産後ケア入院について、語ってみる

いきなりですが、私は、東京に住み、東京でフルタイムで共働く2児の母です。

なお、
第一子のときは、産後2ヶ月(産前産後休業のみ。育児休業取得なし)で復職し、
第二子のときは、産後6ヶ月(育児休業取得)で復職しました。

私は、産後によく「産後1、2ヶ月なのに、めっちゃ元気じゃない?!」とよく言われてました。
こちら、「産後ケア入院」のおかげです。「産後ケア入院」はとても素晴らしいです。みんなに体験してもらいたい。


しかし、まだマイナーなものなので、ちょっと紹介させてください。
「ちょっと」って言うものの、めちゃくちゃ長くなります笑
長いけど、ものすっっっっっごく大切なことだから、最後まで読んでもらえると嬉しいです。特に、男性!!
では、行きます。
(もともと、2018年にFacebookに投稿した記事を元にしているので、数字がちょいちょい古いですが、ご容赦ください)

まず、次の質問事項の答えを知っていますか?

◆ 質問 ◆
(1)日本では毎年、約100万人の赤ちゃんが生まれます。その一方で、妊産婦死亡数はどのくらいでしょうか?
※妊産婦死亡…妊娠中または分娩後42日未満に死亡した母体数

(2)「産後クライシス」という言葉を知っていますか?どういうことか知っていますか?

◆ 回答 ◆
(1)妊産婦死亡数は約50人です。
これは、他の先進諸国を比較しても、低い数字で、これ以上低くすることは難しいと言われています。
つまり、妊娠・出産は(発生頻度は低くても)必ず生命の危険が伴うものだ、ということです。


また、出産が無事に終われば、「それで終わり」ではありません。産後(出産後1年)は、育児の疲れ・悩みにより、母親がメンタル疾患を起こしやすく、ざっくり計算で毎年60人の方が自殺されていらっしゃいます。。また、メンタル疾患を患われた方は推計4万人とも言われているのです。


このように、「死亡」の可能性すらある、妊娠・出産・育児は、女性にとって身体的にも精神的にも、負担の大きいイベントなのです。
だから、育児中の妻が「子供は、ふたりの子供なのに、何で私だけがこんなに辛い思いをするの?」そう思ってしまうことも仕方ない、とも思いませんか?


…ん?
「仕方なくない?子供はやっぱりお母さんが一番だから、男にできることはない?」
…ふむ。そうですか…なるほど
現時点でのあなたの考えは分かりました。


とりあえず、今の所は話を先に進めていいですか?
質問2の回答に行きましょう

◆ 回答 ◆
(2)
産後クライシスとは、「出産後に、急激に夫婦仲が悪化する現象」です。

「夫婦の愛情曲線の変遷」って、ご存知でしょうか?これは、産後に妻の夫への愛情が、がっくん!と落ちることを表したグラフです。

画像1


これは、回復する場合もあれば、低迷したままの場合もあります。
低迷したままだとどうなるか?「離婚」になることが多いです。


「平成23年度全国母子世帯等調査結果報告」によると、「ひとり親世帯になったときの親および末子の年齢」で一番多いのが、0歳から2歳のときで35.1%
つまり、「より幸せになるはずだったなのに、夫婦仲が壊滅的になる可能性がある」それが妊娠・出産・育児なのです。


ということを知ると、「『子供はやっぱりお母さんが一番だから、男にできることはない』とは言えないな、自分には何ができるだろう?」ってなりますよね。ね。なりましたね?


この点、ベストプランとしては
●産後の自殺数が産後3〜4ヶ月に集中すること
●愛情曲線の回復グループの特徴は、「夫の育児参加が高いこと」
を踏まえると、
【夫が産後少なくとも3〜4ヶ月程度の育児休業を取得し、ツートップで育児に臨むこと】かな、と私は思います。


また、何なら、身体の変化を伴う女性と同程度の当事者意識を持つために、出産後は【父子同室】にしましょう。
基本のお世話は全部、夫。その間、母体は体力回復に専念。授乳時間になったら、夫が妻が休む病室まで赤ちゃんを連れて行くスタイル。
帰宅後は、助産師さんから教わったノウハウを夫が妻に教える。夫が先輩。産後はホルモンの関係で忘れっぽくなるし…ええやん!!!


...なーんて言っても、
現状、男性の育休取得率は5%だし、取得者の80%は取得期間1ヶ月未満(つまり、1ヶ月以上の育休を取得する男性は1%しかいない)なので、今いまの現実解ではないですよね。目指す場所とは思いますが。


じゃあ、どうする?
何ができる?
って、なった時に一つの方法として「産後ケア入院」があると思うんです。(やっと本題が出てきた!笑)


「産後ケア入院」が何かと言いますと、産院または助産院で助産師さんに囲まれて母子ともにゆったりと過ごすこと、であります。


…ん?
「それなら、出産入院と変わらなくない?」
いや!これ、全く違います
確かに、過ごす場所・過ごす人は、同じです。
でも、決定的に「過ごす目的」が違う。


出産入院は、赤ちゃんとの生活が送れるように「母親をトランスフォームさせること」を目的としてます。しかも、時間は5日しかない。その時の助産師さんは「教官」です。
身体がキツイって訴えても、大体は「もう少し頑張ってみようか?」と言われるし、そもそも「キツイ」って言いにくい雰囲気であります。


一方、産後ケア入院は、「母体の休息」を目的としてます。
自分がどういう風に過ごしたいかの希望を伝えれば、そのようにしてもらえます。

例えば、私だと、
●昼は母子同室(もちろん別室も可能)
●赤ちゃんの沐浴してもらう
●夜間(20:00~7:00)はスタッフセンター預かり。授乳時間に部屋に連れてきてもらい、終わったら連れて帰ってもらう
●夜間授乳を1回スキップしてミルクをあげてもらうことで6時間連続睡眠
●オプションで、毎日交互にアロマトリートメントとヘッドスパ
という感じでした。

むしろ、「困ったことない?無理しないでね?何が手伝えるかな?夜間、一回赤ちゃんを預かってママに休んでもらいたいんだけど、どうかな?」と積極的に声かけしていただけます。


その助産師さんの姿は、まさに「菩薩」
「あれ?昨日までの教官スタイルはどこに?マジ同一人物っすか?!」って感じです


…ん?なになに
「里帰り出産するから、産後ケア入院はいらない?」


ふむ。
新生児期って、何が一番辛いと思いますか?
一番辛いのは夜間授乳なんですよね。
夜中に2〜3時間置きに泣き声で起こされて、30分母乳あげてオムツ替えて、それでもすぐには寝てくれなくて…みたいな


これ、60代の親にやってもらいます?
いや、1日2日ならやってもらえると思いますよ。でも、毎日はしんどくないですか?


里帰りは、日中の家事や話し相手でサポートしてもらう感じですよね。でも、それだと床上げ3週間はキツイんです。
なので、床上げまでの産後3週間を産後ケア入院を使って産院・助産院で過ごせたら、いいんじゃないかなって思うです。


気になるお値段ですが、産後ケア入院は自費利用で1泊3万円くらいです。床上げ3週間までとなると、最初の5日は出産入院してますから、2週間の利用。
つまり、ざっくり45万円です。


…ん?「高い?」
なるほど。高いですよね、45万円
健康保険組合から出る「出産育児一時金」が42万円なところ、出産入院がそもそも60万円(東京都平均)のことを考えると、
60万円+45万円 - 42万円=63万円の出費ですもんね。


でも、ぶっちゃけ、
「ミシュラン三つ星レストランを巡るヨーロッパ2週間の旅」とかだったら、「高い」ってならないですよね?


つまりは、それだけの価値を感じられるか?の話であって
ここで、今一度、今までに私が書いたことを思い出していただくと、「あぁ、生命をかけて出産してくれた妻の心身の健康は何より大事だ。でも、自分は育休が取得できなさそうだ。ここで十分に妻のサポートできなければ産後クライシスまっしぐら…産後ケア入院ありかも」ってなりませんか?


…うん?
「無い袖は振れない…」
そうか、そうですよね….
はい!そんなあなたに朗報です!!


なんと、最近は各自治体が「産後ケア事業」を始めていて、助成金が出る場合があるんです。
例えば、私が住む自治体だと、3泊4日まで費用の8割が助成されます。なので、この助成金を利用して、少なくとも助成金が出る期間は産後ケア入院を利用してみてはどうでしょう?


さぁ、【産後ケア お住いの自治体名】で検索だー!
「子育て」は、夫婦二人で取り組む一世一代の新規プロジェクトであります。このプロジェクトのガントチャートは出産部分まで、担当者の欄が妻の名前でいっぱいでございます。


夫サイドは、産後が本番です。「産後をどう過ごすのか?」その戦術策定担当から、まずは初めてみるのはいかがでしょう??
長々とお付き合いありがとうございました〜

【参考】
(1)平成22‐24年妊産婦死亡 症例検討実施83事例のまとめ ~母体安全への提言~ 「妊産婦死亡検討評価委員会 日本産婦人科医会医療安全部会」
http://www.jaog.or.jp/.../uploads/2017/01/67_130710.pdf
(2)妊産褥婦の自殺 -東京都の集計及び概略分析「日本産婦人科医会副会長 総合母子保健センター愛育病院長」
https://www.mhlw.go.jp/.../05-Shingikai.../0000149769.pdf
(3)東パパの育児と愛情曲線!?「京都生活文化局 都民生活部 東京ウィメンズプラザ」
https://www1.tokyo-womens-plaza.metro.tokyo.jp/.../curve...
(4)平成23年度全国母子世帯等調査結果報告
https://www.mhlw.go.jp/.../boshi-katei/boshi-setai_h23/
(5)男性の育児休業取得状況と課題について 「認定NPO法人フローレンス 駒崎 弘樹 」
https://www.mhlw.go.jp/.../05-Shingikai.../0000166600.pdf

読んでいただき、ありがとうございます!