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傘を分け合う人2組と、わたし。

まだ夏の名残を感じる日に、久しぶりの雨

疲れ切った重い身体を引きづりながら
傘をさして音楽も聴かずダラダラ歩く

低気圧だとすごく気分が落ち込みがちなわたし
この日の脳内会議は凄まじいものだった

(宇宙服的な何かを着たら、低気圧を回避できるのかな)
(お腹が空いたな、今ならケーキをワンホール食べれる)
(傘に流れてる水滴綺麗だな〜)

繋がりは一切ない

わたしの前に傘を分け合った20代前半のカップルが歩いていた

1組目 浮遊した左手

わたしから見て、車道側に彼氏・歩道側に彼女
お互い少し距離があった

彼氏は傘を右手に持っており
少し彼女の左側が濡れていた
彼氏の左手はずっと宙に浮かんでいる

(これは…抱き寄せたいのか?)
わたしの脳内で考察がはじまった

狭い道だったのでわたしもカップルを追い越せず、うしろを歩いていた
しばらく歩いたが
彼氏の左手は宙に浮かんだまま浮遊してた

信号が赤になった

わたしは彼氏の浮遊した左手が気になって仕方がない

信号が青になった

その瞬間、彼氏が彼女の肩をグッと自分の方に寄せた

(フゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!)
わたし歓喜!!!

なんか短編映画を見たような感覚
幸せになってください

2組目 ほろ酔いが良い

遠目からその微笑ましい構図は確認できた

ビジネススーツを着た50代ぐらいの男性2人が
傘を分け合っていた

近づくにつれてわたしは口元が緩んでしまった

金曜日の夜だったので
「つぎ、どこ行きます?」という
傘の中の会話が想像できた

すれ違うときの、2人の楽しそうな姿が忘れられない

(絶対いい夜になることを
  わたしが保証しますよ)

(土日はゆっくり休んでください!!)

今週はわたしも本当に疲れた
薬局に寄っていつもより100円高い入浴剤を買おう



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