見出し画像

【映画感想】心霊喫茶「エクストラ」の秘密

一部の人にはお馴染みの幸福の科学の布教映画です。
本作はコロナ明けの映画興行ランキングで5週連続一位を突っ走ったり、そもそも5月の中旬というほとんどの映画が公開を見合わせていたタイミングでYahoo!映画の今週公開の新作(1)で「まじか!公開突貫か!」と色々驚かされた作品でした。

幸福の科学映画の感想なりレビューとなると大抵が「変な宗教映画だった!騙された!」とか「ほとんどノンフィクションですね。これは世界の真理です^_^」みたいな1点か5点みたいなものがやっぱり多いんですよね。
今回つらつら書いていくのはこの訳の分からないジャンルの映画を訳の分からないものとして楽しんで見ている人間の感想です。
筆をとったのは、前々から「そういうおかしいことしてるのはちゃんと記録に残しておかないとダメだよ!」と言われたのと久々に良幸福の科学映画だったおかげでしょうか

まず幸福映画の魅力(?)として挙げられるのは基本としては建前としては布教のためのものなんだけれど、エンターテイメント性を織り交ぜたり、自分たちの好きなフィクションネタをぶち込みたいといったような妙なアンバランス感にあると思ってます。
更にここに幸福の科学のお家事情(政界進出からの衆院選挙の大敗、大川隆法氏の離婚、息子さんの教団離反etc)や時事ネタが絡んでくることで相当な闇鍋状態となります。
以前は数年に一回程度の周期で作っていたのに、最近は公開頻度が年に二回位というライダー映画並みの頻度で世に送り出されてきています。

本作は17作目に当たりますが、自分は今までいくつ見てきたのかなと公式サイトから振り返ってみると10作目で、何気にキリが良いことに驚く。
今回はタイトルに通り除霊物ですね。ホラーというよりは少女漫画のオカルトミステリーものっぽいノリが強かったですね。
粗筋としては以下の感じ

東京は世界一不思議な街である。思わぬところに心霊スポットがあったり、思わぬ人が実は霊能者だったり──。東京の片隅にある喫茶「エクストラ」、そこはマスター自慢の本格的なコーヒーが楽しめることでファンが多い隠れ家的な人気店。店先には「悩みごと相談承ります」という小さな札がぶら下がっている。この店でアルバイトをしているサユリのもとには、さまざまな悩みを抱えた人たちが訪れる。そして彼女は“不思議な力”を使って、次つぎと悩みを解決していく。目に見えない世界の真実に触れることで、人びとの心に光が灯っていく。しかし、そんな活躍を続けているサユリに、邪悪な存在が立ちはだかる……。(公式サイトより)

割と序盤からアクセル全開でして、冒頭に小学生の女の子が何もない場所で切り傷を負ってしまう事件が発生して、それを千眼美子こと清水富美加演じるサユリの働く喫茶店まで相談にやってきます。
それに対して(セリフに関してはうろ覚えですが)「分かったわ。じゃあ、タイムバックリーディングでその時のことを見てみるわ」とサイコメトリーを始めます。
個人的には精々カマイタチの仕業ね。みたいな流れなると思ってたんですが、「これはスカイフィッシュがぶつかったのが原因ね!凄いわ!都会でスカイフィッシュとぶつかるなんてとても貴重な経験よ!」ときました。
スカイフィッシュという単語は凄い久しぶりに聞きましたね。
霊能物と思わせて冒頭から好きな人々の記憶からもほぼ消えていたのでは?というUMAネタをぶち込んできました。いやがおうでも映画への期待が高まります。
その後は、お店の売り上げをひったくられてしまったイサムくんが、サユリさんのタイムバックリーディングで犯人の住所と個人情報を見事に言い当てて(身長180cmの非番の警官が出来心でやったそうですが、そんなおっかない存在の自宅に突撃して「金返せ!」っていうのは相当な度胸がいると思うんですけど)貰ったのを機に人助けのボランティアの助手としてパーティに加わり様々な心霊事件の解決がオムニバス風に描かれていきます。

個人的なオムニバス除霊パートの最大の見どころはあのエル・カンターレ ファイトが実写で披露されたことですね。

金田一少年の事件簿のさとうふみや先生が執筆したことで一部では有名な技です。
実写では「ライトクロス、ライトクロス」と十字を二回切りそこに五芒星を重ねて「エルカンターレ!ファイト!」と後光と共に炸裂します。
ちなみにこちらの漫画降魔法輪は2001年の作品です。19年の時を経て映像化と思うと中々感慨深いです。
で、何が凄いんだと思う人が大半だとは思うのですが、幸福の科学映画って本編中ではあんまり幸福の科学関連の直接的なキーワードを使いすぎない傾向があったのです。しかし、今作は遠慮せずに幸福要素がマシマシです。
主人公のサユリはエクソシストの心得として「普段から規則正しく、世の中に感謝していきることが大切なの」といった道徳の教科書のようなことを教えてくれますが、日々のお祈りをゴールデンな祭壇にしていたり、勤めている喫茶店の本棚には真夏の方程式芥川全集ムーにサンドイッチされるように幸福の科学関連書籍が自然に?挟まれています。
終盤では悪魔に憑りつかれた女の子を抑えるために延々と大川先生のお経のCDを流すシーンもあります。
前作の世界から希望が消えたなら。でも大川隆法と後妻さんと娘さんがスポット出演するようになったりと少し制作体制への変化が出てきたのかなー?という印象です。

ここまでだとハッピーサイエンスマニアでないと楽しめないじゃんという印象を持たれそうですが、そんな変わった世界基盤から生み出される不可思議なキャラクターや物語も相当です。
前述したようにサユリさんの除霊と人助けに夢中になってしまうイサムくんですが、彼には杏花ちゃんという彼女います。しかし、妙なオカルトボランティアにハマったイサム君はデート中にもサユリさんと心霊の話ばかりします。女優志望な彼女のオーディションの日も忘れており、彼女は徐々に疑心と嫉妬心にかられるようになっていきます。
まぁ、よくある流れのお話ではあるんですけど、ここまで「イサムくんが悪いだろこれ」と素直に思えるパターンも珍しいです。
そしてそんな心の隙をついて女悪魔メレフィスがサユリを抹殺するために暗躍を始めます。
メレフィスはオーディションに落ちた彼女を人間に化けて言葉巧みに悪の道に誘惑します。ちなみにこの悪魔の誘惑をされている喫茶店のロケ地は有楽町にあるGINZA BOOK CAFE by HAPPY SCIENCEだったりします。
エル・カンターレのお膝元で悪魔の誘惑が実行されてるんですけどいいんすかこれ。
そんなこんなで最終決戦に話はすすんでいくんですが、強力な悪魔と戦うためにサユリも本気モードということで巫女装束に黄金の短剣を身に着けて悪魔と対峙します。
当然悪魔なのでイサム君の彼女を人質にとったりするんですが、「くくく、この女がどうなってもいいのかしら」みたいなことを言いながら伸びた鋭い爪を首筋に突き立てるシーンを実写で見たのはもしかしたら初めてかもしれないなぁ……と思いました。ちなみにこの爪はシャキーンとした感じではなくニョキニョキといった雰囲気で伸びてました。
他にも衝撃波で壁にばーんとたたきつけられたり、漫画やアニメではよく見る気がするんだけど素面の実写作品では中々見かけないシーンが続きます。
幸福の科学映画ではちょこちょこ悪魔と戦うシーンはあるんですが、大抵は一瞬で倒されてしまう傾向がありますが、今回は割と善戦してましたね。(主人公のモチーフが大川先生だったりすると苦戦は許されないのかもしれません)

そして、これらの演出やシナリオを包み込む楽曲が今回は嫌でも印象に残ります。

楽曲の殆どが大川隆法、娘の沙也加氏が手掛けているのですが、兎に角言いたいことが多すぎるのか楽曲の中に隙間なく歌詞が詰め込まれています。盛り上げ所では作中の挿入歌としてもフルサイズで数種類流れるんですが新海映画のRADWIMPSの様な効果は特にありません。しかし、じわじわと変な笑いはこみ上げては来ます。

とりあえず、ひとしきりの思い立った感想をつらつらと並べてみました。
最近の映画シリーズは自伝風シリーズや清水富美加の活用法を探っていたのかイマイチパンチの足らない作品が多かったので至る所に飛び道具がしかけられてた本作は中々の満足感でした。
年内にまた新作が控えているらしく、どういう方向性で攻めてくるのかなぁと楽しみにしています。

<おまけ・無課金プレイのすすめ>
幸福の科学の一連の映画は大抵無料で楽しむことが出来ます。
配布の場に居合わせたり、チケットプレゼントに申し込む(抽選だが、ほぼ確実に当たるらしい)、支部で貰うあたりでしょうか。
私はちょっと離れた支部でいつも貰っています。
この話をすると大抵の人は「何やってんの?」みたいなことを言ってくるし、本当にその通りだよなと自分でも思いますが、大川ファミリーにあんまりお金落としたくないなぁ……という気持ちのもと頑張っています。
大抵は席埋めのためのモニター視聴ということであっさりと分けていただけます。時々以前の映画の感想を聞かれたりしますが、最近はとりあえず清水富美加さんを褒めておくという無難な返しが出来るようになったのは助かります。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?