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【ウクライナ情勢】「飛行禁止区域」はヤバみ

 おじさん頑張ってヤバみを使ってみた! 恥ずかちいです。

 ウクライナの漢ゼレンスキーがしきりに西側に求めている「飛行禁止区域(no fly zone)」の設定ですが、これはヤバい。「飛行禁止区域」の設定とは、指定区域内での航空機の運用を実力行使もいとわず拒否するという内容で、ウクライナ戦争の文脈では、ウクライナ側を空爆するロシア軍機の指定区域内での活動を許さない、違反するなら撃墜する、ということになる。さらに、飛行禁止区域に実効性を持たせるためには、それを履行する側(どこになるかは判然としませんが、常識で考えれば西欧、それもNATO=北大西洋条約機構=加盟国のどこかないしNATO多国籍軍)の航空機が自由に活動できなくてはなりません。つまり、ウクライナ領内だけでなく、そこに近いロシア領内のロシア軍防空網の能力の一部の無力化(つまり破壊ね)も含むことになるかもしれない(間違ってたらすいません)。

 つまるところ飛行禁止区域の設定は(恐らく)NATOによる立派な軍事的措置であって、すなわちロシアvsNATOという構図の戦争に発展しかねない。プーチン様が核の威嚇を繰り返していることに鑑みると、もしロシア軍機がNATO軍機に撃墜されたりすれば、NATOとの全面衝突に至らなくとも、ロシアによる何らかの形の核使用という激越なリアクションを引き起こすことも考えられる。それにまた、ロシア軍が航空優勢を依然確保できておらず、大きな被害を出しているウクライナ市街地への攻撃の大半はロシア地上部隊による砲撃・ミサイル攻撃だとみられている現状に鑑み、ロシア軍航空機の飛行を禁じたところでどこまで実効性を伴うのか、という疑問もあります。

 一方で、西側の専門家の中には、「ロシアの活動への反応というだけでは括りきれない行動を西側が排除してしまうと、われわれは永遠に後手に回ることになる」という「エスカレーションのパラドックス」を懸念する向きもあります。ちょっとわれながら直訳調なので解説すると、核戦争や第3次大戦へのエスカレーションを恐れて先手を打つことを恐れると、ロシアがウクライナ相手にやりたい放題やってからようやくそれに対処するという悪循環を変えることはできん、という警告でしょうか。

 これには一理ある。実際に飛行禁止区域の設定を決めずとも、「そういやそういう手もありましたなー」とかスッとぼけて検討するフリをするだけでも、何らかの脅迫となって相手の行動を抑止する効果を期待できる、という主張もあるでしょう。戦略的曖昧性ってやつ。言下に「やりません」(byストルテンベルグ)と否定しないでね。

 でもですね、それにしてもリスクが大きいなあと個人的には思います。お前はウクライナが可哀想だと唱え、ロシアをさんざんdisってたじゃないか、ことここに至ってイモ引くのか、とお叱りを受けそうですが、今ウクライナで起きている悲劇を止めるために全欧州にこの悲劇を広げる覚悟が必要なのだ、などとは軽々に言えるもんじゃありません。ウクライナの気持ちは分かる、しかし、できないことはある。

 もちろん、ウクライナ支援をやめるってことではないと思うんですよ。ちなみに私、昨日5000円をウクライナ大使館に投げ銭(正確には口座振り込み)しました。小さな支援ですが、何もしないよりまし。それに、小さな支援ですが吉野家好きのワシの昼飯約13日分ですぜ。ウクライナ政治だってこれまでかなりグダグダで、大変立派な民主主義モデルとは言えなかったと思いますので、私の吉野家牛丼並盛り約13杯分の¥がどう使われるか分かりません。ただ、「この戦争で中立はあり得ない」という考えから一連のエントリを始めた手前、ここで日和るわけにはいかんのですよ(実際は、例えば国連機関とか赤十字国際委員会とか、もっと中立的な団体を中心に寄付先を検討する方が、使途もある程度明確になっていいのかもしれません)。

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