忘れられないこどもたちの言葉。 愛と、戦争と。
こんにちは。
私はベルリンのこどもミュージアムで働いています。
こどもミュージアムには、いろいろなところからいろいろなこどもたちが来ます。
今日は、忘れられない言葉に出会った1日のお話をしたいと思います。
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こどもたちとお絵かきをしていたときのこと。
一年生になって文字を習いたての女の子が、だいすきなおばあちゃんの絵を描いて、その下に、
「おばあちゃんはとーってもふとっちょ。あいがぱんぱんにつまってるから。」
なんて愛情に満ちた幸せな関係!
優しくて愛情いっぱいのおばあちゃんと、おばあちゃんがだいすきな女の子。
こどもの発想って本当におもしろい!
私は言葉が出ないくらいにじぃーんっと来てしまって、しばらくその女の子の絵を見つめていました。
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その後しばらくしてから、男の子数人のグループとおしゃべりしながら遊んでいると、1人の男の子が、
「なんでドイツに住んでるの?あなたの国も戦争してるの?」
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私はまたしても言葉を失ってしまいました。
その男の子はシリアからの難民で、お父さんとお母さんと妹とドイツに来たそうです。
おじいちゃんやおばあちゃん、他の親戚も友達もみんなシリアにいて、会いたくても会えない。帰りたくても帰れない、と。
自分の国が戦争をしていないのに、なんで家族がいる自分の国に帰らないのか、と。
覚えたてのドイツ語でぽつりぽつりと話してくれた後、ふっと黙ってから、ぱっと立ち上がって走って行ってしまいました。
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大人になった私たちは、曇ったメガネをかけている。
いろいろなことがわかったような気になって、たくさんのことを見て見ぬ振りをしてる。
こどもたちのまっすぐで鋭い言葉に気づかされること。
こどもたちの豊かな想像力が視界を広げてくれること。
私は、こどもたちから学ばせてもらってばっかりです。
こともたちのために、自分にできることはなんなんだろう。。
よく考え込んでしまいます。
こどもたちが安心して思いっきり遊べる環境を作ろう。
頭や心の片隅に、小さな気づきや楽しかった瞬間を持って帰ってもらえるような、そんな時間と場所を。