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自己満足のドイツ駐在記録 (3) | はじめての海外運転
2016年4月。
ロンドン・ヒースロー空港に到着。
到着早々、私にはとびっきりの試練が待ち受けていた。
それは海外での運転。
イギリスはまだ右ハンドルなので良いものの
看板の意味もよくわからないし
細かいルールは知らないし
不安はいっぱい。
特によく分からないのが、ラウンドアバウト。
今では日本でも導入された交差点の種類。
ドーナッツみたいに丸くなってて、車が来ていない隙に入って、自分が行きたい道でスッとそのドーナッツから出ていくというやつ。
ウインカーにもルールがあって
一本目で出るなら「右」のウインカー
直線方向ならなし
左折方向なら「左」のウインカー
みたいなルールだった。
※ドイツだとラウンドアバウトから出る直前にウインカーを出すので、イギリスはちょっと違ったと記憶しています。
とにかく不安だらけだったので、ヒースロー空港の駐車場からイギリスのオフィスまでの道のりをグーグル・ストリート・ビューで何度も確認。
(ここを左に曲がったら真ん中の車線っと…)
(ここに横断歩道があるから注意っと…)
などなど、予行練習をパソコンの中で何回も繰り返し、自分の不安を和らげての本番。
無事レンタカーを受け取りいざ出発。
駐車場を出ていよいよ公道へ。
最初に待ち受けていたのが、ラウンドアバウトだ。
ヒースロー空港を出た初っ端からこのラウンドアバウトが待ち構えていた。
しかも4方向のシンプルなやつじゃなくて、巨大で幾つも出口があるタイプ。
(大丈夫、大丈夫。あれだけグーグルマップで予習したから出口の道は分かっている)
しかし、いざラウンドアバウトに入ろうとすると、なかなかタイミングが掴めない。
後ろからは「早よ行け!」のクラクション。
もう、勢いでラウンドアバウトに飛び込んだ…
(おおー、ドーナッツの中に入ったぞ!)
ととにかく前の車について行き、なんとかラウンドアバウトをクリアー。
そこからは高速道路に突入。
(あれ、料金ゲートとかないの?)
と、ここでも少々の戸惑いはあったが、とにかく目の前の車についていくことが精一杯。心臓バクバクしながらハンドルを握っていた。
高速に合流し、ここからはしばらく道なりに進む。
(とりあえずここまできたか…)
と一山は超えたかな、という心境。
でも高速だからスピードには気をつけないとな、と思いメーターパネルに目をやる。
しかしそこには2とか3あたりをうろうろする針が目にとまる。
(あれ?これどういうこと?)
距離の単位がキロではなく、マイルだから気をつけなければならないとは聞いていた。
日本だと、時速100キロ。でもイギリスは時速70マイル。
なので「70」を超えないように気をつけなければ、と思って「70」という数字を期待していたのに、目に飛び込んできたのは1とか2とか3…。
どれだけアクセルを踏んでも3に届くか届かないか、そしてすぐにまた2のところに戻る。
(やばい、この車は壊れている。全然スピード出ないんだ。どうしよー!)
と内心パニックになりながら、とにかく高速の右車線、目の前のトラックのお尻を捉えながら必死になって運転していた…。
そんなパニック状態、手汗びっしょりでもなんとかかんとかでようやくイギリス支社に到着。
駐車場に着いた時は
(無事着いて良かった…)
とどれほど安堵したことか…。
オフィスに着いて挨拶を交わし
「初めての運転はどうでした?」
と聞かれたので、
「いやー、怖かったですよ。なんかこの車スピード全く出ないんですよ。どれだけ踏んでも2とか3とか、よく分からない数字までしか上がらなくて。それでずーっとトラックの後ろをついてきたんですよ。」
そんな私の苦悩を説明していたら
What are you talking about??
と困惑顔。それはそうだ。2とか3とかは車のスピードではない。時速2マイルは時速3.2キロ、徒歩だ。
要は私の説明は、高速道路を歩くようなスピードで運転してきた、と言っていたようで相手は相当な困惑顔だった。
オフィスに着いてもうすっかり緊張もほぐれていたのでそこで冷静になって考えた。そこでようやく私の謎が解けた。
(あっ私がみていたのはもしかしたらタコメーターだったのかも…)
私が日本で乗っていた車のメーターパネルは
左がスピードメーター
右がタコメーター
イギリスで借りた車はそれが逆。
左がタコメーター
右がスピードメーター
私はなぜか必死に左のメーターだけをみていた、ということにようやく気がつくことができた。
「結局、何キロで走っていたんだい?」
と改めて聞かれたので
「緊張してタコメーターしか見ていなかったので分からない」
と答えたら、スタッフ一同爆笑。
その瞬間から私の印象は
「運転が下手でちょっとズレている人」
からスタートとなってしまった。
第一印象はビジネスにおいてとても大切です
というのは社会人の基本の「キ」である。
そんなことを重々承知している私は初っ端からやらかしてしまったなぁ、とつくづく思う初日だった。
ここから2ヶ月の研修でなんとかこのイメージを払拭できるよう頑張らねばと決意した私でした。
つづく