「安全で快適な抜管」を実現する5つの準備
「麻生さん!!落ち着いて!手術終りましたよ!」
「うおぉー!こ✗ん△C□*K・・」
こんな麻酔の終わり方は嫌ですよね。
覚醒や抜管に伴う興奮は術後の合併症を増やします。
喉頭痙攣や、気道損傷、交感神経亢進による循環動態の変動、創部離開などがあります。
静かに穏やかに目がさめて、いつの間にか抜管されていた、、。
そんな覚醒・抜管を目指して私が実践してきた5つの準備について解説します。
「いつもmegane先生の抜管は穏やかですね」と評価いただいています!
(毎回うまくいくとは限りませんが、勝率は高いと思います。)
先にポイントをお伝えすると「覚醒前にできることはやっておく」ということ。
今日から「安全で快適な抜管」を一緒にやっていきましょう!
さきに、まとめのスライドをおいておきます↓
■ 覚醒前にすべてを整えておく
原則は、抜管できるそのときに
「あとは抜くだけ」という状態を作っておくことです。
患者さんが覚醒してからいろいろな処置を始めたのでは、遅すぎます。
ムダに苦しい時間が増える。
合併症が増加する。
いいことはありません。
■ バイトブロックをかませる
下準備としてまずバイトブロックをかませます。
これは抜管に向けた処置中はもちろん、
抜管するときにチューブを噛まれてしまうのを防ぐためです。
チューブが噛まれてしまうと患者さんは息ができません。
安全のためにくわえておいてもらいましょう。
■ 吸引できるものは吸引しておく
気管内吸引
胃内吸引
口腔内吸引
お口周りはドライに。
抜管のときに関係する液体類をあらかじめ取り除いておきます。
誤嚥を防ぐために重要です。
気管内吸引はルーチンではやっていませんが、
聴診や術中所見から痰が多い場合やっています。
刺激はかなり強い手技になるので、麻酔が効いているうちにやりましょう。
■ 抜けるものは抜いておく
胃管
体温計(咽頭・食道温)
余計な刺激物も取り除きます。
胃管は胃内容を可能なかぎり吸ってから。
体温計は口・鼻から入っているものは抜きましょう。
■ はがせるものははがしておく
挿管チューブ固定テープ
メパッチ
挿管チューブを抜くときに、なかなか固定テープがはがれなくて、わたわたしてしまう、、。
「ぜんぜんテープの端がはがれてこない!」
ありますよね。
あらかじめ、はがしましょう!
「チューブが抜けてしまうのが心配」という意見もあると思いますが、大丈夫です。
抜けないようにあなたが見ていてください(笑)
そしてメパッチは、もろもろの処置が終わったら優しくはがしましょう。
角膜損傷を防ぐ目的で貼っているので、さいごに取ります。
■ そっと待つ
さて、あとは麻酔を切ってそっと待ちましょう。
これ以降は患者さんになるべく触らないようにします。
対極板をはがしたり、清拭、おむつをはかせる、などの処置は急激な覚醒につながります。
ゆっくり、そっと覚ましていくのには理由があります。
が、説明が長くなってしまうのでこれはまた別の機会に。
答えだけ言っておくと、
「自発呼吸を確認したい」からです。
患者さんが自分で呼吸をし始めて、目を覚ましたらいよいよ挿管チューブを抜きます。
覚醒したらすぐに抜管しましょう!
■ さいごに
「安全で快適な抜管」を実現する5つの準備
について解説しました。
ポイントは「覚醒前にできることはやっておく」ということ。
具体的には以下の5項目です。
■ バイトブロックをかませる
■ 吸引できるものは吸引しておく
- 気管内
- 胃内
- 口腔内
■ 抜けるものは抜いておく
- 胃管
- 体温計(咽頭・食道温)
■ はがせるものははがしておく
- 挿管チューブ固定テープ
- メパッチ
■ そっと待つ
ここまでやっておいて、覚醒したらすぐに抜管します。
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