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【今は無きホテル】 三笠ホテル

まさか取り壊すとは思っていなくて、見学に行っておいて心底良かったと思ったホテルの話。

三笠ホテル(1906年開業)

宮崎駿監督の風立ちぬを観たとき「似てる!」と思って確かめに行くことに。映画に出てきた草軽ホテルのモデルとなったホテルにはこの三笠ホテル以外にも諸説あるみたいで、万平ホテルだという説も、上高地帝国ホテルだという説も、すべてからアイデアをとったとも。

個人的にはすごく素敵な映画だと思ったんだけど、一緒に観た3人は退屈しちゃったと言っていたし、賛否両論がある作品だったみたいですね。ホテルのシーンも素敵だったけどな〜😍

それまでは三笠通りを散歩したときに立ち止まって眺めるだけで満足だと思っていたホテルだったのに、映画でホテルのシーンが出てきたことで中まで入って見て見たい♡ という気持ちに。まさか数年後に取り壊されることになると思っていなくて写真も撮らず😢 残念なことをしたものだけど、せめて見学だけでもしておいて良かった!

左右にウイングを広げた鳥のような建物を見て、おもわず飛行機が大好きだった堀越二郎(風立ちぬの主人公)を思い出す。玄関を入っての大きな階段は贅沢に左右どちらからも上がれる好みの形✨(ホテルの階段、大好き!)

見学したとき印象に残ったのが、建物が落成してから家具類を調達したのかな?と思ったこと。箪笥が窓にはみ出していたり、ベッドがドア枠にかかっていたり、家具のサイズが部屋に対してちょっとちぐはぐ

なんてったって明治38年とかの落成だし、ホテルを創ったのは父親から譲り受けた土地酪農でもしようと思っていたような35歳の男性。なんでも、譲り受けたその土地は牧草が育ちにくい環境だったとかで「ならばホテルを」と建設されたのが旧三笠ホテルなんだそう!

代々やっていた旅館を増改築してホテルにした(お近くの万平ホテルみたいに)というならまだしも、明治という時代にいきなりホテル経営に乗り出すってすごいと思うんだけど、そこは広大な土地を23歳で譲られるくらいのおぼっちゃま。万年赤字の道楽だったというのが本当のところみたいです。(それでも文化人や財界の重鎮が気に入って滞在していたんだからすごい✨)

おまけに、かなり本格的なホテルにしちゃったところもすごいですよね。客室も30部屋とか設けてプールまで作って。窯元まであったらしく(ほんとに金持ちの道楽っぽい!)私でも知ってるバーナード・リーチさんも滞在したことがあるとか😍 2キロくらいある軽井沢の駅までは馬車で送迎ですって!

取り壊しは本当に残念なことだけど、所有者でもある軽井沢町が詳しい保存修理だよりというのを発行してくれていて。当初は客室の壁の色は部屋ごとに違っていたとか、トイレの床はタイルと思われていたけどボタニカル柄のリノリウムが隠れていたとか✨ 取り壊したからこそ分かる発見がいくつもあったみたいです。

予定では2025年の春までの休館ということなので、2年先には蘇った姿が(完成当時の姿に復原するのか、それとも私が見学した重要文化財に指定されたあとの形で復元されるのか)見られるのね😍 楽しみ!


・トップの写真は公式サイトのものを利用しています

新たな視点がもてたり、世界が広がったり、楽しい気持ちになりますように・・✨