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世界一人間が好きで、世界一人間が怖い。

何年か前の日記に、こう書いてありました。

「私は、世界一人間が好きで、
世界一人間が怖い。」




幼い頃、私はミュージカルに魅せられました。
人は自分を表現しているときが一番、その人らしくいられると感じたからです。

人の感情のほとばしり、怒り、悲しみ、喜び、人を愛すること、
その全ての感情が、
音楽やダンス、そしてその人の体全てで表現される。
なんて美しいのだろう。と。

人間だからこそ、紡ぐことのできる言葉、
そこに込められた繊細な感情、そういうものが本当に好きで、好きで、
人間ってなんて美しいのだろうと思っていました。

けれども、テレビで殺人事件やテロのニュースを見るたびに
人間の恐ろしさを知りました。
それよりもっと怖かったのは、身近な友達の態度が急変して、
ある日突然いじめが始まったことや、
有名人に対するネット上での陰湿な書き込みを目にしたこと。

人は誰でも、嫉妬、妬み、恨み、欲を持っていることを知りました。
そして、それらは普段は隠れていても、
見えないところで人を豹変させることを。

人間の紡ぎ出す、美しい表現や、人と人の間に生まれる愛が大好きで。
けれども、ある日突然人から裏切られる怖さや、
暴力や嘘をなんの躊躇もなく、使っている人がいることへの絶望があって。

美しいものだけ見ていたいのに、
現実はそんなに甘くなくて。
でもそうやって諦めるの自分もいやで。

現実を見ろと言われると、
自分が無知で、頭の中がお花畑だと言われているような気がして、少し、悲しい。
でも違う、私は逃げたいんじゃなくて、信じていたいのです。
自分が美しいと思うものを信じていたいだけなのです。

私は甘えているのだろうか。
世界はそんなにも汚いものなのだろうか。
美しいものだけ見ていたいなんて、おろかなのだろうか。

わからない。わからないことばかりなんです。
生きるってよくわからないです。
何が正解かもわからないです。

けれども、人間にはいろんな顔があるってことを受け入れて生きていくしかないのかな。
受け入れた上で、少しでも、人間の美しさが広がっていくように。
自分だけはいつでも人間の美しさを諦めないように。