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自分に合う人とは

「いい人いませんか?」
「いい人紹介してください」
よく言われます。

けれど、こういう時ってだいたい「いい人」がどんな人なのか本人もわかっていません。どんな人が自分に合う人なのか、どんな人と付き合ったり結婚すればいいのか。今日はそんなことを書いてみます。

以前『この差って何ですか?』というTV番組が、離婚経験のある男女1000人に聞き取り調査をしました。

その調査によれば、離婚経験のある1000人の中で、生まれ順が違ったのは823人です。そして、離婚の最も多かった組み合わせは、「長子と末っ子」です。

長男長女というように、「長子同士は相性が良い」とよく言われます。共通部分を多く持つからです。また「長子と末っ子は相性が悪い」とも言われます。異なる部分(対立する部分)を多く持つからです。

「自分と似た人」を選ぶことが正解で、「自分と似ていない人」を選ぶことは間違いなのでしょうか。

そもそも、「離婚していない=幸せ」ではありません。結婚生活40年で不幸な人もいれば、一年で離婚して幸せな人もいます。長ければ良い訳ではなく、短いのが悪い訳でもありません。

ただ、離婚を経験した人達の中で、生まれ順が違う2人(例えば長子と末っ子)が多いということは事実のようです。さて、自分に合う人とはどんな人なのでしょうか。

ひとつ面白い話があります。人生の達人と言われた臨床心理学者の河合隼雄(1928-2007)によれば、夫婦とは川の中の二本の杭です。近くの杭を選ぶと網は張りやすいが魚の収穫は少なくなります。遠くの杭を選ぶと網を張るのに苦労しますが魚の収穫は多くなります。

ざっくり言えば、近くの杭とは自分と似ている人。共通部分を多く持つ人です。自分と似ている人と一緒にいれば、2人の関係が維持しやすいのは容易に想像できます。価値観や考え方で対立することが少ないからです。

遠くの杭とは自分と似ていない人。つまり異なる部分を多く持つ人です。自分と似ていない人と一緒にいると多くの対立が生じます。価値観や考え方が違うからです。ただ、それは世界が広がることにもつながっています。

共通部分は2人の関係を維持させるのに役立ち、対立する部分は2人の関係を発展させることに役立っています。共通部分があるから一緒にいたくなり、対立する部分があるからお互いに成長することができるというわけです。

夫婦はその共通部分を関係の維持のために必要とし、対立する部分をその発展のために必要としているのである。対立部分のみが拡大され、それを支える共通部分が弱いと破局が来るし、共通部分は多くあっても、対立部分が少ない時は、その関係は魅力を失い、冷たいものとなってしまう。

河合隼雄(1994)『流動する家族関係:河合隼雄著作集 第14巻』岩波書店,p.44


 さて、自分に合う人とはどんな人なのでしょうか。似ている所と似ていない所、両方に注目してみると、人との出会い(例えば合コンとか!)が更に楽しくなるのではないかなと思います。

大切なことは正解を見つけることではなく、自分が納得できる答えにたどり着くことです。失敗してもモーマンタイです。反省するところは反省し何度もやり直せばいいだけです。

いいご縁がありますように。



【引用・参考文献】
河合隼雄(1994)『流動する家族関係:河合隼雄著作集第14巻』岩波書店

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