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石川の「暮らし」と「働く」に出会う旅

1月中旬、「めぐる旅ー石川ー」に参加し、2泊3日で石川県の金沢、加賀、能登を訪れてきました。古民家や空き家、移住者を巡りながら、空きスペース活性方法を考えたり、自分たちが何か関われることはないかを考えました。本記事ではその様子の一部をご紹介したいと思います!

【めぐる旅】とは?
人・場所・仕事をめぐり、関西と地域のローカルプロジェクトとの、関係づくり・仕事づくりのきっかけにつなげます。
観光では味わえない、ローカルな人・もの・ことの濃いつながりやおもしろさを体感できる企画です。

集まったメンバーは、多種多様な背景で参加したようです。なんと一番遠くからの参加者は仙台から!関西圏で開催した「石川プロジェクト市」や「北陸3県UIターンフェア」で石川に興味を持った方もいらっしゃって、リアルな声を聞ける機会の大切さをツアー最初から感じました。

学生や事業者が集まる古民家の市民交流館【金沢】

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素敵な古民家だなと思って入った場所は、なんと市民交流館でした。町家の多い京都でも、古民家風の市民活動センターはあまり見ないので、その違いに驚きました。

ここでは、市民活動を応援するセミナーやコーディネーターへの事業相談もできるようです。もし金沢に住んでいたら作業スペースとして何度も通いたい...

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「金沢で何かしたいと思ったらここへ相談しに行く」という流れができると良さそう。旅行者やフリーランスの方でもふらっと訪れて地域の方と出会える場として育っていくと面白いなと感じました。

そのあとは、まちを散策。

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小川沿いを散策しながら、ふと横を見ると石畳の道や、おしゃれな雑貨屋さんや絵が描かれた小径が。昔ながらのまちの雰囲気を残しながらも、現代のカルチャーがまちに溶け込んでいる様子が感じられました。

古き良き街並みと活性化のための課題【金沢】

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金沢駅近く横安江町商店街を散策。外国人の方が経営される素敵なコーヒーもいただきつつ、来夏オープン予定のシェアスペース&オフィスの改修現場を見せていただきました。

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このスペースのオーナーである新保さんによると、長年空き家だった物件をシェアスペースにすることで、何かにチャレンジしてみたい人たちが、小さくトライできる場所にしたいそうです。

改修の様子を実際に見たあとは、完成したスペースをどう使うか参加メンバーで意見を出し合う時間がありました。

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「これからの活性化について話しましょう」と入ったお店は、『香土』という八百屋さんでした。店主さんによると、奥のスペースは「せっかく空いてるから、いろんな人が会議とかゆっくり話する場所として使ってもらって交流できる場所になったらいいかな」とのこと。その柔軟な考え方に驚きました!

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今回は県外からのメンバーが集まっていたため、地域の人が普段利用する場所というより、観光や仕事で来た人にいかにふらっと来てもらうかという話をしました。

くつろげる場所が欲しいという意見や、Wifiは必須という実用的な意見も多くありましたが、やりたいことがある人やノマドワーカーの人たちなど境目なく出会えて、関心の近い人同士が繋がれる場所になるといいなという話が中心になりました。

面白そうと思えるイベントを小さいところから始めつつ、そういうスペースの存在に共感してくれる人が集まってくる場に育っていくのが大事なのかなと感じました。

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2日目・3日目は「加賀コース」と「能登コース」に分かれました。

大自然の集落で暮らす移住者たち【加賀】

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加賀温泉駅から車で30分ほど行ったところにある、重要伝統的建造物群保存地区の東谷 山村集落を案内してもらいました。

「車で30分」と聞くとアクセスが悪そうにも感じますが、たった30分でこれだけ自然に囲まれた環境に住めると思えば、近いなと感じました。

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とても静かな環境なので、集中して活動をしたい、インスピレーションを感じたいアーティストの移住者も多いようです。

漆芸家の更谷さんは、その腕が評価され世界を飛び回っておられた職人さんですが、本当に良いものを作ったり、修復する環境に適しているとして、この場所にたどり着いたとのこと。

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ほかにも、チェーンソーアートをしながらその作品を題材に小説も書いているという方や、まるでディズニーの世界に迷い込んだかのようなお店作りをされてる時計屋さんなど面白い方ばかりでした。

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移住や暮らしというテーマで改めて大切だなと感じたのは、そこにどんな人がいるのか。

いくら静かで豊かな自然環境があっても、魅力的な人だと思える人が住んでいなかったり、繋がりがないまま移住するのは相当なハードルのはず。
でも、現地の人と出会って生で話を聞くことで、そこに住んでみることがグッと現実味が増すように感じられました。

IT領域で交流が生まれるイノベーションセンター【加賀】

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大自然から一転、城下町として栄えた大聖寺エリアも散策しました。病院のような見た目の施設の中には、コンピュータクラブハウス加賀が運営する、動画制作や3Dプリンターなどを体験できる教室がありました。

ここには子どもが動画を制作できる環境もあるようで、参考に見せてもらいましたが、完成度がとても高かったです。しかもその作る過程が驚きで、子どもから質問があれば、答えを教えるのではなく調べる手助けをするに留め、子ども自ら必要なスキルを学ぶそうです。こんな環境があったら、自ら作りたいものを作っていく力がめきめきつきそうですよね。

この施設には他にも、スタートアップ企業やIT系団体の入居者もいるようで、お互い交流も深まりそうな素敵なスペースでした。子どもが小さい頃から色々な大人に出会えるという点でも、画期的な場所だなと感じました。

城下町の散策を終えたあとは、町家を再活用したFUZONというカフェで、加賀を歩いて感じたことについての意見交換会を行いました。

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実はFUZONさん、夜にGallery&Barもオープンされていて、夜にお邪魔させていただきました。カフェバーともにとてもゆったりくつろげるスペースがあり、コーヒーもお酒の品揃えも最高で、話をするのに最適の環境でした!

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意見交換の中では、空き家やコミュニティをどう盛り上げていくかの案を出す声もいれば、伝統工芸や建築に興味を持つ声、はたまた移住を検討する声もあり、実際に人と人が出会うことで起きる変化の大きさを感じ、めぐる旅企画の意義をリアルに感じられました。

廃校を使った田舎のダイバーシティ化【能登】

「能登コース」では、七尾駅から車で20分ほどのところにある高階地区を訪問。地域おこし協力隊の方や移住コンシェルジュの皆さんにご案内いただきながら、現在廃校となった旧高階小学校にて、地域の現状についてお伺いしました。

現在旧高階小学校には、高階地区コミュニティセンターや児童館が入居し、少しずつ利活用が進んでいるとのこと。しかし、まだまだ空き教室があり、廃校のポテンシャルを活かしきれていないことから、参加者を交えてアイデア出しをしました。

フリーランスや旅好きの人が中心だったことから、コワーキングスペースや宿などがあれば嬉しいという声が出ていました。

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農山村の豊かな食と風景を味わう【能登】

地域の空き家や資源を活用して農泊事業に取り組んでいる「南大呑地域」を見学。民宿として開業予定の空き家物件や原木シイタケの栽培現場の見学薪割り体験などをしました。

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空き家の前からは、遠くに立山連峰を望むことができ、その美しさに心を奪われました。

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この空き家は、宿泊施設として生まれ変わり、薪割りや原木しいたけの収穫、ピザ作りなど、自然体験を満喫できるプログラムを提供予定とのこと。澄んだ空気と美しい自然の中で、友人や家族と豊かな時間を味わえる場所になる予感がしました。

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最近ではネットから情報をたくさん拾っては来れるものの、実際にまちを歩いてみてはじめて気づくことはたくさんあると思います。

今回の旅を通じて、ただ街を散策するだけでなく、そこで活躍している人と出会い、リアルな悩みや考えを聞くことで、よりその地域のことを理解でき、その地域との距離感が一気に縮むなと感じました。

都心と地域とでは、それぞれ役割も違うし、課題も違う。けれど、共通する部分はたくさんあるなと感じたので、お互いが強みを理解しあって、人ごとではなく自分ごととして意見を出せる関係性になっていけば、どんどん魅力も発揮されるんだろうなと感じました。

アテンドしていただいたみなさんのホスピタリティに感謝です。ありがとうございました!

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写真・文/橋野 貴洋、北川由依



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