーが住んでいるところが移民の多い地区で、近所にはちょっと変わった人ばかり。
ヒスパニック系のスーパーの経営者、アフリカ系の弁護士など、どちらかというとマイノリティ側の人たちが集まっている。
一方で、その主人公に嫌がらせをする生徒はアングロサクソン系でお金持ち。露骨に人を見下すタイプとして描かれている。
そしてでっかくて真っ赤な子犬クリフォードは、みんなと「色」も「姿」も異なるマイノリティのメタファーとして描かれていると理解した。
このクリフォードが先ずはエミリーの住むちょっと変わった人たちの人気者になるシーンが面白い。
ある人が屋上で衛星放送のアンテナを取り付けているところ、誤って屋上から落っこちてしまうというアクシデントが発生。
その時、事件を察してとっさに走り出すクリフォード。その人を危機一髪のところで助け、町のヒーローとなる。
ここに描かれている異質な者に対する心理描写に私は興味を引かれました。
最初誰もがクリフォードの色だったり大きさに驚く。
そしてその異様さに好奇心を刺激されるものの大部分は恐怖心を抱く。
でも、そのクリフォードが彼の個性であるその大きい体を活かして人を助けるという勇敢な姿を目の当たりにした瞬間に人々の抱いていた違和感はただの思い込みにすぎないことに気がつく。
そうしてその思い込みというフィルターがなくなれば、その異質はユニークという魅力に変わり特別な存在となる。
そしてそれをどストレートに訴えるのが終盤のエミリーによるスピーチのところ。
ニューヨークの街ですっかり知られてしまったクリフォードが警察に追い詰められいよいよ捕まってしまうというところで、エミリーが市民に向かってスピーチを行うシーン。
世界はユニークな人が変えていく
お互い見た目が違っても
愛を持って接すれば乗り越えられる
みたいな正直ありきたりなメッセージなんですけど、でも私はどストレートでいいなと思うし、度々忘れてしまう大事なメッセージだなと思って受け止めました。
原作にこのメッセージが込められているかは分かりかねますが、1963年から60年経った今でも人種の違いによる問題ってなかなか解決しない課題だなぁと思います。
昨今はますますエスカレートしてしまい色々なところで分断が起こっている。
この映画はコメディ要素満載で純粋に犬が好きで癒されたり、ドタバタコメディで楽しんだりするのもいいと思います。
個人的にはそのストーリーの背景に込められたマイノリティに対するメッセージがいいな、と感じたので感想を書いてみました。
以上、アニメ映画「クリフォード 小さな赤い子犬」の紹介でした。子供が楽しめるだけでなく、人種の違いによる分断をテーマにしたメッセージも含まれており、現代社会に対する考えさせられる作品です。是非、ご家族で観てみてください。