9月29日に保育施設見学ツアー@横浜を開催しました。今回の見学ツアーには初めて参加してくれた方も多く、企画している立場からするとありがたい限りです。見学で感じたことをみんなで共有する時間を設けているんですが、いろんな方の感じ方を聞いていると参考になることがとても多いです。また各地の事例なんかも合わせて聞けてしまうので、一石二鳥どころか一石三鳥です。
ここでは特に報告はしませんが、前日の意見交換会も毎回盛り上がります。最近取り組んでいることを聞かせてもらったり、悩んでいる話が出てくると誰かがアドバイスをくれたり、個人がハマっていることまで出たりと、内容の濃い話が飛び交います。見学ツアーに参加される方は、意見交換会にも参加されることをおすすめしておきます。
ということで報告です。
◯見学
まず初めに大竹園長から、杜ちゃいるど園が大切にしている思いやこだわりについて話してもらいました。「子どもたちの居場所を作りたい」「子どもたちがわちゃわちゃと集える場を作りたい」「子どもも大人も自分のままでいられる居心地の良い園にしたい」そんな思いで園を作ってこられたそうです。
次に造園技能士の資延さんから杜ちゃいるど園の庭づくりの経緯について説明してもらいました(杜ちゃいるど園では園庭ではなく庭と捉えているようなので、ここでも庭と書きます)。広いスペースではないけど、高低差を作りたい、季節の変化を感じられる植物を植えてほしい、回遊性のある庭にしてほしいと大竹園長からお願いされ、いろいろと工夫してこの庭を造られたそうです。
説明を聞いた後は園内や庭を見学させてもらいました。この日はお月見団子作り、アトリエでの活動、庭で遊ぶ、散歩に出かけるなど、いろいろな活動がありました。それ以外にも園内にたくさん置かれているテーブルに子どもたちが集まり、話をしたりゲームを楽しんだりする姿も見られます。お腹がすいた子からランチルームにやってきてごはんを食べ始めます。ごはんを食べ始める子が増えてきた頃に、散歩から帰ってきた子たちが楽しそうな表情で園内に入ってきます。そんな感じで子どもたちみんなが自分のペースで活動を楽しんでしました。その子どもたちを見ている職員のみなさんも、すごく自然な感じで過ごしているように感じました。
◯杜ちゃいるど園の環境
見学の日は散歩に出かけている子が多かったため、園内で活動している様子は少なめです。その分園環境はじっくり見させてもらうことができました。
月に1回保護者のために「杜ちゃカフェ」を開いておられる経験からか、すごく素敵な感じにセッティングされていました。
「子どもたちがわちゃわちゃと集うことのできる場を作りたい」との思いからだと思いますが、テーブルやベンチ、クッションがあちこちに置かれていました。思いと環境が連動しているのはいいですよね。大竹園長曰く、これでも集うためのテーブルとベンチは少なくて、もっとたくさん置きたいそうです。
大竹園長と資延さんが作ってこられた庭はこちら。
◯意見交換会
午前の見学を終えて近くのお店へ移動して昼食をいただき、そのお店で意見交換会を行いました。意見交換のテーマは「見学で感じた『心地よさ』や『雰囲気のよさ』を言語化してみる」で、参加者が感じたことを話したり、杜ちゃいるど園の職員さんたちの考えも聞かせてもらったりしました。時間内で言語化しきれたわけではありませんが、それぞれがなんとなく感じていた『心地よさ』『雰囲気のよさ』が何によるものなのか、少しは具体的に掴めたように思います。
今回は『心地よさ』や『雰囲気のよさ』を言語化してみようと話し合ったわけですが、「なんとなく雰囲気がいいよね。よし、この環境や取り組みを真似してみよう。」と表面的なものを真似するだけではうまくいかないと思います。雰囲気のよさはどこからきているのか、それはどのようなプロセスを経て実現したものかと掘り下げて考えていき、そこで掴んだものから自分たちの園でどのように活動や環境につなげていけばいいかを考える、そんな思考が大切です。今回の意見交換会のテーマや内容はさくらしんまち保育園の小嶋園長が考えてくれました。みんなの思考を前に進めていく場を作ってくれたことに感謝しています。
◯杜ちゃいるど園より
今回見学を受けていただいた杜ちゃいるど園の大竹園長よりコメントが届いています。
◯参加者の感想
◯次回の開催地
岡山県、福岡県、滋賀県、神奈川県と4県での開催が実現しました。それぞれの園はメンバーや規模、地域性の違いもあるため、雰囲気や活動内容も違っています。ですがそれぞれの園の課題に対する取り組み方を複合的に見ていくと、根底にある考え方には共通する部分があったりと勉強になることが多いです。見続けること、学び続けることは大切なので、この勢いでどんどん進めていきます。
次回の開催地や日時はまだ決定していません。決まり次第お知らせします。このnoteで発信するので、フォローしておいてもらうと更新情報に気づきやすいと思います。
そして今後のことですが、ツアーの形を変えていくことも考えています。今までのように保育施設のみの見学の回だけでなく、視野を広げるとか共に子どものことを考えていく仲間を増やすといったことも目的にして、保育施設プラス関連施設の見学もさせてもらったり、研究者との交流の場を設けることもいつかやってみたいと思っています。合わせて参加費の値上げも検討しています。細々とであっても継続させていきたいと考えていて、そのための変更であることをご理解ください。よろしくお願いします。
最後に見学ツアーの申し込みのことですが、申し込みを開始すると数日で定員に達してしまうのが現状です。2,3日検討してから申し込みを……では間に合わない可能性がありますので、興味のある内容だと思ったら急いでお申し込みください!
◯最後に個人的な感想として
これはアメリカの思想家ヘンリー・デイヴィッド・ソローの言葉だそうですが、杜ちゃいるど園の生活が豊かに感じられるのは、この言葉のように職員のみなさんが気にしないでいられるものが多いからなんじゃないでしょうか。これはこうでなければならないといった縛りが少ない、何時まで終わらせなければ!とかみんなでやらなければ!と細かなことを気にし過ぎていない。それは子どもの居心地が良くなるように子どものペースに合わせてといった大きな軸を大切に保育を行っているからできていることで、それこそが杜ちゃいるど園の居心地のよさ・雰囲気のよさ・生活の豊かさの秘訣なんじゃないかと考えました。
だからといって決まりごとを減らせばどの園の生活も豊かになるかといえばそういうわけではなく、そこに至るまでのプロセスを読み解くことからやっていかないとうまくいかないはずです。見学で見たものをそのまま真似させてもらうのは、「あれこれ考えるヒマがあったら即行動!」の精神からすると意味のあることなんですが、真似をしながらそのプロセスを考えることや、類似する取り組みを複合的に組み合わせて根底にある共通するものを探すといったことも同時に行わなければもったいないです。第一段階はとにかく真似をする、いいと思ったことはどんどん真似をする、第二段階はどのようなプロセスでそれができあがったのかを考える、別事例とも照らし合わせてみて自分たちの園での取り入れ方を考えるといった感じで、二段構えで進めていくことがポイントだと思っています。この二段構えの行動を始めるためにもいろんな保育園を見せてもらい、そこで感じたことをいろんな人と話し合うことは大事だと確認することができました。