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解答速報に異議あり! 令和6年度後期保育士試験(筆記)雑感

こんにちは、近藤ろいです。
"スキ"などを頂きありがとうございます。

上の娘・5歳。弱視治療をしています。「遠視性不同視弱視」といいます。左目が強い遠視であまり見えておらず、治療をしなければ将来眼鏡をかけても視力が出ないかもしれない状態です。

普段は布アイパッチを健眼にして、遮蔽訓練をしてもらっています。

このブログは、そんな娘の片目弱視をテーマにした記事を中心にお送りしています。
デコレーション付き布アイパッチの作成経過など。

しかし、時々、ニッチすぎる本題から外れて、一般的に関心の高いと思われる話題についても挟みます。このサイトの宣伝を兼ねて。

ということで今回は、縁あって受けることになった保育士試験の雑感です。


令和6年 保育士試験(後期)を受けてきました

令和6年5月に下の子(今2歳)の育児休業から復帰したのですが、復帰後に与えられた仕事の関係で、
突如として「保育所・こども園の認可基準や運営基準」を身に着ける必要性に迫られました。

私は普段は臨床心理士。
事務寄りとはいえ「現実原則なんてさておき」のような専門性に染まっている自分が、
法と通知文と全く未経験の制度体系に飛び込むことになったのは結構な負荷でした。

よっし、せっかくならアウトプットしよう!

という、おそらく受験者の中でも最底辺の気楽な気分で臨んだ試験。
昨今の保育士不足も痛感し、何かの機会にいささかなりとも人のお役に立てれば、という気概もありました。


ただ、真面目に過去問など勉強したのは、
試験前日の午後からです。


くたびれた40代、試験前でも寝落ちするの巻


平素は仕事が忙しく、時間があったら子どもと一緒に寝てしまう体力のない40代。
休日は子どもの相手+最低限の家事。
隙間の時間があれば、持ち帰りの仕事。

さらに、試験3週間前は子どものアデノウイルスがうつり私が発熱、
試験の2週間前は下の子がひどい手足口病になりつきっきりでお世話、
試験の1週間前は上の子にうつって5日間ほどまともに喋らず、食べずなので、そちらにつきっきり。

仕事も何日か休んだので、家でも個人情報に触れないような仕事の下準備をしてカバーする。

…というていたらくで臨むハメになりました。


「さすがにノー勉は無理だろう」と、試験前日の午後に何とか休暇を頂き、
子どもの保育園お迎えの前に初めて過去問に向き合うこと3時間。

子どもが寝た後、なんとか起きて、翌日に使うための鉛筆を削りながら(遅!)、
寝ぼけ眼で過去問の続きを眺めたのが2時間。

試験当日の朝に、夫に子どもを任せて早めに家を出て、試験会場近くのマクドで勉強すること2時間×2。

計9時間の学習で筆記に望みました。


自己採点では800点満点中680点(平均点85点、教育原理と社会的擁護は1つとみなして算出)で筆記は合格している模様です。

通知が来るまではわかりませんが。

さすがに保育実習理論は低い点数でした。属七の和音め。


効率よく試験対策ができた訳

別にワタシはすごいぞ、あたまがイイゾと言いたいのではなく、

  • 仕事で頭に叩き込むことになった児童福祉法、子ども子育て支援法その他関連法案、保育所保育指針

  • 保育所等のための感染症対策ガイドライン、大量調理マニュアル、保育所におけるアレルギー対応ガイドライン

  • 定職に就く前に都道府県や市の福祉事務所系を転々としていた経験

にとても助けられました。

3番目の経験により「この事業は…あの事務所の時、斜め前の○○さんが『私の業務ではこれに何か新たに対応する必要があるんですかねえ』と言っていた」とか、
「この費用助成は…都道府県事務所にいた時に問い合わせを受けたことがないから市町村事業」
といった独特の解き方をしていました。


保育士試験は単なる暗記テスト、全国クイズ大会なのではなく、
保育所という有機体をいかに法令や通知をもとに理解しているか、ということを問われているのかなあ、と感じました。

2児の母親という経験にもかなり助けられたのですが、
おそらく他の受験生にはない知識として、

  • 横浜市とか東京都などの保育所乱立地帯が出している保育所認可上の指針(試験向けテキストではバラバラに載っている様々な保育所の基準が、運営していくための一つのまとまりとして記載されているので理解しやすい)

  • 様々な自治体が出している、事業者向け指導監査のポイント
    (適正な運営のためには何が問われるか=保育士試験で出やすいところ=受験生にわかっておいてほしいところ)

  • 同じく、事業者向け「指導監査でよく指摘事項となった項目」などの公開資料
    (見落としやすいけど、保育所運営のうえで大切なこと)

  • 過去5年分くらいの児童福祉関係の予算要求資料
    (その時アツいトピックスや法令改正が要約されてスライド資料になっている=ヤマのかけどころ)

  • ついでに全国こども政策主管課長会議資料(膨大)

このあたりに親和性があったのが強みだったように思います。
試験向けのテキストだけではなく、現場で実際に法令や指針がどのように生きてくるかや、
法令改正→予算要求→事業 という関連付けの理解に役立ちました。


なんで保育士試験に社会的擁護(笑)って思うかもしれないけれど、就職先が児童養護施設になるかもしれない。
そこにいる子どもたちは本当に法や通知にのっとって適正に扱われているか?を自分の頭で判断しなくてはならないし、

なんで保育士試験に大量調理マニュアル(笑)って思うかもしれないけれど、ブラックな保育所なら「今日は調理の先生が足りないから新人のあなたが調理員をやって」と言われることがあるかもしれない。

その時に、何の疑問も持たずに引き受けるか、「検便もしていないのに? 2回手を洗わなくていいの?」と尻込みするかで、入所している園児の安全を守れるかどうかが違ってくるかもしれない。

保育士試験で問われているのは「暗記が得意かどうか」ではなく、
「保育士という立場で、時には法に触れるような状況かもしれないところで働くことになった時に身に着けておくべき知識」なのだと感じました。

ところで速報に異議あり


そうそう! これを言っておきたかったの!

保育士試験一次が終わると、ユーキャンや保育人材バンクさんなどの大手業者さんが解答速報を出してくださいます。

今回はその内容に2つ、臨床心理士として異議ありの回答がありました。

1つは業者によって回答が割れているという「保育実習理論」問20

私は少数派ですが、4が正解だと思う。

なぜなら選択肢Aは「自己覚知」を求めていますが、本人なり既に自分自身を振り返れていると思うから。
より深い考察をしたいなら「今回このような対応をしたのは、自分の父親との関係を投影していて…」みたいな自己理解もありますが、今回はそこまで必要ではないでしょう。

そして選択肢Cは、児童の振る舞いは年齢からみれば不適切かもしれないけれど、言葉によるコミュニケーションを図るほど精神的に成熟していないからこうなっている。
それを「言葉によるコミュニケーションを図りなさい」と言うのは、児童にとって酷。
怒って泣きだしちゃう2歳の子どもに「何が不満なのか言葉で言いなさい」と言うようなもの。

というか、言葉による感情表現が未熟な子に言葉によるコミュニケーションを強いたら、
自宅で母親が新しい男を連れ込むたびにやっていた"膝の上に乗りつつ、『はやくしゃぶらせて』と言う"を再現しかねない。
保育士の卵さん泣いてやめちゃうわよ〜。


と思い、×にしました。
なすべき対応は、「それとなく身体接触を交わしながら、対象児童の気持ちを言語化してやりつつ、そうした行動をされたときの相手側の健全なな反応(嬉しいけど、そんなことされたら何だか恥ずかしいわ、など)を明確に言葉で伝えることにより、適切な距離感をそれとなく伝える」だと思います。


もう一つ。どこの業者も回答は割れていないようなので、
全く話題になっていないけれど「保育の心理学」の問18、自閉スペクトラム症に関する記述

選択肢C「対人関係を築くことが難しく、一人でいることが多い」って何だよう。

積極奇異型もあるし、診断のある無しに関わらず、脳の持つ特性や感覚の過敏さが大衆とずれてしまっていて、対人関係を築くことが難しくても、
それでも自分も誰かと一緒にいたいと思うから、本人は苦しいのよ。


ということで選択肢Cを✕にするため、道連れで選択肢Aにも不正解になってもらいました(みられることがある、ではなく「みられる」と言い切るのが正しいとこじつけ)。


保育士養成協議会の正式回答やいかに

ということで今回は「くたびれおばさん、独学で9時間ほど勉強して保育士試験筆記を一発で突破したかもしれない」という掴みをもとに、

「児童養護施設にいて年齢に不相応なコミュニケーションを図る子どもに対して、言葉によるコミュニケーションを図るよう言うのは突き放されたような気分になるかもしれないから、職員は自分の身を守りつつ、相手の精神面の発達をうながすような受容的な対応をした方がいいんじゃないかと思う」
「自閉スペクトラム症はいたくて一人でいるんじゃない」
の2つを訴える記事でした。

いや~これでどちらも私の見解が外れていたら恥ずかしいですね。
特に前段でカッコつけただけに。

でもそれをおしてでもぶち込みたい反論でしたので。



そしてついでに、もしもこの記事を書いた近藤ろいの普段の記事に興味を持ってくださったら、
ぜひこちらあたりにお立ち寄りください。

「令和4年度から厚生労働省が費用助成を始め、全国に広がりつつある3歳児健診(母子保健法第12条)での屈折異常検査により、わが子が片目がほとんど見えていない遠視性不同視弱視と診断された話」

今は二次試験(実技)の準備をしているので、記事の更新止まります!

ではまた!