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#12_【サステナビリティ】⑥_アルファベットスープ整理-その壱
サステナビリティ関連の重要ワードはアルファベットで表現されることが多く、また、それぞれの関係性を整理することの困っている方々は多くいるのではないかと想像する。
そこで、あくまで、私なりではあるが、サステナビリティ経営を頂点に整理してみたいと思う。何かの役に立てば幸いです。
特に、CSVの位置付けを整理した後、深掘りをしていきたいと思う。
その際、「サステナビリティ経営の全体像とCSV経営の潮流」
https://www.nri.com/content/900036399.pdf
を題材にこれまでの当方の知見も交えてまとめていきたい。
・登場ワード
・サステナビリティ経営
・CSV経営
・ESG
・サステナビリティ
サステナビリティの概念は、広く捉えられ、CSR、ESG、CSVなど関連する複数の概念が関連・包含されている。
・ESG(Environment、Social、Governance)
守りの側面である「基盤を構成するサステナビリティ」は、企業の持続的成長に向けてより強い経営基盤を形成していく領域であり、主にESGが該当する。
様々な社会要請の中で特にESG要因を見極め戦略的に対応することが有効で、その取組みについては機能部門が主導することが多い。
・CSV(Creating Shared Value)
攻めの側面である「成長を牽引するサステナビリティ」は、企業の持続的成長を中長期視野で牽引する領域であり、主にCSVが該当する。
事業を通じた社会課題解決を着実に成長に繋げていくストーリーが重要となり、事業部門が主導することになる。
守りの取組みだけでは、将来の成長機会につながりにくく、攻めの取組みだけではESGリスクへの対応が不十分となり成長に向けた経営基盤が脆弱となる。両者のバランスを考慮した取組みが重要である。
CSVは、マイケル・E・ポーター教授が競争戦略上の概念として提示し、「社会価値を企業の戦略の中心に捉え、社会価値と経済価値を企業の事業活動によって結びつけることが企業の成功につながる」という考え方に基づく概念である。
日本においても過去から議論はあったものの、社会的事業は儲からないという考え方が大半を占め、企業成長や事業機会につながる概念としては捉えられてこなかった。
しかし、近年、「長期志向」、「経済価値と社会価値の両立」を目指す経営に大きく舵切りをすることで持続的成長を実現しようとする企業が現れている。日本においては、「長期志向」、「経済価値と社会価値の両立」といった理念をもとに創業するケースが少なくない。だが、財務目標ばかりが並べられ、社会価値創造を企図した取組みが見られないのが実態。投資家からのプレッシャーに日々さらされる中、創業時の想いを貫きにくい状況が生じている。
理念上は、CSVの概念が存在しているが、実際の経営の事業運営につながっていないことが日本企業の課題である。
・なぜ今CSVなのか?
①ステークホルダーからの社会的プレッシャー
日本企業の取組みを大きく後押ししている投資家や株主の動きが財務情報のみならず、非財務情報が将来の財務パフォーマンスにどのような影響を及ぼしうるかという観点から非財務情報をも重視するようになるとの認識が広がってきている。
ミレニアル世代やZ世代は社会貢献意識が高まっており、CSVの取組みを外部認知されている企業の方が優秀な人材を採用できる可能性が高くなっている。
②国際的な枠組み・原則の整備・進展
サステナビリティ関連の国際的な原則や枠組みの整備が急速に進んだ。特に国連SDGsは事業を通じた社会課題解決への取組みを大きく後押ししている。
③従来式の経営計画の限界
中期経営期間における経営環境・事業環境の変化を正確に予測することが難しくなっている。
リーマン・ショック後に行き過ぎた資本主義に懐疑性が高まったことを受けて、中長期的視野での経営・事業の方向性を探る動きの関連性の中で企業のCSV経営への関心が高まってきた。
・CSV経営を成功させる鍵
①社会価値と経済価値をつなげる一貫性のあるストーリーの構築
どのくらいの社会価値を生むことが、経済価値を生むことにつながるのか。一定の具体性を持って策定できれば中長期的の経営計画そのものになりうる。社会価値と経済価値をどう定量化するのか、可能な限り進捗管理することが望ましい。
②ジレンマを乗り越える意思決定の仕組み
事業トップの評価に社会価値と経済価値の両方を実現することが評価の中に組み込まれている。経営や事業における重要な議論が行われる際には常に社会価値と経済価値の両方の観点を取り入れることになっている。
③社内外を巻き込むための仕掛け
社内においては、経営層と事業部門が目的に共感し、理解している必要がある。そのために経営層のリーダーシップが極めて重要になる。経営層の十分な理解と共感が得られない場合、CSV経営の舵切りをしない方が賢明である。
事業部門の理解と主体的な参画を促すためには、これまでと何が変わるのか、具体的に何をすべきかを自らが考えることが有効になる。
社外についても、単に会社の姿勢や方針を理解してもらうだけではなく、実際に取組みに参画してもらうことが重要である。例えば、取引先にサステナビリティの研修を実施する。
④CSV経営を支える経営管理システム
新たに社会価値を経営管理に取り入れることが重要でとなる。一見財務価値には短期的には直結しないと思われる非財務目標を将来の自社にとって有利な事業環境づくりに役立てることで財務目標と非財務目標の関連性を具体化する。
CSV経営を後押しする環境変化が進み、企業が事業活動を通じて社会課題を解決することへの期待はますます高まる。
持続的な成長のキーワードは「長期志向」と「経済価値と社会価値の両立」。
モノ化でもない、コト化でもない、意義化された環境の変化は、企業の存在意義まで考えさせられる大きな波が来ているのだと考える。
サステナビリティ経営、特に攻めの領域であるCSV経営は一朝一夕にはいかず、長期戦となるが、始めなければ一生実現されない。
一人称で叶えたいビジョンを周りの環境に目を凝らし、三人称で考える。
自社がいたらどうなるのか?自社がいなかったらどうなるのか?
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