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「パーパス」ってよく聞くけどよくわからない・・・を、『キングダム』を使って説明してみると
はじめに
「パーパス」がブームである。
そのせいか、「パーパスってどう考えたらいいんですか?」という質問をよく受ける。
正直、マーケティングの世界で、「パーパスを目的にしたマーケティング」とか「パーパスを手段したマーケティング」のような話を聞くと、目が点になる。
ほんとバズワードに群がって、好き放題に解釈して、それをネタにしてビジネスしようとする人たちにはいつもいつも嫌になる。
で、「パーパス」というのがよくわからん、という話をよく聞くので、ここではその説明を行いたい。
題材としては、近々第二弾の映画も公開される大人気マンガ『キングダム』を扱って説明をする。
「パーパス」=企業の“社会的”な“存在意義”や事業の“大義(名分)”
もうこの段階で言ってしまうと、「パーパス」というのは、企業、それが所属する社会・世の中においてどういう”存在意義”を持つのか、それが行う事業の”大義(名分)”は何かということである。
よく、
「パーパスとは企業の存在意義である」
といった説明がなされているのを見るが、これだけでは理解が難しい。そして、なんとなくわかっていたとしても、設定された「パーパス」は、非常に曖昧でふんわりしたものになりがちである。
なぜそのようになってしまうかというと、自分たち(=企業)が所属する”社会・世の中”を定義するところから始めて、「パーパス」を制定してないからである。
つまり、どういう“社会”の中に自分たちがいるのか?を定義できないといけない。 自分たちの存在意義ややっていることについて理由付けるなら、社会や世の中との向き合いにおいて説明されるべきなのに、それがなされないから、よく「パーパス」の話が「え???」となるわけだ。
「パーパス」の前に、自分たちが属する“社会・世の中”とは何か?を凝視しないといけない。
始皇帝にとっての「パーパス」
さて、そう考えると「パーパス」を理解するのに『キングダム』はやはりいい教材である。
『キングダム』は、10代に世界史で学ぶ、秦の始皇帝の中国統一がストーリー。
一方、学校の世界史では、「はじめて中華統一をした人」、「万里の長城を作り始めた人」、「貨幣や計量単位を統一した人」、「でっかい墓と兵馬俑」ということぐらいしか学ばず、「なぜ始皇帝は中華統一をしたかったのか?」については学ぶことがないし、「征服欲?」くらいにしか思わない。
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しかし、もし始皇帝の中華統一が征服欲によるものだとしたら、それは「パーパス」ではない。それは大義(名分)じゃないから(※“大義”を国語辞典でちゃんと調べよう!) 。
征服欲は「大義名分」、すなわち、”ある行為・行動のよりどころとなる正当な理由づけにはならない”。
大事なことなので、繰り返しになるがもう一度。
「大義(名分)」=「パーパス」なのである。
だから、どういう“社会”における“大義名分”なのか? が「パーパス」なのである。
で、『キングダム』。
その話は、周の勢いが無くなり、東周となり戦乱の耐えない時代=春秋・戦国時代の流れから始まる。
主人公の一人である嬴政(えいせい)=後の始皇帝は、そうした戦国の世の中で、中華統一を目指すのだが、このあたりを整理していくと、「パーパス」や「ミッション」がわかりやすくなると思う。
先に言ったように、「パーパス」には“社会・世の中”の定義が必要である。
嬴政が生きた世は、“戦いの絶えない社会”である。
その“社会”において、嬴政が目指したものが、「中華統一」である。
では、「中華統一」が「パーパス」なのか? というと、そうではない。
嬴政によると、「パーパス」すなわち「大義(名分)」は、
“争いの無い世を作ること”(3巻)
である。
そのために戦いに勝って “中華を統一する” ことを目指すのである。
この“中華を統一する”というのは、いわば「ミッション」にあたる。
つまり、『キングダム』は、
戦いの絶えない世の中(=属する社会の定義) において、
戦乱の無い平和な世を作る(=パーパス) ために、
中華統一のための戦いを行っている(=ミッション)
というストーリーの漫画なのである。
このように考えると、「パーパス」をマーケティングや経営の「手段」や「ネタ」と捉えてるのはあまり正しいとは思えないのも理解できるだろう。
バズワードにありがちだが、誤りのあるまま拡げられたようなものは、概念を正しく利用することはできない。そしてそうした誤った定義や解釈で広げてしまう人々は、私にとっては悪人としか思えない。。。
さて、「パーパス」。
最後にもう一度だけ簡単に説明すると、ある社会・世の中における、行為や行動を決める(社会的な)正当な理由づけ=道理が表現されるものがすなわち「パーパス」なのである。