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高野山はコンテンツの充実度がすごい!!

初の高野山、行ってきました!

光善寺の住職になることが決まってから、お寺の活動も変える必要があるところは変えていきたい、そのための勉強をしていきたいと考え、2022年は旭川にいる知り合いのお寺へ行き、いろんな取り組みを見せてもらいました。そして今回は、宗派は違うけど実際に見て確認しておきたかった高野山の恵光院へ行ってきました。

恵光院の正門

見たかったのは、恵光院の宿坊、そこで体験できることの内容(食事も)、奥之院ナイトツアーです。それと高野山が外国人に大人気と聞いていたので、それが本当なのかということも。

私は浄土真宗のお寺の僧侶で、恵光院は真言宗のお寺です。同じ宗派のお寺から学ぶことがあるのは分かっていますが、恵光院の取り組みから光善寺というお寺の現在地を確認することも必要だと考えました。そして、実際に行ってみてこんなに気づきがあるのかと驚きました。

◯高野山での体験を深く刻み込んでくれる宿坊

今回はがんばっていい部屋を選びました。かなり悩んだ末に、せっかく体験するなら恵光院の思いがより詰まった部屋にしよう!と。それが大正解でした。駐車場に到着するとすぐにスタッフである若いお坊さんがこちらに気づき、さりげなく迎えに来てくれました。そこからチェックインの手続きがなんともスムーズ。おそらく駐車場から案内してくれている間にインカムで中の人と話をし、予約者名簿の中からこちらが誰かを特定してくれていたんでしょう。名前と予約内容の確認、支払いがとてもスムーズに進んでいきました。ストレスはゼロ。お寺の宿坊のオペレーションとは思えません。

共有スペースであるロビーで受付

泊まった部屋はリフォームされてすごくきれいでした。畳敷きなので荷物の整理も座ってできるので楽です。外国の方がこれをどう感じるのかは分かりませんが、日本を体験に来ていることを思うとこれはありなんでしょう。飾られている絵なども含め、恵光院の世界観が反映されているようで、違和感が全くありません。阿字観体験(瞑想)をして部屋へ戻ってその体験を振り返る、食事をして部屋へ戻り食事のことを振り返る、そうした振り返りが自然に行えたのは部屋に恵光院のコンセプトが反映されているからだと思います。その振り返りによって、体験したことをより深く刻み込むことができたように思います。

テレビはないけどその意図も感じられます

お風呂も良かったです。時間の関係もあって大浴場は使わずに部屋のお風呂に入ったんですが、なんともゆったりできるお風呂でした。適度な広さがあり、ジャグジーなんかもあり、歩き回った疲れがしっかり癒やされました。

◯体験できるコンテンツがよく考えられている

恵光院に宿泊した人は無料でいろんな体験ができます。

◯写経
部屋で好きな時間に取り組むことができます。今回は時間がなかったため写経はできませんでした。

希望者には受付でこのセットが渡されます

◯阿字観(あじかん)体験
阿字観とは密教における瞑想法です。16時30分までに本堂へ行けば、指導を受けながら体験することができます。なぜ瞑想をするのか、どのような方法でするのか、その方法にはどのような意味があるのかを聞きながら、というところに価値があります。本堂の隣には本堂より広い道場があり、そこでは外国人のために英語の解説付きで阿字観体験が行われていました。本堂で参加した日本人は8人でしたが、道場には外国人が25人くらいいました。

瞑想中の写真はないので終わった後の本堂の写真を

◯朝勤行と護摩祈祷
7時から本堂での朝勤行、7時30分から隣の毘沙門堂での護摩祈祷に参加することができます。護摩祈祷は特にですが、僧侶の細かな動作が多く、そしてそれが美しくもあり、また小さな堂内に響く太鼓の音が聞きながら炎を煙を見ていると、参加している感覚はとても強くなります。傍観者とは違うステージへ引き上げられる力強さがあります。

朝勤行
護摩祈祷

◯食事も美味しかった
夕食と朝食は宿でいただきました。17時30分になると部屋へ連絡が来て、食事の部屋へ案内されます。精進料理がお膳で用意されていて、襖は全て閉めた状態でいただくことになります。隣からは外国人の家族が食事をしている声が聞こえてきて、楽しそうに食べているのは伝わってくるけど、せっかくならお膳の食事をどのように食べているのかを見ることができなかったのは残念でした。
内容ですが、どの料理も全て美味しかったです。どんな表現がいいのか分かりませんが、濃すぎず薄すぎずの適度な味付けで、精進だから物足りないとはならないはずです。若い人は物足りないかもしれませんが。朝食は朝勤行と護摩祈祷が終わった8時から。夕食と同じ部屋に用意されています。この食事体験もなかなかできるものではないので、その体験自体も楽しむ人は多いでしょうね。

食事が用意された部屋
夕食
胡麻豆腐が美味しい
こんにゃくの刺身とか
こちらは朝食

◯1200年の歴史を堪能できる奥之院ナイトツアー

今回は奥之院ナイトツアーにも参加しました。これは恵光院ではなく株式会社AWESOME TOURSが主催するツアーです。19時に恵光院の境内に集合し、そこから1時間30分くらいかけて奥之院まで歩いて行き参拝します。道中で高野山の僧侶から説明を受けるんですが、織田信長・豊臣家・徳川家・明智光秀・石田三成・武田信玄・上杉謙信などのお墓の話を聞いたり、そこにある灯籠の話から真言宗の教えの話に広がったりと、夜の幻想的な雰囲気の中で聞く話はなかなかよかったです。最後は奥之院で弘法大師の御廟を参拝して終了となります。1200年の歴史を感じるためには夜の環境はなかなか効果的だと思ったし、季節によっても天気によってもその雰囲気は変わるだろうと予想され、それがまた参加する人に深く響くんじゃないかと想像しました。

石田三成さん

◯土地、歴史、ストーリー、関わる人の思い、インバウンド対策が見事にかみ合っている

今回行ってみて、まだ十分に考えが整理できているわけではないですが、いったんまとめてみることにします。

◯土地について
高野山は簡単に行ける場所ではありません。外八葉・内八葉といわれる合計16の山々に囲まれた高野山という場所は、そこへたどり着いたとき「高野山に来た!」とちょっとした達成感があります。そして山独特の気候や気温、空気感からくる特別感もあります。

◯1200年の歴史
当たり前のことですが、1200年の歴史は1200年かけないと生まれません。「高野山は1200年前に空海が・・・」という歴史は誰にも真似ができません。その歴史を体験できる場は、それだけで十分すぎるくらい貴重です。

◯ストーリーがあり、それが豊かに語られている
これは真言宗のことに深く関係してくるんですが、空海が真言宗を開いたこと、高野山を選んだこと、高野山が発展していったことなど、それぞれのストーリーがとても豊かです。どの宗派にもストーリーがあり、それぞれが興味深いのですが、あとはそれをどのように語り継いでいくかだと思います。ストーリーがあり、それを語り継ぐ人がいる、その両方が大事だと再確認できました。

◯関わる人の熱量が高野山を支えている
これは感じただけのことですが、あれだけの規模の場所が1200年経った今でも見事に機能していることを考えると、中にいる人だけでなく、外の人もかなり熱い思いをもって関わっていて、その存在が大きいように思います。だとすると、人口が凄まじく減少している日本において関わる人を維持し続けるのはかなり困難だと想像されるのですが、その解決法の一つとして外国の方に対してかなり積極的に高野山を開いていることがあるんじゃないかと思っています。

◯インバウンドの受け入れに対する意識の高さ
今回は短い滞在ではあったんですが、現地の人を除くと日本人はかなり少なく感じました。日本人と外国人の割合は、宿坊や体験の場では1:5くらい、街を散策して出会うのは1:8くらいでしょうか(団体ツアーのバスが帰った頃に歩き回ったから余計に日本人が少なかったとは思いますが)。そしてアジアの人はかなり少なかったです。
ターゲットが外国人なのは伝わってきます。ターゲットというか、関心を持っている外国の人が満足できるようにと考えていった結果、そうなったという感じでしょうか。宿坊や体験の申し込みはネットで完結します。支払いも事前に済ませることができるし、現地でもクレジットカードで簡単に終わります。街中を走っているバスもクレジットカードで乗れます。もちろんネットも現地も案内には全て英語表記あり。恵光院のスタッフは当然のように英語で対応していました。
体験にしても、十分な説明が必要な阿字観体験や奥之院ナイトツアーは日本語ガイドのグループと英語ガイドのグループに分けられます。朝勤行などは日本語で説明した後に英語での説明が行われます。どんな説明をするのか、どんな単語で表現するのかといった準備から、かなりしっかりと行われているように思いました。


まとめとしてはこんな感じです。忙しい8月に無理して行く必要があるだろうかと行く前は考えていましたが、がんばって行ってよかったです。後はここでの体験を自身の活動のどこにどうつなげていくか、です。

金剛峯寺正門の石段
金剛峯寺。この日は涼しくて街歩きには最高の気候でした。

◯奥之院ナイトツアーの解説動画、朝勤行のほんの一部と護摩祈祷の動画

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