
「一緒にいられないのは不幸」とは限らない
リモートワークを勝ち取った旦那さんと日本に引っ越してきた
15年暮らしたニューヨークから日本に引っ越してくるのを決めたのは、ちょうど10年前の今頃でした。一才になったばかりの息子と一時帰国中、今は亡き父の目の前で息子が歩き出したのです。その時の父の喜びように、それまでなかなか決心がつかなかった海超えの移住を決意しました。アメリカ人の旦那さんは私が以前から両親のことを心配しているのを見て
「日本に行こうよ」
と言ってくれていました。アパートオーナーからの「全テナント立ち退き依頼」も引越しを後押ししました。

旦那さんはダメもとで会社の上司にリモートワークの交渉をしました。その結果は…あっさりOK。移住を決めたはいいけれど、「あれをして、これをして」と一気に忙しくなった頭の中の「やらなきゃ」リストには職探しや起業という言葉もあったので、無理かもしれないと思っていたリモートOKが出たことで「どうやって生計を立てるか」の心配はとりあえずなくなりました。私は専業主婦になって息子と両親のケアをすると決めていたので、これは大きな安堵でした。
契約満了、一旦現地へ、そしてパンデミック勃発
日本に移住してから、旦那さんはリモートで働き続け、私たちは起業のアイデアを練っていました。その間に彼の会社との契約が満了し、旦那さんは一旦アメリカに戻ることになりました。
「1ヶ月くらいで戻るね」
次なるリモートの仕事を探し求めて旅だった旦那さんはなんと次の4年間アメリカにいることになったのでした。
しかも、現地での仕事を始めたらパンデミック勃発。いやぁ、パンデミック中の行き来が大変だった!一週間の休暇で帰ってくるのに一週間空港近くのホテルで隔離って…。時差と週末を利用したまさに数時間の面会のようにしか会えなくてそのままアメリカへ帰った旦那さん(余談ですが、この時日本には来たけれど結局何もできず誰にも会えずにアメリカに帰国した素直な若者もいたそうです…。)

やっぱりパパと一緒がいい
この間、息子とパパのお別れを見るのが一番辛いことでした。普段大泣きしたり感情を大きく表に出すことのない我が子が空港からの帰りの車で大泣き。これには酷く心が痛んで、1日も早くまた家族で一緒に住めるようにしようと心に誓ったのでした。
パンデミックの収束と back to the office policy
パンデミックが収束を迎えた頃、世間では back to the office が主流になりました。そんな中、なぜかリモートOKになった不思議な会社でしたが、私たちにとってはありがたく。それでも結局は back to the office になってしまい旦那さん再びアメリカへ。
パンデミックには散々翻弄されたけれど、離れている時間はあったけれど、いつでも私たち家族は「心が一緒」の感覚で過ごしてこられました。
「一緒にいられないのは不幸」と多くの人が思っているらしい
その昔、年がバラバラの仲良しグループでニューヨークからカナダへのドライブ旅行をしたことがありました。はたから見たら不思議な集団に見えたかもしれません。案の定、カナダ側の入国審査官に入国の目的やらお互いの関係やらをかなりしつこく聞かれました。一番年上の、私からすると母親のような年齢の友人が、
“We are friends.(私たち、友達なんです)”
と言うと、入国審査官から不思議な質問が。
“Where’s your husband?(旦那さんはどこ?)”
“He’s at home.(家にいます)”
“Oh, that’s not a good marriage.(あら、それはいい結婚生活じゃないわね)”
“Pardon?(え?)”
耳を疑いました。強気な友人は一瞬何か言い返したそうな顔をしましたが、国境で揉めてもいいことはありません。冷静で賢い女性なので、適当な返事をしてその場を通り過ぎました。
“That was so rude!(失礼すぎ!)”
国境通過後の車内ではブーイングの嵐。
けれど、思い返せば入国審査官はイライラしていたし、自分の方がよほど不幸そうな顔をしていました。
Miss youでも不幸と思ったことはない
Happily living separately(幸せに離れて暮らしている)
もちろん、寂しい。一緒にいられたらもっといい。でも離れていながらもそれぞれのミッションを遂行し、お互い信じ合えて支え合えるっていいことだと思うのです。別々に暮らしていてもハッピーな夫婦はいます。一緒にいられないのが不幸とは限らない。
確かに、落ち込んでしまった時はすぐそばで励ますことができなくてもどかしいし、これは 夫婦間に関して、の話。もちろん息子はパパと住むのを熱望しています。だからまた一緒に暮らせるように、一歩一歩進んでいます。
いいなと思ったら応援しよう!
