25歳で夭逝した天才作曲家が遺したもの 〜リリ・ブーランジェ〜
8月21日は、フランスの作曲家、リリ・ブーランジェが生まれた日。
(1893年8月21日-1918年3月15日)
祖父はチェリスト、祖母は歌手、
母親はキエフの貴族出身、そしてオペラ歌手。
姉も作曲家だった。
父親はオペラ作曲家、後年パリ音楽院声楽科で教鞭をとった。
リリは女性として初めて
音楽部門の『ローマ大賞」を獲得した天才であった。
「ローマ大賞」は1663年、
ルイ14世により設立され、
若き学生を対象に建築・絵画・版画・彫刻部門が創設され、
1803年に音楽部門が設立され、
一流への登竜門だった。
歴代グランプリ受賞者はベルリオーズ、
フォーレ、ドビュッシー等、フランスを代表する作曲家。
受賞後、イタリアのメディチ家別荘で2年間を過ごし、
創作の特典を与えられた。
音楽部門は1968年に廃止されている。
リリは、気管支肺炎とクローン病を併発し、
口伝筆記で完成させた「ピエ・イェズ」を書き終えた後,
そのまま25歳の若さで没した。
亡骸はパリのモンマルトル基地に埋葬されている。
姉のナデェアは妹が亡くなった後、
妹ほどの才能もない自分は指揮や教職活動に専念したいと、
作曲活動より教育へ目を向け、
多くの才能を育てた。
アメリカでの弟子には、クインシー・ジョーンズ、
レナード・バーンスタイン、
またフランスでは「シェルブールの雨傘」のミッシェル・ルグラン、
タンゴで高名なアスター・ピアソラ等、
後年大成した音楽家に影響を与えた。
幅広い層の弟子を輩出したことは、
ナディアの指導法が、
自分の考えを押し付けることなく、
いかに生徒の才能を尊重し引き出すものだったかの証左と言われている。
リリにはメディチ家での精力的な創作期に、
合唱と管弦楽の「詩篇」3作品、
ゲーテの戯曲を基にした「ファウストとエレーヌ」等があり、加えて、歌曲にも秀逸な作品を残した。
ピアノ曲は「行列」、「主題と変素」、
「古い庭から」、「前奏曲」2作品があります。
フランスの天文学者ヴェニアミン・ジェコフスキーが
1927年に発見した小惑星リリトは、ブーランジェの名前にちなんで命名されたそう。