地元をベースキャンプに世界へ羽ばたきたい。ただいまコーヒー和田昂憲さん(茨城・日立)
ミツカルのイベントに関わってくれるローカルプレイヤー。今回は2019年8月2日、京都にて開催するmeets茨城のゲストとしてお招きしてる和田 昂憲さんをご紹介します。
和田昂憲さん
ただいまコーヒー はじめた人/Hitachifrogs 運営・メンター
平成2年、日立市生まれ。大学卒業後、愛知県のコーヒー焙煎店に手紙を送り弟子入り。茨城県のビジネスコンペ 2016 優秀賞を機に帰郷。クラウドファンディングにて目標額の189%(113万円)を達成。その後、日立市にて「ただいまコーヒー」を開業。「ただいまと言いたくなる場所をつくる、お手伝い」というミッションの元、コーヒービジネスにとどまらず、学童保育や児童養護施設の支援も行っている。2018 年、月刊ソトコトにローカルキャリア特集で6ページ掲載。2019年Hitachifrogsに運営・メンターとして参画。クラウドファンディングに挑戦し目標金額の110%(138万円)を達成。2019年日立市5ヶ年総合計画有識者会議選出。手帳好き。
ーー今のお仕事について教えてください。
地元日立市で、「ただいまコーヒー」という屋号で、自家焙煎の珈琲豆を使ったオリジナルコーヒーの製造と販売をしています。「”ただいま” と言いたくなる場所をつくる、お手伝いをしたい」という気持ちから、この名前にしました。
他には、子どもたちが起業家精神を身につける教育プログラム「Hitachifrogs」の運営メンバーや、日立市地域創生識者会議の委員としても活動しています。
ーー地元で起業することは、早い段階で決めていたのでしょうか?
中学生の頃から、将来は起業したい、お店をしたいと思っていました。地元の商店街にあったダイニングバーが好きで、よく訪れていたんです。そこからいろいろな純喫茶に通うようになりました。僕は「世界まる見え!テレビ特捜部」や「世界の車窓から」のようなテレビ番組が大好きで、違う世界を見たい気持ちがいつも心のどこかにありました。
今思えばきっと、「茨城には何もない」「遊ぶ場所がない」「楽しい学生生活を送るイメージが湧かない」という地元への不満の裏返しだったのでしょう。
ーーそれで京都にある大学に進学されたんですね。卒業後、すぐ起業されたんですか?
いえ。語りつくせないほど、紆余曲折ありました(笑)
僕は世界を相手にバリバリ、ビジネスをしたくて。勢いよくベンチャーに入り、猛烈に働いたのですが、体を壊してしまったんです。それで入社3ヶ月で退職して、沖縄の離島で半年ほどのんびり過ごしました。地元に戻って起業した理由はいくつもありますが、あえてターニングポイントを上げるとしたら、離島で過ごした日々です。
ーー離島ではどのように過ごされたのでしょうか?
ひたすら本を読み漁っていました。その中で、「僕の幸せって?」「どういう働き方をしたい?」「どんなライフスタイルが理想?」と問うたんです。
導き出した答えが、地元に帰ることでした。自分の幸せを掴みながら、チャレンジでき、勝算がありそうなのは地元だろう、と。
ーーもともと、いつか地元に戻ろうとは思っていたのでしょうか?
具体的な時期までは決めていませんでしたが、会社を定年退職したら地元に関われたらいいなとは思っていました。
京都で大学生活を送っていた頃、地元に帰るたびに衰退していく様を見るのがつらかったんです。中学生の頃よく行っていた喫茶店のマスターが「日立はもうダメだから、戻ってこない方がいいよ」なんて言って。「このままだと地元がやばいかもしれない」と少しずつ矢印が地元に向くようになりました。
ーー予定より早く地元に戻ることに決めたわけですが、なぜコーヒーの製造・販売で起業したのでしょうか?
「好きなこと」「得意なこと」「ビジネスとして成り立つこと」「自分の理念にあうこと」、この4つから起業のネタを探していた時に、たまたま愛知県瀬戸市にある「コーヒーサクラ」の記事を読みました。そこに書かれた、「人のために生きるのことが自分のためになる」という考えに感銘を受けたんです。それで、記事に出ていた大西文明さんに手紙を書き、2年ほど修業させてもらいました。大西さんには、仕事とプライベートなどさまざまなバランスの取り方を教わりました。
▼和田さんの人生を変えた記事がこちら
ーー日立にUターンして、「ただいまコーヒー」をオープンしてからの日々は充実していますか?
とても充実しています。両親のそばで暮らせることも嬉しいですね。僕にとって、地元は恋人のような存在。大切にしている人だから、できる限り助けたいなって気持ちが湧いてくるんです。
ただ、田舎で暮らしているからといって、スローライフではありません。学生時代に憧れていたように、バリバリ働いていますよ。僕のベースキャンプは日立にありますが、東京にも海外にもよく足を運んでいます。
田舎はプレイヤーが少ないので、どんどん打席に立てます。僕のようにがむしゃらに使命感に向かう働き方が好きな人は、都会に目が向きがちですが、インターネットや交通網が発達した現代、意外と地方でもその働き方は実現できるのではないでしょうか。