多様な働き方がスタンダード!? 茨城へ行くと、きっと面白いことに出会えるはず。
こんにちは、フリーライターの三上です。先日参加した#meets石川に引き続き、『meets local』のイベントを通じて感じた地域の魅力や、地域で活躍するキーマンたちのエピソードを紹介していきたいと思います。
今回は8月2日(金)に四条烏丸『GROVING BASE』で開催されたイベント「茨城から広がるこれからの「働き方」とは?〜二拠点・複業会社員・フリーランス・関係人口という選択」に関するレポートをお届けします!
正月とお盆以外に地元に帰る日を1日増やす。「茨城移住計画」とは?
今回は茨城から4名のゲストが来京され、自らの働き方や生業づくりを中心に話してくれました。最初にお話してくれたのは、菅原広豊(すがわら・ひろと)さん。(詳しいプロフィールはこちら)
菅原さんは会社員として企業に勤めながら、『茨城移住計画』の一員として活動しています。茨城移住計画のテーマは、他県に住む茨城の人たちが「正月・お盆休み以外に帰る日を1日増やす」。移住という形にこだわらず、茨城との縁を多くの人とつないでいくことを目標に活動しています。
茨城納豆の16種類食べ比べなど、ユニークなイベントを通じて茨城での働き方・暮らし方について気軽に話し合える『STAND(スタンド)』や、フィールドワークを通して茨城の魅力や課題を学び、講師と共に課題解決の企画を行う『if design project(イフ デザインプロジェクト)』などを開催しています。
(大好評だったSTANDの「味わえ、茨城納豆食べくらべ」の様子)
(茨城へ移住する人へ向けた「場所やこと」を紹介するポータルサイト『Re BARAKI(リバラキ)』の運営も行っています)
会社や組織の枠組みを超えて「地域課題」を解決する
茨城移住計画以外にも、起業家を目指す学生をサポートする『Hitachifrogs(常陸フロッグス)』や、古材を再活用する『時由地材(じゆうじさい)』、同じ志をもつ異業種の人たちが集うイベント『まぜるなキケン』などのプロジェクトを担う菅原さん。
「誰と誰をつなげたら、一緒におもしろいことができるかという視点からアイデアを発展させ、形にしていくのが僕の仕事です。そのために「この人の強みや才能は何だろう?」と周囲の人たちのことを常に気にしてしています」
自分の興味関心からはじめた社外での活動が会社にも認められるようになり、今では地産地消のエネルギーの開発に取り組む会社のリソースを使いながら「地域課題」に取り組めるようになりました。菅原さんを中心に会社や組織などの枠組みを超え、みんなで茨城の発展に関われる構図が出来上がったのです。
ちなみに「茨城移住計画」のもう一人のメンバー 鈴木哲也さんも、菅原さんと同様に会社に勤めながら音楽イベントの開催などさまざまな活動を行っています。多才な人が多い茨城移住計画…!!人とのつながり方や仕事の生みだし方のコツが知りたければ、まずは茨城移住計画が主催するイベントに参加するのが一番!かもしれません。
住む人がいきいきする、「かっこいい」まちづくり
つづいてのゲストトークは、豊崎悟(とよさきさとる)さん。豊崎さんは家業である『茨城いすゞ』に従事しながら、茨城の活性化に尽力しています。もともと人材紹介会社でトップセールスマンとして功績を上げていた豊崎さんですが、いつしか「すごいのは自分ではなく、仕組みを作った会社なのでは」と感じるようになります。
そこで「もっとやりたいことや、人が必要としていることを仕事にしたい」と、茨城にUターン、「茨城いすゞ」であらたなスタートをきります。(詳しいプロフィールはこちら)
(左が豊崎さん 、右が和田さん)
仕事を通じて地元の人たちと関りをもつ中で、人口減少していく地元をもっと盛り上げたいと感じるようになった豊崎さん。そこで頭のなかに浮かんだのが大好きなまち「京都」でした。
「僕が京都を好きな理由は、まちがかっこいいからなんです。建物や町並みもそうですが、何より住んでいる人がまちにプライドをもっている。そういう“格好がいい”ものやことを地域で作らないと、人は集まってこないなと思いました」
そこで豊崎さんは、ビジネススクールで出会った人たちと一緒に実践型コミュニティ『Hakko Lab(はっこうラボ)』を立ち上げます。「何かやりたい」と思っている人が地域でそれを実現できれば、だんだんまちがかっこよくなる。まちがかっこよくなれば、住む人がいきいきしてくる。その循環を生みだしたいと思ったそうです。
今年4月には『平成最後の僕らの祭り』を開催。地域のキーマンとなる人を招き、「令和に向けて地域でどんなことをしていくか」などを話し合いました。今後も会社での事業や「Hakko Lab」を通じて「世の中のためになる事業となるようもっと進化させたい」と話してくれた豊崎さん。
他にもトークセッションやフリーマーケット、アート、写真などを楽しめるお祭りなども開催しているそうです。きっと水戸のまちは、どんどんかっこよくなっていきますね!
まちの中に「ただいま」といえる場所を
最後のトークを締めくくるのは、『ただいまコーヒー』の和田 昂憲(わだたかのり)さん。ベンチャー企業に勤めていた時に心や体への負担がたたり、うつ病を発症。あらためて自分にとっての幸せな働き方を考え直した時、「地元で珈琲屋を開業する」という答えにたどり着いたそうです。(詳しいプロフィールはこちら)
和田さんは、菅原さんも参画する「Hitachifrogs」に参画しています。「家庭の経済状況に関係なく、学びが得られる」というプロジェクトの理念に共感した理由は、修業先で出会ったある男の子の存在が関係していました。その男の子から、日本の児童養護施設の厳しい現状を聞き、「お金を自分で工面しなければ、学ぶ環境も自分の希望する未来も手に入れることができない」ことを知りました。
うつ病を発症したときに禅の言葉にであい、「自分を幸せにしながら、関わる人も幸せになるといいな」と感じた和田さん。だからこそ「教育」の分野にも関わり、一人でも多くの人を手助けしたいと考えています。
お話を聞いていて「ただいまコーヒー」は、きっとこれからみんなの心のよりどころのような場所になるんだろうなと感じました。和田さんの思いや今まで歩んできた経験は、キャリアに悩んだことがある人たちの道しるべになるのではないでしょうか。
そんなかたは、ぜひ「ただいまコーヒー」に立ち寄り、和田さんに話しかけてみてください。きっと会話の中に多くのヒントやきっかけを見つけられるはずです。
ここからはじまる茨城とのつながり
最後はカレーをいただきながらの交流会。ゲストと一緒に「円卓」さんのカレーをいただきました。円卓さんは、京都を料理から季節を感じて暮らす」をコンセプトに、ケータリングなどを行っています。
(茨城産の野菜や納豆をトッピングしていただくカレーは絶品!)
食後には、和田さんがいれてくれた「ただいまコーヒー」のコーヒーをいただきましたよ。
(おいしいカレーとコーヒーで、会話も弾みます)
今回のイベントに参加して、ゲストそれぞれの「茨城を盛り上げたい」という言葉の先には「社会全体をよくしていきたい」という思いがあるように感じました。地域がよくなることは、社会問題を解決する第一歩。そう考え、行動している人たちが、これからの茨城をもっと楽しく、住みやすい場所に変えていくのでしょう。
「会社や組織の枠組みに捉われずに、まずは自分たちのできる限りのことから変えていこうよ」。そんなメッセージをゲストのみなさんからもらったような気がします。茨城移住計画の皆さん、ゲストの皆さん、ありがとうございました!
(写真・文/三上 由香利)