2023/7/22 M君とお別れ

【このお話の前はこちら


マッサージの練習台になってもらってからしばらくは、仲良くLINEのやりとりが出来ていた。
私はマッチングアプリでマッチングした他の人と会っていたし、
M君から進捗状況を何度も聞かれたけれど、そのことはもちろん知らせなかった。

ある日、M君が突然に、地方ミュージシャンIの動画を送ってきた。
『一緒にフリーのライブ 行きたいな』

元々私は、このIのことが好きではなかったのに、M君と、この人の事で嫌な思いをしてから、余計に印象が悪くなった。
Iは何も悪くはないのだけれど…
  【気になりましたらこちらへ】

CDを貸してくれたミュージシャンのLIVEは観てみたいけど、
Iには興味が持てない。
LIVEとかじゃなくて、普通に公園とかデートしてみたい、と伝えると、
『そっか。残念。私は音楽を一緒に楽しむの好きだから』
『では』

私の《興味が持てない》という言葉に、
またヘソが曲がったようだった。

「《音楽を一緒に楽しむ》っていうけど、私、今まで1度も
どんな音楽が好きなの?とか、
誰が好きなの?って、
聞かれたことないんだよね。
私が好きな音楽が、M君が全く興味ないものでも、一緒に楽しめるのかな」

すると

『私はかなりわがままだから、自分が好きな物を好きになってくれないと難しいんです。
A君もB君(M君が好きなミュージシャン)も、好きなサッカーチームの試合も、山歩きも、恋人も好きになって、一緒に行ってくれていたから。
ただI君のインストアライブに行きたかっただけです』

そして、
2人ともサッカーチームのユニフォームを着てサッカースタジアムで撮った彼女とのツーショット写真が飾ってあるテレビ台の写真と、
アルバムから引っ張り出したと思われる、2人でリュックを背負い山頂で撮ったツーショット写真をまた送ってきた。

それだけならまだしも

『恋人ではない女性とも行っていたわ』

と、
汗をかいた太った女性が山で1人で写っている写真を4枚送ってきた。

私はまた、携帯をもつ手がわなわなと震えてしまった。

以前に送ってきた元カノの写真は、携帯のカメラで撮られた写真だったけれど、今回はテレビ台の上に乗っている《写真立て》を写した写真…
まだ元カノの写真を部屋に飾っているのだろうか?
そして、山頂で撮った写真は、アルバムのフィルムと、それを持つM君の指まで写っていて、元カノの写真が、まだまだ大切にしまってあることがうかがえた。

更に、《恋人ではない女性》の写真…
登山口・山頂・山小屋の前・駐車場でそれぞれ撮られていて、2人だけで行ってM君が撮ったものだとハッキリ分かる。
登山口ではパーカーを着ていたその女性は、登山をして暑くなって途中でパーカーを脱いだらしく、
山頂や山小屋ではTシャツ、そして、
駐車場では何と、そのTシャツまで脱ぎ、
ブラジャーがスケスケのインナーのみの写真だった。
顔はスタンプのようなものが貼られて隠されていた。

私が何度も「昼間に会いたい」と言っても会ってもくれず、
SE〇をする約束をした夜さえすっぽかされたのに、
この太った女性と登山をしたということは、
前もって《何月何日何時にどこで》と、約束をしたということだ。
丸1日一緒に過ごしたということだ。
そして、1日一緒に過ごすという事は、
食事も一緒にしたということだ。

私がしてみたくても絶対にしてくれないことばかり…

《恋人ではない》どんな関係の女性なんだろう?
アプリで知り合った人?
私と同じアプリ?
っていうか、アプリで人に会うの、私が初めてって言っていたよね?
何年前?
何回も会ったのかな?
ただのお友達だったら、下着スケスケのインナーの写真は撮らせないだろう。
私にも『撮らせて』と言ってきたけど!
私は断ったけど!
この人は撮らせたんだな…
写真を拡大して、つい隅々まで見てしまう。

私は長々と怒りのメッセージを送ってしまった。

登山には行きたいのに、誘われない不満。
元カノの写真を、いまだに部屋に飾っていることに対しての嫌味。
……そして、それでも許せるのは
《恋人ではないから》だということ。

夜中に送ったそのメッセージに対して、
なかなか既読はつかず、
返信もないまま1日が過ぎた。

次の日M君は、全く関係ない空の写真と、
『梅雨が明けたような綺麗な青空です』などという、
とぼけたメッセージを送ってきたので、
既読無視をした。

さらに次の日、
昼近くなってもメッセージが来なかったので、反省はしているのだろうと、私も普通のメッセージを送ってみた。
すぐに返信がきたけれど、何通かやりとりすると

『ちなみに、一昨日のメールは怖くてまだ読めていないです』

と言ってきた!

私の怒りは再燃した。
怖いと感じるのは、私が怒っているとわかっているということだし、
私が怒っているとわかっているということは、
怒らせる自覚があって送ってきたということではないか!

「お
 話
 に
 な
 ら
 な
 い
 で
 す
 ね
 。
 読
 む
 ま
 で
 ラ
 イ
 ン
 送
 っ
 て
 こ
 な
 い
 で」
と、このように縦にと、
「後ろめたい気持ちが最初からあるからってことだもんね」と、
1文字ずつ送信してやった。
「確信犯じゃんか!」という言葉が頭に浮かんだけれど、
改めて《確信犯》
という言葉の意味を調べてみると、
《行為が悪いとわかっていてする犯罪ではない》と書いてあったので、その言葉は使うのをやめた。

そして、
「メッセージを読んで写真を見たら余計に、
早く、
私にちゃんと興味を持ってくれて
昼間にデートしてくれる
わがままじゃなくて
難しくなくて
昔の彼女の写真なんか持ってなくて
名前や会社を教えてくれる人を探さなきゃ
って思いました」
と、送った。

すると
『まだ見つからないの?』
と、気持ちを逆撫でするような言葉。

更に
『マッサージの練習台になってくれる人
って、ひとことやプロフィールに書いたら、すごくメッセージきそう』
などと言ってきた。

次の日はメッセージが無かったから
「まだ読まないのか」
と、イライラしながら過ごした。

その次の日の朝、
読んだという報告があった。
怒りのメールを送ってから4日目だった。
「読んだという証拠に、何かひとこと」
というと
『恋人でないから許せると』
と、
何とも自分に都合の良い部分を切り取って読んでいた…
でも、それこそ恋人ではないのだから、
そんなことでいつまでも怒っていても仕方がないと、自分の気持ちを理解してもらうことは諦めた。

また仲直りをしてやりとりを始めると
『T●●●で会った人はあまり合わなかった?』
と、アプリでの進捗状況を聞いてきた。

私達が出会ったアプリはP●●●なのに!
一体いくつのアプリに登録しているんだろう?

『最近は楽しい事ありましたか?』
『アプリはどうですか?』
『いいな。出会い。
私も出会いが欲しい』
『気になる人いるんでしょうか?』
『次は誰にマッサージ?』

いろいろと言葉を変えて、探ってくる。
そんなに私のアプリでの進捗状況が気になっても

『私ではダメですか?』とか、
『どうすれば私に可能性ができますか?』

などと聞いてくることは無く、
相変わらず名前も会社も知らせてくる素振りは無い。

「オススメされたようにマッサージの練習台になってくれる人って書いてみようかしらね」

『すごい応募きてしまうね』
『会ってみたらどうだったかな?』

「何回も聞いてくるけど、知ってどうするの?」

『〇〇ちゃんの情報は共有したいです。
仲良しだから』

会ってすぐに付き合うことになるかもしれない、と、
本当に、なぜ思うのだろう?
離婚してから20年弱、フリーの状態でも
誰とも何もなかったと、話したのに…

実際、数人とマッチングしたとはいえ、
《この人良い!》なんて思う人には、巡り合えない……
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「途中経過は言わないけど、
出来たときはちゃんと言います。
ただ、何回も言ってるけど、
私はそんなに簡単に人の事好きにはなれない方です。
急いで探さなきゃと思ったからって、実際にそれがすぐに出来るわけでは……
そーゆー意味では《○さん(アプリでのM君のニックネーム)》は、本当に特別な人でしたね。2週間で、ただのやりとりで、
すごく好きになっちゃって。
私が勝手に妄想して作り上げた人物でしたけど……
そんなふうに、
やりとりして会ったからって、自分のイメージにピッタリの人って、なかなかいないかもですよね。相手も私に対してそう思うこともあるでしょうしね」


『マッサージ受けたいな』

と、言ってきたので、

「いつ来られそう?」
と聞くと、また

『うーん。迷う』との返事。

自分から行きたいとか会いたいとかいうくせに、いつも予定を前もって空けておくことはできない。

『パートナーの進捗は?』
『教えてくれないと、行きにくいです』

「進んでいる人がいたら 誘わないと思います」

『パートナーなんですから、アプリもやめて欲しいです』

とうとう、自分のことを、私のパートナーだと言い出した……
ビックリ。。。

「M君は、パートナーではないけれど
《仲良しの特別な男性》という存在です」

『気になってなかなか寝付けないです』

「明日来る?」

『明日はA君のLIVEです。
今夜 行けば良かったな』

「またか……」

いつもそう思ってしまう。
とにかく土日はよくLIVEライブと言っている。
私に時間をくれないのは、A君がしょっちゅうLIVEをやっているからだ。
まぁ、いろんなミュージシャンが好きで、いろんな人のLIVEに行っているようだから、A君だけのせいではないけれど……

なんだか次の日はメッセージを送る気になれなかった。
私にパートナーが見つかったら、M君との関係は終わりになるだろう。
アプリで数人とマッチングしていたし、
会う約束もしていたから、
そろそろM君にメッセージを送るのも、やめていこう……と思ってはいた。

いつ、《その日》がくるかわからないけれど、近づいているかもしれないから、
早く会っておきたいのに。

それに、『明日はLIVE』と、言ってきたその日は、金曜日だった。
有休を使って、仕事を休んでいくのだろう。
A君にも、いつもLIVEに一緒に行くらしいM君のお母さんにも、
やきもちをやいてしまう私……


7月22日は土曜日で、5人目の男性に会った日だった。
   【気になりましたらこちらへ】
その人とのやりとりは、ちょっと楽しく、会うことも楽しみにしていたから、
前日M君とやりとりをしなかったまま、
その日も朝から私からはLINEを送らなかったし、
M君からも何も言ってこなかった。


その男性に会ったことを後悔しながらの帰り道、

『メッセージないですね』

と、やっとM君が言ってきた。

「友達とご飯を食べに行った」

と、嘘をついた。

『マッサージ今夜は?』

もう20時半だった。
時間が遅いだけでなく、その男性に会ったことをM君に申し訳なく思っていたから、絶対に会えないと思った。

『残念?』
『残念』

そう言われて、申し訳ない気持ちから、逆に腹が立って来た。
先にこの日に会えると言ってくれていたら、そっちの約束を優先したのに!
この男性に、この日に会うことはなかったのに!

『私 急でないと難しくて。
山に行く時もあるから。
次の日おやすみだと行きやすいので』

だから!
次の日お休みの、金曜日や土曜日に何度も誘ってきたじゃない!

「明日が日曜日だから、今日来てくれるといいなと思って、ギリギリまで空けていたんですよ。
私は基本的に休まず働いているので、時間を作るのは私だって簡単なことではないのです。
でも、M君が来てくれるなら、って、
優先しようとしています。
でも、M君は私を優先してくれることもないのに、他の男性に会うなとかいうの、
おかしいですよね。
せっかく空いている少しの貴重な時間も埋めてくれないなら、他の人に会う時間もできてしまうというものです」

実際、もしかしたらM君が来てくれるかも?
と思い空けてあった日だった。
その日が空いていたから、他の男性と約束が出来てしまったのだ。

もう、後悔からの自責の念からの逆切れだった。

『昨日から返信ないんだもん』

「またA君かいな、
って思ってしまって。
これから先、M君のパートナーになる人は、優先してもらえなくて悲しいと思いますよ。
一緒に楽しんでくれる人が見つかればそれでいいでしょうけど。
私じゃない人ならM君も優先するのかもしれないですけどね。
とか、また嫌味言ってちゃってごめんね。
でも、正直、メッセージを送る気持ちになれなかったのは、そんな理由です。
彼女じゃないから、そんなこと言いたくなかった。
言っちゃったけど」

するとまた

『では、さよならしましょう』

と、言ってきた。

これまでも何度も繰り返してきたパターンが、また始まる。

一方的に私に傷つくような事を言ってきて、
それなのに、
『さよならしたくない』と、
駄々をこねてくるあのやり口だ。

そう思った私は、時間の無駄だと思い、
即「おやすみなさい」
と、送った。

秒でLINEメッセージが送られてきた音が、携帯から鳴った。
次々にまた何かが送られてくるかもしれないと思ったけれど、
音がしたのは1回きりで、その後携帯は
しーーーーーーーーーーーーーーーーん
と、していた。

でも、今はそれを見たり、返信を送らない方がいいと思った。
お互い熱くなったままのやりとりで、
良い事なんか何も無い。

数十分経ってから、おそるおそる携帯を開いてみた。

するとそこには、さすがの私も予想できなかった衝撃の一言が書かれていた。


   ブロックします。





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