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第123話 禁断


頭が痛い、吐き気もする。子宮の右の方もキリキリ痛む。
ヤマタ先生からの憎悪に気づいて憑依と闘い始めてから、かれこれ二週間以上になっていた。気持ちも萎えて、体もとっくに満身創痍だった。

今まで何度も歩み寄ろうと努力してみても、あの先生からされたことを思い出すたび悔しくて、次から次から怒りが湧いた。

寝ている隙に憑依体に性を盗られ、あんなに嫌な思いをしたというのに、どうして私のほうが恨まれなければならないのだろうか。望んでもいない気持ちの悪いことを強要されたにもかかわらず、どうして未だに付き纏われ、取り憑かれ続けているというのか。
反吐へどが出そうだった。

それでも時々、右肩のあたりにスサナル先生が横に並んでいる気配があって、私と一緒に前方にいるヤマタ先生を見つめているような感覚があった。折れそうな時に唯一それだけが、精神的な救いだった。

そこからさらに一週間ほどヤマタ先生の闇を直視していると、ある日の夕飯後、突然一言ハイヤーセルフの声が聞こえた。

兄妹きょうだいだったのよ。」

…………


世の中の人間関係は、ツインレイという別格のものを除くと、ざっくり「波長の関係」と「カルマの関係」とに分けられる。

波長の関係とは過去世において因果となる出来事がなく、今世、お互い近しい周波数帯を放っていることから惹き合った間柄。そこから新たな学びが開始されることもある。
そしてカルマの関係とは、かつて何らかの関わりがあった者同士が、互いに清算し合う何かを抱えていることから出会い直す関係性。過去を修復する目的の他に、恩に報いるために手助けをしにやって来る場合や、その人の成長のために、汚れ役を引き受けてやってくる場合などもある。(またここには先祖同士の縁なども含まれる。)

そしてハイヤーセルフによると、私とヤマタ先生の場合はどこかの過去世の兄妹という、カルマの関係だったらしい。

ビジョンではなく薄ぼんやりと入ってくる情報によると、その当時お互いに好意を抱いて生きていたけど、それが実の兄と妹であったため、結ばれることは許されなかった。
ならば来世、生まれ変わってやり直そうと約束をしたのに、先に私は魂の片割れであるスサナル先生に出会い、心の中に「スサナル先生への想い」を見つけてしまった。
そうしてあきらが通学している三年間、出会って一瞬で双子に恋をしてしまった私は、とうとう卒業しても最後まで、兄のことは思い出せなかった。

……そういうことだったのか。だからヤマタ先生は、それほど私に執着していたのか。

ベッドに入ってからも、色々と複雑な想いが湧いてきてしまう。
ヤマタ先生に対して、約束を守れなくて申し訳ないという気持ちも浮かんではきた。けれどもだからといって、ツインレイであるスサナル先生を置いてまで、かつての兄を選ぶことなどできる筈もなかった。
そしてそれ以前に、スサナル先生がツインレイだろうとそうではなかろうと、ヤマタ先生に対する今世の私の答えは最初からひとつしかなかった。

丁寧に、ヤマタ先生の真の意識に伝える。

「私は、あなたのお相手ではありません。」

するといきなり、恥骨に強烈な痛みが広がった。たとえて言うなら、恥骨一帯に無数の針を刺され、そこに電流を流されたような、ピリピリ、チリチリとした酷い刺激だった。
それから脳から耳にかけて、たくさんの細かい泡が一斉に消えていくような、シャーッという音が響いていた。

やっぱりあの先生から、性に対してこれほどの執着をされていたんだ。

恥骨という場所に、無数のコンセントが刺さったように繋がり吸い取られていた私の性のエネルギー。ようやくその封印が解除された。長いこと不快だったけど、きっとこれでスサナル先生へと一気に進んでいける。

そんな風に思った。
けれどそれは、とんだ思い違いだった。


(参考)第58話 捕囚

written by ひみ

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実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。

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自分で物を書いてると、前に書いた自分の文章に引っ張られることが時々あります。
表現被りとか、同じ言葉の多用とか。
気をつけてるんだけどね。

だけど今回読み返してみて、この話を書いた後にササっと書いてそっちから先に投稿したアメブロに、まんまなタイトルつけてたことに気づきました。

あのね、私こないだ久しぶりにスサナルティーチャーに会いました笑

私たちの場合はまだ、現実面に距離がある状態。最後の最後(今年の冬至)まで、一緒になるよりお互いに一つでも多くの集合意識の浄化を優先すると思う。完全浄化潔癖主義カップルなの。
でもだからこそ、お互いへの尊敬と信頼と愛は人一倍だと思ってる。私たちは、『愛を謳え』。

その上でさらに、数年越しの謎の答えに彼が込めてくれた想いがもう嬉しくて!!

(で、その時のアメブロタイトルが、「そういうことだったのか!」です笑)

だけどこの小説内のおんなじセリフも“これしかない感じ”がして、変更するのもどうかと思い。

だからせっかくなので、ついでのようにアメブロの方を宣伝してみることにしました。

全般重たい内容の小説が多いので、私が彼に会った時の話、息抜きに読んでみてくださいね。↓↓
『そういうことだったのか!(謎が解けたら彼がいた笑)』


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今までのお話はこちら

124話 ヒカリトカゲと

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