数年かかった決断。でも、この働き方を選んで、本当に良かった!【新しい働き方インタビュー 柳澤聖子さん|前編】
新卒から勤めた出版社を辞めて、複業スタイルに転身
フリーランス編集・ライター柳澤聖子さん|前編
子どもが小学生になった、2人目が生まれた等を機に、「働き方を変えて、子どもと向き合う時間を確保したい」「でも、しっかり働いてキャリアも継続したい」と考える方は多いのではないでしょうか。こんな時、子育てかキャリアかの二者択一ではなく、どちらもバランスよく充実させたいですよね。
そこで、今回のnoteは自分らしいバランスを求め、新しい働き方を実現した方にお話を聞く<新しい働き方インタビュー>! ご登場いただくのは、半年前に会社員(正社員)から複業スタイルのフリーランスへ転身した二児のママ、柳澤聖子さんです。
「今はワクワクしながら働いています」「この働き方を選んで、本当に良かった!」―。そんなポジティブな言葉が次々と飛び出す柳澤さん。半年経った今、お子さんにも変化が感じられるそうです。前編では、今のお仕事状況や心境、フリーランスになって初めて迎えたお子さんの夏休みについて語ってくださいました。
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仕事・生活時間は変わらず
でも気持ちはとても楽に
――― 現在はいくつかの編集やライティングの仕事を業務委託で請け負うフリーランス編集・ライターとして働いていらっしゃるとのこと。お仕事のスタイル、在宅や外出のバランスを教えてください。
前職で携わっていた子ども向けの教材の原稿執筆や子育てWebメディアでの編集の仕事を中心に、取材記事やPR記事のライティングなど様々なお仕事を企業と契約を結んでやっています。
この働き方のメリットとしては、出社の義務がなく、すべて自宅でオンラインで仕事ができることです。ツールとしてはビジネスチャットの Slack やチャットワーク、 Google ドライブや、企業とのデータ交換ツールなどを使いながらほぼ自宅で仕事をしています。
昨年、長男が小学校に入り、家で「お帰りなさい」と迎えてあげたいという思いも出てきました。日中の学校行事も増えたり、夏休みの過ごし方にも思案していました。だから、今、長男の帰宅時間に合わせて家にいることができるのは、私としては安心です。
ただ、ずっと家にいると運動不足にもなりますし、誰かと話したくもなります。なので、週5日家にこもりっきりではなく、週に2,3回は打ち合わせや取材、リサーチなどに出かけるなど、外に出るようにしています。
仕事は平日週5日9時~17時を当てており、働く時間としては会社員時代と大きく変わりません。でも毎日必ず出社して、(時短勤務とはいえ)17時過ぎまで働いていた生活に比べると、通勤時間に割く時間も減り、気持ち的にはとても楽になったなと感じています。
――― 小学生のご長男は学童から自分で帰宅されるんですね。フリーランスになっても保育園や学童保育に預けることができるのか、気になる方も多いと思います。お子さんの保育状況は会社員時代から何か変化はありましたか?
実はフリーランスになろうと思った時に、一番心配だったのは保育園に預け続けられるかということでした。そのため、まずは自治体の保育課に、どのような資料を提出すれば良いかを確認し、業務委託契約書があれば保育園を続けられることが分かったので、その点は大きな不安はありませんでした。
結果、子どもたちの保育状況について、フリーランスになって変えたことはほぼありません。長男の放課後は、以前と変わらず学童に17時頃まで預け、その後帰宅させています。次男も変わらず、保育園に預けています。
フリーランスになって気持ちの余裕は増やしたいと思いましたが、同時にやりがいをもって成長を感じながら働くことも欠かせない条件でしたので、勤務時間をそれほど減らすつもりはありませんでした。
私の働き方が変わっても、子どもたちの生活に変化がそれほどなかったことで、子どもたちの気持ちも安定していたように思います。次男の保育園の先生から、「お母さんがフリーランスになり自宅で働くようになると、保育園に行きたがらなくなる子が多いけど、全然変わりませんでしたね!」と驚かれました。
今の働き方の良さを感じた夏休み
長男の希望にも応えられた
――― 柳澤さんの働き方に変化があっても、お子さんの生活に大きな変化がなく、気持ちが安定していたのは何よりですね。生活が変わるといえば、長期休みです。特に多くの小学生の親を悩ませるのが「夏休みの子どもの過ごし方」かと…。フリーランスになって初めての夏休みは、お子さんとどんな風に過ごされましたか?
今のような働き方にしてやはり良かったな、と思ったのは夏休みでした。
長男が小1のころは私は会社員でしたので、夏休みは近くに住む義理の母に頼りきりで、何回か夏休みに一緒に出掛けてもらったり、一緒に田舎に帰ってもらったりしました。また、お弁当が出る民間学童に預けたり、私も少しだけ長めに休みをもらったり…と、スケジューリングをするのも、なかなか大変でした。またこの頃、長男と2人だけで一緒にデートする日を作りたいなぁと思ってはいましたが、仕事のやりくりが難しく、ほとんど叶いませんでした。
今年は昨年と同じように学童には行かせていたのですが、会社員時代とは違って、時間のやりくりがしやすく、どうしても会社に行かなくてはいけないという制限もなかったので、時間と気持ちの余裕があり、気持ちが楽でした。
子どもの夏休み期間中は私も長めに休みを取り、熱海と北海道へ旅行に行き、子どもたちとたくさん思い出を作ることができました。また仕事が落ち着いている日を見計らって、長男が絶対見たい!と言っていた映画を見に、一緒に出かけたりもしました。会社員の時は忙しく、有休をとるのも勇気がいることだったので、気軽にお休みが取れるのは嬉しいです。
――― ご長男との夏休みデートが叶ったのですね。お子さんの希望に応えたいとき、仕事の調整がしやすいのはメリットの1つですね。さて、新学期が始まりました。生活時間はあまり変わっていないと伺いましたが、会社員時代と今の平日の1日のスケジュールを教えてください。
タイムスケジュールで見るとそれほど変わっていませんが、気持ちの面では大きな変化がありました。
【朝】バタバタして子どもをせかすことがなくなりました。この時間までに行かねば…という、通勤のプレッシャーは結構大きかったんだなと思いました。夫には「妙にのんびりしてるよね」なんて言われますが。
【日中】会社員時代は会議も多く、会議の合間のこの30分でこれとこれをやって、あのメールに返信して…、と数分も無駄にできないような仕事の仕方でした。そしてどうにか17時半ギリギリに、大急ぎで会社を出る。そんな息つく間もない働き方に、疲れ切っていました。
今は、日中の時間の流れ方が全く違います。じっくり原稿に向き合う時間が取れますし、息抜きに家事をして家を整えることもできます。穏やかに仕事ができるのは、私の職人的な性格にも合っている気がします。
また、学校行事などは気兼ねなく行くことができます。以前から学校の様子をもっと知りたい、関わりたいと思っていましたので、先日は町探検の付き添いボランティアに手を挙げました。子どもたちの様子も見られますし、私にとっては仕事にも役立ちます。
【夕方】今まで私の帰りが遅かったため、私が長男を学童まで迎えに行かざるを得なかったのですが、今は長男が友達と帰れることが嬉しいようです(※通っている学童保育は18時以降は保護者のお迎えが必要)。私にとってはお迎えが1カ所減ったうえ、帰宅から寝かせるまでのワンオペ育児が約2時間前倒しで始められるので、余裕が生まれました。
複業スタイルで世界が広がった
好きな仕事だからこそ成長意欲も
――― 新しい働き方にチャレンジされて半年。仕事面での感想をお聞かせください。仕事にはやりがいを感じていますか?「複業スタイル」だからこそ得たこと、良かったことはありますか?
始めてすぐのころは、家にずっといることが寂しいなと感じたりすることもあり、慣れない部分もありましたが、今はワクワクしながら働いています。時間に追われることが減ったので、気持ちがとっても楽で、ストレスもだいぶ減りました。
また、複数の企業の仕事をすることで、色んな会社の事業モデルや仕事のやり方を見ることができ、世界が広がったような気がしています。そして何より、会社員時代には叶わなかった”編集とライティング”という大好きな仕事に割く時間を増やすことができ、毎日、「この働き方を選んで、本当によかった!」とひそかに思っています。
そして、大好きな仕事なので、「こういう所を目標にしよう!」「もっと、こんな風になりたい」などと、自然に目標設定もできます。今は、一部の取引先からフィードバックをもらえるありがたい環境なので、フリーランスの編集・ライターとして、実力をつけたい!と成長意欲も湧いています。今は、たくさんお仕事をいただけて、とてもありがたい状況。この状態を継続できるように、良いアウトプットを出せるよう、日々努力しています。
――― 柳澤さんの気持ちや生活面での行動にはどんな変化がありましたか?新しい働き方はお子さんやご家族にどんな影響を与えていますか?
会社員の頃の私はちょっとしたことで怒っていました。今は心の余裕がある毎日を過ごせているので、子どもたちにも自然と優しくできている気がします。長男が大好きな虫の話やポケモンの話をしてくれる時も、仕事のことで頭がいっぱいということもなく、ウンウンとしっかり聞いてあげられます。そのおかげか、長男は今までよりも笑顔が増えたような気がしています。実際、ママ友にも「よく笑うようになったね」と言われました。
長男は、私が育休復帰した時から、母親がいっぱいいっぱいで働く様子やあまり機嫌がよいとは言えない様子をずっと見てきて、何かしら感じてきたことと思います。口にこそ出しませんが、母親の変化は長男が一番感じているんだろうなと思います。だからこそ、最近、長男の笑顔が増えた気がするのが、とても嬉しいです。
また、私がこの働き方を選んだ一つの理由として、今後、働き方が多様になる中で、「会社員以外の働き方」を私自身が経験することで、子どもたちにもそれを見せられたら良いなという思いがありました。今は子どもたちはどう思っているかわかりませんが、今後、子どもたちが大きくなった時に聞いてみたいです。
夫とは、会社を辞めるに当たり、話し合いを重ねました。夫が、私に望むことは「生き生きと楽しく仕事をしてほしい」という事でした。今は仕事も順調なので「よかったね!」という目でみてくれています。最近はよく夫と仕事の話をよくするようになりました。「今、こんな仕事してるんだよー!」と私が夫に話したくなるのは、仕事を楽しめているサインなので、良い変化だと思います。
子どものちょっとした変化
気づけることが嬉しい
――― お子さんの笑顔が増えたのは、きっとママの笑顔が増えたからですよね。気持ちの余裕が増えたからこそ、お子さんのこんな変化に気づけた!ということはありますか?
実は夏休み前にこんなことがありました。長男は漢字が苦手なんですが、ある日、ランドセルにすごい点数のプリントがぐちゃっと入っていて、びっくりしました。これはマズイ…!ということで、夏休み中は手作りの漢字ドリルをつくり、特訓しました。そのおかげか、夏休み明けにはなんとか遅れを取り戻しました…。
もともと、私は、あまりそういう事に気づかない方でした。特に、自分のことにいっぱいいっぱいだと、小さなサインも見逃してしまいがちでした。マイナスなこともプラスなことも、ちょっとした目に見えないような変化にもも、前よりは気づいてあげられるのかな?と思うと、嬉しいです。
――― 新しい働き方で様々な良さや手応えを感じていらっしゃることが伺えました。逆に、今の働き方の悩みや改善したい点を挙げるとすれば何ですか?
自分が倒れても誰も仕事をフォローしてくれないというプレッシャーや孤独感を感じるときがあります。また、収入は会社員の時のように安定していませんし、現状としては減っているので改善していきたいです。
ただ、今は子育ても大切にしたいので、仕事を増やしすぎないように注意しています。「なぜこの働き方にしたのか?」という初心に戻り、限られた時間で質の良いアウトプットを出せるように、仕事を少しだけ選ばせてもらうこともあります。フリーランスなので、断る時には勇気がいりますが、やりがいが持てるかという点を大切に判断するようにしています。
あとは、やはり運動不足が悩みです! 毎週ヨガスタジオに通うことにしました。今後はジョギングなども始めようかと思っています。
(前編インタビュー終了)
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新しい働き方を実現したことで、好きな仕事に集中でき、次の成長意欲につながるという好循環。生活面でも柳澤さんの気持ちの余裕が、お子さんに良い影響を与えているようです。
今、理想のバランスを見つけた柳澤さん。
でも、実は会社を辞める決断をするまでに数年かかったそうです。
ライフとワークの心地よいバランスを実現したいと思っても、なかなか行動に移せないこともありますよね。また、「どんな働き方が良いのか」は職種や家族の状況、自身の感じ方などによっては異なり、選択肢は1つではありません。
後編では、柳澤さんが決断するまでの葛藤、最後まで悩んだ点、今迷っている方へのアドバイスなどをお聞きします。後編はこちら。
※2019/11/5 登録方法およびカウンセリング料金改定のため文章を一部修正しました。
※2020/1/6 完全指名制に移行のためカウンセリング料金を修正しました。
※2020年4月9日 サービス価格改定のため一部修正しました。
※2022年12月7日 サービス情報はHPリンクに変更しました。写真を一部差し換えました。