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帰り道

24時間営業のスーパーとステーキ屋の間

挟まれるようにして道路に面した細い路地に

「500円」の紙が貼られた切り花のバケツ

ハーブのポットや多肉植物などの小ぶりな鉢植え

食虫植物や紫陽花もあったか

それらがざっくりと置かれた路地の奥には

店舗らしきガラス張りが見えるが灯りはない


華やかさ、今っぽさは全くないが

なんとなく惹かれて自転車を止めた


切り花2種類か、、、いやでも部屋が暑くなるとかわいそうだしどーしようかとみていると

植木の間に四角いプラスチックの箱があり

お札や小銭が小石に押さえられて無造作に入っている

「接客は控えています、お代はこちらへ」


字体から、年配の方かな、と感じた

それをみて、花は買うことに決めた


人の根本のところを信用する、というスタンスと

自分の意思や判断はあります、という個人を感じて


緊急事態宣言は解除され

子どもたちは通常登校が始まり

夜の飲食店では大声で呑み合う人たちも少なくなくなってきた

みんな、元に戻ったと思っているわけじゃないとは思うけれど、

私は、どきどきしていた

自分だけが置いていかれているのかな?

流れられないもやもやがずっと身体にある


誰かが悪いということではないし

何を感じてどう行動するかは人それぞれ


子どもたちをみていても

触れ合うことで得るものの大きさはひしひしと感じさせられる


ただ、感染者数は0にはならない


曇ったもやもやしたものをもちながら過ごす私は

この花屋で花を買い、

部屋に置いて、ほっとしている



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