アピセラピー
先日アピセラピーという施術を受けました。
蜂の針を使う治療法です。
沖縄の今帰仁からセラピストの方がいらっしゃると聞き、
一ヶ月ほど前から予約していました。
蜂といえばプロポリスとかはちみつとか、
なんか体に良さそうな生き物、くらいのぼんやりとした想像でしたが、
何かがすごいらしいという噂を聞いて予約したのでした。
最近は寝ても寝ても眠いこと、運動不足と不摂生と、
とりあえずいろいろとやる気が出ないといった、
どれも原因と結果が繋がっていそうで繋がらなさそうな、
こちらもまたぼんやりとした不確かな不調を抱えて予約先に向かいました。
蜂の箱
まずはパッチテストということで体の反応を測るらしく、
到着してすぐに見たのは、
ペンケースくらいの小さな半透明のプラスチックケースでした。
何かが入っているので中は黒く、
ウーン、と唸るように箱が鳴っていました。
それこそが蜂でした。
生きている!
セラピストの平安山(へんざん)さんは太陽を浴びて日に焼け、
今帰仁の自然をそこに連れてきたような明るい表情の男性でした。
平安山さんがプラスチックケースから隙間を開けて一匹の蜂を取り出します。
そんなに簡単に蜂ってつまめるものなのか…
ピンセットで蜂のおしりから針を抜くと、蜂は飛べなくなるようでした。
針を抜かれると死んでしまうそうです。
ただしばらくは飛ばずに動いています。
施術に使うのは養蜂にも使われるセイヨウミツバチという種類で、
思っていたよりも小さく見えました。
町や森で出くわす蜂が大きすぎるのでしょう。
クマバチとかスズメバチとか。
セイヨウミツバチは針も細く短く、手先が器用でないとこれを抜いたり刺したりするなんて考えられないほどの繊細な針でした。
まずは手の甲の親指の付け根あたりに、
蜂の体から抜いたばかりの針を刺してもらいます。
チクッとはするけど、実際に虫に刺されたような痛みや痒みはないとの話を平安山さんから事前に聞いていましたが、
たしかに「なんか刺さったな」ぐらいの、微弱な感覚でした。
ここでしばらく、体の反応を見るために時間をおきます。
ごくまれに痒みや赤みが出る人がいるようですが、かなり少数とのこと。
待っている間、平安山さんのお話を聞いていたのですが、
おもしろすぎて施術のことを忘れるほど盛り上がってしまいました…
施術中も話し込んでいたので、平安山さんの話は後ほど書きます。
パッチテストも問題なく、施術開始です。
有機的感覚
どこに施術をしてほしいかを聞かれ、
冒頭の「ぼんやりとした不調」を話してみました。
痛みを感じる場所に刺してもらったり、
美容のために顔に施術したりする人が多いようなので、
こんな日々の悩みみたいなものでもいいのか、と思っていたのですが、
自律神経を整え、血行を良くするのでかなり効果があるようです。
たしか八匹の蜂を使うとおっしゃっていました。一匹につき十ヶ所刺せるとのこと。
(数を覚えるのが苦手で、たぶんそれくらいだった気がします…うろ覚えですみません)
腕と足と頭に施術をしていただきました。
ベッドに仰向けになって施術してもらうのですが、
頭の横あたりに蜂の入った箱が置いてあるので、
ずっとブンブン聞こえています。
穏やかになったり激しくなったりするので生き物の呼吸を感じるようでした。
ちなみに施術時間は夜だったので、蜂は眠いそうです🥱
各所に刺さる感覚はあるのですが、
ほぼ感じない場所と、チクッとする場所がありました。
一ヶ所、右側頭部だけが「あ、刺された」という痛覚があり、
まさに虫に刺されたように引かない痛みを感じました。
平安山さんに伝えると、ハーブのオイルで頭全体を優しくマッサージしてくれて、
しばらくすると痛みは引いていきました。
たまに痛みを感じる人はいるそうです。
たしかに「痛い」という感覚に驚くのですが、
それは自分の不調の場所が痛みを感じさせるのか、蜂の個体差がそう感じさせるのかは分かりません。
この感覚の差も有機的なものを感じました。
オジーは自然のシャーマン
施術中も平安山さんはずっとお話をしてくださって、
今帰仁だけで演奏されている伝統音楽や楽器の話、
幼少から習っている空手の話、
今勉強している風水の話など、
おもしろい話ばかりでした。
なかでも地元のオジーたちは自然のシャーマンだという話がとくにおもしろかったです。
「太陽と話すな。月と話をしなさい」
と、オジーは言うそうです。
それについてオジーは何の説明もしてくれず、
平安山さんも何のことだかさっぱりわからず。
しかし自然と向き合って生活していると、感覚で理解していったと平安山さんは言います。
月の満ち欠けで時間を読まなければ動植物のリズムがわからないので、
太陽を見ていても動植物たちのリズムと同調できない、
ということを、オジーは言葉にしたらしいのです。
忘れてしまった大事なもの
平安山さんの幼少から習っている空手の「闘わずして闘う」といった精神を語ったり、
古くから継承されている沖縄の伝統音楽の奥深さや魂を語ったり、
体は蜂の針によって目覚めさせられ、精神には新鮮な水を注がれ、
すでに「ぼんやり」は施術中から消え去っていました。
自然の「毒」を体に取り込むことで、自分の体に意識が向かいます。
オジーが月と対話することで自然や人間を理解する方法を、
平安山さんは沖縄の外にも広めようとしてくれているのではないかと思いました。
以前から、沖縄がもっている力のようなものをなんとなく感じていました。
それは文化の力強さであったり、
今も根付いている風習や奥深い精神性など、
その魅力はどこから来るのかと、ずっと感じているだけでしたが、
その一端が見えたような気がしました。
沖縄は複雑な歴史をもっています。
それでも今も魂を守り抜いて継承しているものがあります。
それは私たちが忘れてしまった大事なものなのだと思います。
施術後
さて、精神性だけ語って楽しく学んだだけで効果はなかったのではないかと思われてしまっては残念なので後日談を。
その日の夜は針で刺してもらった場所がちょっと痒かったです。
夜の施術だったので施術後に割とすぐ寝たのですが、
翌日も軽い虫刺されのような痕と微弱な痒みがあるものの、徐々に引いていくのが分かりました。
あと翌日も温泉に入ったあとみたいに泥のように眠い。
ほかほかぐったり眠いといった感じです。
そして翌日の夜に泥のように眠ったら非常にスッキリとしていました。
最近は鬱々としていて、朝起きたくない、二度寝する、
起きても何もしたいことがないけど、しなきゃいけないことをする、という状態だったのが、
あれやりたいかも、やってみるか、に変わったのです。
平安山さんの波長と合って、新しいことに興味が湧いたという効果もあるのですが、気力が湧きました。
あと、ちょっとこれがすごい。
なんと足先の冷え性をほとんど感じなくなりました。
この頃の秋めいてくる季節では、例年は確実に足先だけ金属みたいに冷えていたのに、まさかそんなことが。
今帰仁から来た蜂はやっぱりすごかったです。
平安山さん、本当にありがとうございました。
みなさまも機会があればぜひ。
私が施術を受けたのは「Studio Onda東中野」さんでした。
東京にはたまに来られるそう。
そしてやっぱり今帰仁に行くのが一番良さそう。