公害問題を取り上げて世評を博した『複合汚染』の著者、有吉 佐和子
1月20日は、日本の女流小説家、有吉 佐和子(1931年1月20日 - 1984年8月30日)が生まれた日。
和歌山県和歌山市出身。
日本の歴史や古典芸能から現代の社会問題まで広いテーマをカバーし、読者を惹きこむ多くのベストセラー小説を発表。
カトリック教徒で、洗礼名はマリア=マグダレーナといった。代表作は『紀ノ川』、『華岡青洲の妻』、『恍惚の人』など。
理知的な視点と旺盛な好奇心で多彩な小説世界を開花させた。
ですが、私にはなんといっても公害問題を取り上げて世評を博した『複合汚染』。
20代の頃に読み、今の私につながる原点となりました。
"1万人の赤ちゃんがオギャアと生まれると、3500~4000人の赤ちゃんが、奇形児、障碍児、難病、奇病の持ち主だということをご存じでしょうか?(p35)"
入念な調査と、女性の視点、そして作家としての鋭い目で高度成長で工業生産中心だった環境汚染問題に切り込んだこの書籍。
当時どんなにセンセーショナルで批判を浴びたかと思うと頭が下がります。
自然、そして私たちの健康をも複合的に汚染するに至った現実が、さまざまな切り口から描かれ、現代に生きる私たちへのある意味バイブルではないでしょうか。
出版元の新潮社の紹介文をこちらに。
「工業廃液や合成洗剤で河川は汚濁し、化学肥料と除草剤で土壌は死に、有害物質は食物を通じて人体に蓄積され、生まれてくる子供たちまで蝕まれていく……。毒性物質の複合がもたらす汚染の実態は、現代科学をもってしても解明できない。おそるべき環境汚染を食い止めることは出来るのか? 小説家の直感と広汎な調査により、自然と生命の危機を訴え、世間を震撼させた衝撃の問題作!」
彼女が生きていたら92歳、生きていればどんな警鐘を私たちに鳴らしてくれたのだろうかと思うと、53歳で亡くなられたのはあまりにも早く、残念でなりません。
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