記事広告が検索連動型広告よりも獲得目的のマーケティング効果を出すとき・・・と、その理由。
私が日経BP主催の『B2Bデジタルマーケター養成講座』を企画して以来、10年超の友人である佐藤岳氏。その佐藤氏が独立して立ち上げた G-AX のサービス紹介記事より。
また、佐藤氏は私が主宰している『デジタル時代のB2Bマーケティング講座』の修了生でもあり、現在でも時たまチューターとして、同講座の助っ人をしてくれている仲である。
彼が他のB2Bマーケターと違うところは、リード獲得のいわゆるセールスマーケティングの支援をしつつも、それを行うためのプロダクトマーケティングや(単なる売り手主導のマーケティングではなく)「買い手を支援するマーケティング」(※これについては別で書くが、『デジタル時代のB2Bマーケティング講座』では、“Buyer Enablement を実現する”として教えている)という思考が頭の中に入っていることである。
そんな佐藤氏が得意とする手法の一つが、「記事広告」である。
ちなみに、記事広告というのは一般的には獲得単価が悪いと考えられており、そうすると佐藤氏が得意分野とする、というのも変な感じがする。しかしながら一時はあの HubSpot ですら、記事広告をインバウンドマーケティングの一つの流れに取り入れようとして、メディア業界関係者を雇い入れていたこともあり、実際はもうちょっと注目されて良いはずなのだ。
ではまず、佐藤氏の説明においてもだが、記事広告と検索連動型広告の効果を獲得単価で単純比較するのは、いくつかの重要な変数をすっとばしてしまう感じがするので、若干丁寧な説明が必要だろう。
そして、ここの理解には、お客さんの情報行動への理解が必要となる。まぁ、マーケティングにおいて、本来頭使わないといけないところだ。
例えば、「検索連動型広告の場合、課題が顕在化した顧客を対象にしており、獲得単価が安くすむと一般的に考えられているが、記事広告という獲得には向かないと思われているものについて成果が出せるのはどうしてなのか?
実態としては、おそらく検索行動というのは、必ずしも“課題が明確化”していて行われているのではなく、色々と調べているとか迷っている際にも行われている。
そう考えると、記事広告というのはある種のナヴィゲーション的な効果を発揮させることで、検索連動型広告以上の役割を果たすことが可能なはずである。
その役割のためには、適切な読者層に適切なナヴィゲーションになるコンテンツを準備する必要があり、それによって、質の高いリード獲得が可能になるのである。
なので、検索連動型広告と記事広告を単純に獲得単価で比較するのではなく、それぞれのメディアや広告としての役割を認識し、それらを利用するオーディエンスの態度を理解する必要がある。
こう考えると、検索連動型広告は“なぜ”効果が高いのか?(=それはどういった情報行動の結果なのか?)、記事広告(やコンテンツ)が可能とする買い手の情報行動支援とはどのようなものか? という視点を持てるようになるはずだ。
結局のところ、マーケティング(コミュニケーション)において重要かつ本質的なのは、単純な獲得単価うんぬん、コンバージョン率うんぬんから“始まる”話なのではない。
いいプランニングをするためには、いわゆるメディアプランニングや、情報行動の理解といった、メディア論や社会学的な視点が必要だと思う。