内から )外から展 | 学生インタビューBefore|Vol.2
Introduction
学生が本活動に参加する前後でどのような心境の変化があったかを記録するため、活動開始前と終了後に1回ずつインタビューをさせていただきました。
今回は医学科5年の宮坂夏生さんと、同じく5年の成瀬希咲さんのお二人にお話をお伺いしました。
インタビュアーは運営メンバーの医学科5年の篠田和さんです。
内から )外から展に共感したところは?
成瀬:
一番は子供を対象にしている、そこが惹かれたところかな。
自分の子供とか小児科に関する思いは三つあって、一つ目は元々医学部を目指したきっかけが小児科志望だったっていうこと。当時お世話になってた小児科の先生がいて、具合が悪くなれば必ず何でも見てくれてたんだけど、その先生が本当にかっこよくて。その先生に憧れる気持ちで小児科医になりたいって思ってたんだ。
二つ目は、シンプルにもう子供が好き。(笑) 将来子どもを持ちたいなっていう気持ちも大きくて、ちっちゃい子の面倒を見るのがとにかく好きで楽しいなって思うんだよね。
三つ目は、私も気軽に口にしたい話ではないんだけど、中高の時のすごく仲良い友達が小児がんで亡くなっちゃった。
小児癌であることは少しだけ話してくれていたから知っていたけど、その子は最後亡くなるギリギリまで病状の悪化を誰にも言ってなくて。いつも笑って周りも笑わせて元気な子で、とにかく周りに気を遣わせない子だから、私も最後まで全く気が付けなかった。
だけど昔私が医学部を目指しているというのもあって、同じく小児癌と闘ってる子の話をたまにしてくれてたんだ。きっと私に何かしら期待というか、思いを持ってくれているからこそ話してくれていたと思うから、そこに使命みたいなものも感じてる。
少し重い話になってしまったけど、この気持ちがずっと心の片隅にはあるから、小児病棟の子供たちに触れ合えるっていうのは、私にとって興味しかなかった!
篠田:
同期の私も初めて聞いた話だな。託された想いと葛藤のある中で、今回の企画に参加してくれたことは嬉しく思うし、同時に背筋が伸びる思いがするよ。夏生ちゃんはどう?
宮坂:
私も元々小児科に興味はあって。私が小児科をいいなと思ってる理由は、もう本当に子供が好きってところが結構メインかな。
だからあえて私がこの企画に興味を持ったところを、別のところから話したいなと思ってるんだけどね。私はお茶の水祭(以下:お茶祭)実行委員をやってたんだけど、去年めちゃめちゃ久しぶりに対面開催で、私たちにとっては初めての対面開催をやったんだよね。そのときに、学園祭としての規模自体があんまり大きくなくて、すごいもったいないな、もっとお茶祭でできる企画たくさんあるんじゃないかな、っていうのをずっと思ってたんだよね。
あと、お茶祭の受付をシフトでやってた時に、偶然通りかかった患者さんが「今日何してんの?」って声かけてくれて。「ちょうど今日学園祭なんですよ」って言ったら、「ええ、いいね。パンフレット頂戴!」って言ってくれて、パンフレットを渡したことがあったんだよね。そうなるってことは、患者さんは、学園祭をやるっていうのは知らないっていうことじゃん。外来で通ってる患者さんとかがたくさん来る中で、この患者さんと学生で同じ場所を共有してるんだから、せっかくだったら、患者さんもどうにか巻き込んだら面白いんじゃないかなって思ってて。
でも自分で行動に移すことは何もしなかったんだけど、内から外からっていうアイデアを聞いた時に、あ、私がそうなったらいいなって思ったやつやんって思って。それがビビっときたかな。このキャンパス内で、病院と大学っていう違う場所がセットになってる空間で、イベントを盛り上げられるっていう、一つの方法としてすごくいいなと思ったから、参加を決めた部分が大きいです。
篠田:
そんなことがあったんだね。そういう声をかけてくれる人がいるっていうことは、何かきっかけがあったら来てくれる人もいるのかなぁと思う。
宮坂:
両方ともいるのかなって。全員がハッピーな気持ちで病院にいるわけじゃないから、全員一緒になりましょうみたいに強制するのは良くないけど、それこそ内から外からとか、みんなでハッピーに盛り上がりましょうみたいな企画ではなくて、患者さんの実際のところをみんなに知ってもらいたいみたいなことを言ってるから、そういうコンセプトも環境に矛盾してないと思ったんだよね。
篠田:
もっとお茶祭でできる企画たくさんありそう、は私たちが今回の企画を発想した時に思ったことの一つだけど、お茶祭の実行委員だからこその実感のこもったエピソードを聞けて良かった。
小児科には興味ある?
篠田:
小児科に興味があるのは、子供に関わるのがいいなっていう風に思うから?
宮坂:
うん、子供に関わるのがいいなって、でもわかんないよね。
成瀬:
将来自分に子供ができたら、子供と関わる場としてもうそれで十分だとも思いそうだけどね(笑)
宮坂:
私は、患者さん(の病気)だけを診たくなくて。医者として、患者さんの生活背景とか家族構成とか、困ってることとか、診察室だけで見るにはちょっと大変だ、ぐらいなところ(も診たい)。たくさんの患者さんの情報、患者さんの生活がメインだからさ。人生の中で一部しか見てないのに、色々言って的外れのことを言ったりとかするのはすごい嫌だなと思うし。そういうところまで全部みられる医者になりたいなっていうのがあって。
そういうことをしたいってなった時にいいなと思ってるのが、総合診療と小児科なんだよね。
総合診療科は、そもそもそういう仕組みが結構強いから。
小児科は、一緒にお母さんが来るとかで家族と関われる場が既にあったりとか、子供たちは特に、もちろん病気を治すこともそうだけど、その後の生活のことを考えて治療するっていうのが結構多いと思うから。大人だったらこういう手術をしちゃうんだけど、子供はこの後成長をするから、ここはこうしません、とかも結構あったりして。未来を考えた治療みたいなのとかも、患者の背景とかを結構ひっくるめた感じ。あと、未来の話だけじゃなくて、例えば学校とかでこうちょっとみんなと違うことでこういじめられちゃうとか、そういうこともないようにするみたいなのとかもあったりして、そういうのがすごいいいなと思って。自分のやりたいことと近いな。
篠田:
小児在宅とかっていう分野があったり、医療ケアが必要な子供たちとかが今増えているとかもあるから、関わる切り口として、生活にすごく近いよね。その学校に行くだけでも、どういう風に医療のサポートとかがあったら行けるんだろうとか、それを考える時に、医療面でのサポートだけを考えてればいいわけでもないから。
宮坂:
なんとなく、未来を自分も一緒になって考えたいって思うのかも。
「子どもが好き」とは?
篠田:
2人はなんで子供が好きなんだろう?
宮坂:
なんだろうね。今、とりあえず言語化できるところだけすると、同じ年代とか上の世代とかと話してるんじゃ出てこないような発想とか、その一緒にいて、展開がコロコロ変わったりとか、こっちが気づかない楽しさに気づいてたりとかしてて、その楽しさに巻き込んでくれるところとかかな。
成瀬:
それそれそれ!本当にそれ!
篠田:
言語化がうまい。
成瀬:
素直でかわいいところが私が子供を愛らしく思うところだけど、夏生の言ってくれた子供たちに巻き込まれるっていうところ、すーーーごくわかる。絶対に自分一人だと出てこないよっていう発想で楽しませてくれて、話してると何だか心が洗われて若返らせてくれるような感覚があるなぁ。
篠田:
予想外のイベントしか起こらないみたいな。
宮坂:
それはね。そこを楽しいと思う人もいれば、嫌だと思う人もいるからね。
良さでもあり、そういうデメリットだと思ってる人もいるよね。
楽しみなこと、不安なこと
篠田:
内から )外から展に参加するにあたって楽しみだって思うことと、あと不安だって思うこと、いま思うことを聞いてみたいな。
宮坂:
子供たちと関われるのはすごく楽しみ。あとはさっき言ったけど、お茶祭の一つのイベントとして、お茶祭を盛り上げるものになってるところを見るのも楽しみ。他の患者さんとかにも興味を持ってくれたら嬉しいなって。
成瀬:
私は、小児病棟の子達とは普段触れ合うことがないから、それぞれの子がどんな背景を持つんだろうって知るのが楽しみ。
ただ、その子達を楽しませてあげられるか、心を開いてもらえるかどうか、それは不安かな。
宮坂:
こっちがなんでもオッケーみたいな態度で行ったとしても、そういう人を怖がったりするかもしれないもんね。
あとは自分たちもそうだし、今まで周りで関わってきた子もそうだけど、病気で苦しんでる子みたいな極端に少なかったし、自分もそうじゃないから、その子たちが苦しんでることとかに気づかずに言葉で刺しちゃわないかなっていうのは、ちょっとこわい。当たり前のように学校で楽しいこととかをノリで聞いちゃって、でも全然学校に行けてないですとか答えさせちゃって、悲しい思いをさせかねないなって。デリケートな話題を雑に扱ってしまってマイナスな思いをさせちゃわないようにしたいな。
篠田:
話題の出し方とか、先生たちにも聞いてみたい。あと、付き添うご家族を支援する活動をしてるキープ・ママ・スマイリングの方とかにも聞いてみたいね。
編集後記
まあゆるく話そうよ、とお菓子を用意してインタビューを始めたのですが、二人の語りに引き込まれてお菓子を忘れるくらいに、深い想いをまっすぐな目で話してくれた姿が印象的でした。これから活動する中で「どう関われば良いのだろうか」と悩むこともきっとたくさんあると思いますが、真剣に考えて向き合っているところが想像できます。私も一緒に悩みながら取り組んでいきたいと思います。(インタビュアー・篠田和)
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