ペーパードライバーが巨大車用品店に行った話④
かくしてドライブデビューは忘れられない思い出となった
よく、海まで無傷で辿り着いたと後々振り返ってしみじみもするし、震える
あれから、知人は車を貸してくれなくなったので、私は一人でレンタカーを借りて練習するしかなかった、が
どうしても駐車ができない
永遠に高速道路を走ることは出来るけれど、どんなに走っても目的地に車を停められなければ何の意味もない
再チャレンジで一人神戸をめざしたが、トイレに行きたくなってもまた停められず、一時間でレンタカー屋に戻ってしまった
レンタカー屋さんのお兄さんの、「もうお帰りですか」と言った時の笑っているような、怯えているような、なんとも言えない表情は今も夢に出てくる
恥ずかしくてさっさと帰ろうとしたら
「お忘れですよ!」
とまたあの顔でおいかけてきて、私が貼った2枚の初心者マークを返された
今に見てろよ
私は特訓をした
群馬の実家に帰り、空き地で駐車の練習に家族に付き合ってもらったのだ
みっちり2時間
それでも駐車のコツはつかめなかった
父は助手席で必死になって高血圧で倒れそうだったし、後ろの席で母は涎を垂らして寝入っていた
もう運転は諦めよう
そう思い始めた
でも、おばあちゃんになって足腰が悪くなったら移動はどうしよう
駅まで歩くのはきついだろうな
こうなったら、毎日タクシーを使えるような大富豪にならないといけないな・・・
不安は尽きないが、もう怖かったり、恥ずかしかったり、人に迷惑をかけたりするのはごめんだ
私は、初心者マークと免許を
箪笥の奥の奥にしまった
それから私は運転とは縁のない生活をしていたし、もう苦い思いでも脳の奥底に追いやられていた
今年のはじめ
師匠に初詣に誘われるまでは…!