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ウルトラマンマックス15周年に寄せて

「  21世紀
   世界各地を襲う自然災害はとどまるところを知らず、
   ついには空想の産物と思われた怪獣が、その姿を現した!  」

2005年7月2日、「最強! 最速!! Max Power! Max Speed!!」というぶっ飛んだ
キャッチコピーをひっさげ、「ウルトラマンマックス」がTVで初めて放送されました。
今日2020年7月2日は、ちょうどその日から15年が経つという記念の日になるわけで、一ファンとして心からお祝いしたい、また一人でも多くの方に知ってもらいたい!と思い、初めてnoteを書くことにしました。

(本文では、作中に登場するウルトラマンマックスを指す場合には鉤括弧をつけず、「ウルトラマンマックス」という作品そのものを指す場合には「マックス」と鉤括弧をつけた表記を用います。)

まずは簡単な自己紹介。
メフィといいます。ウルトラシリーズは初代から現行シリーズまでほぼ全てかじっています。よく特撮関連のファンアートをtwitter(@mefi_ra_es)やpixivに投稿しているので良かったら観に来てください。サムネのイラストも描いたものです。

7/7からYouTubeにて「ウルトラマンマックス」の公式配信が始まるそうなので、それに合わせて知っておくとちょっと深く楽しめるかな?というポイントを(自分の中での整理も兼ねて)書いていきます。


◎「ネクサス」から「マックス」へ 

「ウルトラマンマックス」の誕生を語る上でまず欠かせないのは前作「ウルトラマンネクサス」の存在です。「ネクサス」は現時点でファンの中でも高い評価を得ていますが、2004年の放送当時は視聴率や売り上げの面で苦しい状況にあり、放送局側の都合などもあって、もともと一年間を予定していた放送期間を約3ヶ月分短縮されることになってしまいました。
そこで新たに企画されることになったのが「ウルトラマンマックス」です。あまり良い言い方ではありませんが、「ネクサス」が当時もし計画通りに成功していたら、「マックス」は生まれていなかったかも、ということになります。
「ネクサス」放送期間の短縮が2004年12月に決定し、そして2005年7月には「マックス」の放送開始(※1)ということで、笑い事ではないですが「マックス」は企画の段階から Max Power! Max Speed!! でした(ちなみに「ネクサス」放送期間短縮が決定した時点では「マックス」のプロデューサー・監督である八木毅氏は「ネクサス」の特技監督だったので、実際に企画に取り掛かることができたのは年末からだったそうです…)。当然、企画のみならずマックスのデザインやメカデザインも超速で行われたわけですが、その点に関してはまた別に記事にしたいと思います。

「ウルトラマンマックス」の基本方針については、竹書房から発行されている「パーフェクト・アーカイブ・シリーズ ウルトラマンマックス」(2006年)掲載の企画書の抜粋から多くのことが読み取れます。既に企画書の時点で「ネクサス」とは180度違ったコンセプトになっており、明るく楽しい、簡潔で豪快な物語を作ることや、「影の主役は”怪獣”である」(※2)ということ、さらにウルトラマンのバージョンアップ(フォームチェンジ)はせず強化アイテムのみ実装することなど、「マックス」という作品の特徴を成す要素が最初から一貫していたということがわかります。そして実際に「マックス」本編はウルトラシリーズの王道を行き、かつ非常に爽快な作品になっています(ので、見やすいですよ!!!)。ここまで振り切ったテーマを設定できたのも、「ネクサス」にてハードでシリアスなストーリーに挑戦したからこそ、だったのではないかと思います。


◎最強、最速のウルトラマン!

…しかし、いくら明るい作風にするといっても、キャッチコピーが「最強! 最速!! Max Power! Max Speed!!」というのはかなり衝撃的です(正確には、後にキャッチコピーを知って衝撃を受けました)。そもそもウルトラシリーズにおいては「最強のウルトラマン」が出てきてしまうと物語を作る上でデウス・エクス・マキナ的にしか活躍させられず、物語がワンパターンになってしまうため、初代ウルトラマン以降のウルトラマンはなるべく弱点を追加したり(※3)、力を抑える設定が加えられたりしていました。ウルトラシリーズに限った話ではなく、物語では主人公の側に立つヒーロー的存在が最初から最強であるという設定は、それを売りにするならともかくとして、多くの場合避けられます。ヒーローはある程度強くなければいけませんが、かといって強すぎても、ヒーローが一方的に勝つ展開になってしまいカタルシスや成長に欠けた物語になってしまうからです。

では「ウルトラマンマックス」ではどうしたかというと…



◎味方が最強最速なら、敵も最強最速

ウルトラマンが最強最速なら、それと戦う敵も最強最速である。
これが「ウルトラマンマックス」の大きな魅力の一つであり、また(良い意味で)頭のおかしいところでもあります。というか、これは間違いなく「ウルトラマンマックス」だから出来たことです。先に述べた通り、マックス自身はフォームチェンジせず、強化アイテムを一つもらうだけで基本的には身一つで戦います。いうなれば常時強さがカンスト(※4)している状態なわけで、逆に強さのインフレの心配がありません。強さを定義する変数はウルトラシリーズにおいては一つではありませんから、それぞれの敵に違った変数で「最強」を体現してもらえば良いのです。
で、実際に「マックス」に登場した怪獣たちはどうなったかというと

・死ぬほど速い怪獣/宇宙人
・死ぬほど硬い怪獣
・えげつなく発展した科学技術で戦う宇宙人
・死を超越した怪獣
・脚本が書き変わらない限り倒せない怪獣
    etc.....

という、最終的にはよく分からないレベルで強さの定義がなされることになり、「マックス」はウルトラシリーズ歴代の中でも屈指の(ユニークな)強力怪獣ばかりが登場するシリーズとなりました。ですから、「とりあえず強い怪獣が知りたい!」という方は「マックス」をとりあえず見ておけば間違いありません。


過去怪獣の再登場

怪獣つながりでもう一点、「マックス」の魅力といえば、過去の人気怪獣の再登場が挙げられます。過去怪獣を登場させることについては、企画書の段階から親子で一緒に楽しめるような仕組みの一環として計画されており(※5)、TVで放送された平成ウルトラシリーズでは初めて本格的に過去に登場した怪獣を再登場させたのが「マックス」になります(※6)。ネタバレを避けるため具体的な怪獣名は出しませんが、過去怪獣をリメイクしたり、あるいはオリジナルの見た目のまま設定だけ変えて出したり、またあるいはオリジナルの設定のまま登場させたりと、今のシリーズにも繋がる「過去怪獣の登場」文化の基礎を作ったのが「マックス」であり、実際にこのとき新たに作られた過去怪獣の着ぐるみのいくつかはその後10年以上にわたって活躍し続けることになりました。

と、いうことで、全くまとまりきっていないしまだまだ書きたいこともたくさんあるのですがここらで一旦おしまいにしたいと思います。
個人的に「ウルトラマンマックス」は「明るい!見やすい!楽しい!」作品だと思っているので、良かったらみなさん見てみてくださいね。
7/7から毎週一話ずつ、Youtubeウルトラマン公式チャンネルにて放送予定だそうです!

IMG_1226のコピー

さて、いかがだったでしょうか。私がこういうものを書くこと自体初めてのことなので、読みにくかったかなと思います。すみません…
見直してみると、なんというか初心者バイバイな記事になってしまっている気がしますが、そもそもウルトラシリーズ初見の方がいきなりこの記事に辿り着く気はそんなにしないので、あくまでただの一個人の作る記事ということで「マックス」のあまり知られていない側面を少しだけでも知ってもらえたらな、くらいの気持ちでこれからも書いていこうと思います。イラストも…毎週更新は厳しいと思いますが、できる範囲でやっていこうと思います。

それではまた。

(下に挙げたような参考文献を元に、なるべく正確な情報を掲載しているつもりですが、突貫で書いたので誤字脱字、内容に虚偽や誤り等がありましたらtwitter等でご連絡ください。)


※1  「ファンタスティックコレクション ウルトラマンマックス」(朝日ソノラマ、2006 )より
※2 「パーフェクト・アーカイブ・シリーズ⑥  ウルトラマンマックス」(竹書房、2006 )より。「怪獣には必ず履歴書を作成できる様な個性を明確化」「過去の有名怪獣/宇宙人が登場」など、怪獣の魅力についても明確な言及がある他、「マックス」本編の様々な特徴的な描写に関する指針がここで明示されているので、「マックス」に興味のある方は是非とも読んで欲しい。
※3  『「ウルトラセブン」の帰還』(白石雅彦、双葉社、2017)にて、満田かずほ氏がウルトラセブンのもととなったヒーロー「レッドマン」に弱点が追加されたことに対し、『これはウルトラマンが強すぎたことからの反省でね。ただウルトラマンは時間制限があったでしょう。でもウルトラセブンにはなかったから、どこかに弱点を作ろうということだったんですよ。だから利き腕の右手を、地球に来る途中で怪我をしてしまって、サウスポーになったという設定を作ったんですが、最初から全然守られなかったですね(笑)。』(原文ママ)と話している。
※4  カウンターストップの略。ここでは、強さが上限に達している、の意
※5  本編には最終的に昭和シリーズの怪獣しか再登場しなかったが、企画書ではキリエル人も登場するキャラクターの例として挙げられている。
※6  昭和ウルトラシリーズでは怪獣の再登場は頻繁にあったが、平成ウルトラシリーズでは世界観から一新されたこともあり、「マックス」以前での過去怪獣の再登場は「コスモス」の劇場版におけるバルタン星人や「コスモス」TVシリーズで過去怪獣を彷彿とさせるデザインの新怪獣・宇宙人の登場くらい。ただ1995年の「パワード」では過去怪獣をリメイクして登場させる手法が既に行われており、後にTV放送されたことも考えると「パワード」が平成ウルトラシリーズで初めて過去怪獣を再登場させたシリーズ、とも言える。





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