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休むこと、そして働くこと〜学生のアルバイトの在り方〜
「みんながみんな休むために生きているわけでも、ない」
ケロケロ見聞録の2月放送では、番組編成チームに所属するりさの口からこんな言葉が出た。
今回のテーマは「休むは恥でもなんでもない!~自分のペースで休める社会へ~」である。
したがって、フォーカスしているのはどちらかと言えば、「休む」ことの重要性である。
しかし一方で、「人は休むために生きているわけでもない」。
もう一度前後を合わせてこの言葉を確認してみる。
ハル「学生も社会人も、「休みづらさ」を無くすために結局、何を変えなき ゃいけないのか?これは学生・社会人双方に対して何を変えるべきなのか?これについて考えていきたいんですけど、りさ先輩は(「休みづらさ」を変えるために)何かアイデアなどありますか?」
りさ「一番大事なのは、休む側と休みをOKする側の理解、合意をとることだなと思いました。インタビューでもあったと思うんだけれど、『みんながみんな仕事のために生きているわけじゃない。』そこで私は逆に、『みんながみんな休むために生きているわけでも、ない』と思う。」
ハル「そうですね。」
りさ「だから、そのバランスが人によって違う、仕事と休みの重要性というか。」
・・・
私はこれを聞いて、やはり人によって休みの捉え方は様々で、休みを取ることの重要性ばかりが強調されがちな今の世の中にあって、もっと休みと仕事の両方を見ていく必要があると思った。
そこで、この後記事では、この考えを一つの出発点にして、放送内容とは違った「休み」の感覚を伝えられたらなと思っている。
今現在、社会は「休むこと」を奨励する方向へと向かっている。無論、それは良いことだと思う。
ただ、それでも忘れてはいけないのが、「私たちは働いている」という事実なのだ。
なぜなら、「休み」とは「仕事」の休みであり、両者は二つで一つのものであるはずだから。
この記事の流れは、前提として「休むこと」が大切である現状を把握した上で、私たち若者に求められている「働き方」がどういったものなのかを考えていくという構成になっている
この記事は、九州大学の現役学生が制作するラジオ番組「ケロケロ見聞録」(ラブエフエム国際放送、毎月第一日曜22:00~)がもっとおもしろくなる情報を提供するものです。この記事に興味をもった皆さん、ぜひ各種サービスでケロケロ見聞録をお楽しみください!
1.休むことの重要性 〜働きすぎる大学生〜
現在、日本の抱える問題の一つに「労働者不足」がある。
次のグラフは、厚生労働省が日本の労働者不足を解説しているYouTubeから切り取ったものである。
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社会は常に人手が余っているか不足しているかのどちらかなのだが、令和においては、少子化の影響を受けて労働者は「不足」している。
そのため、経営者としては学生などアルバイトに対してシフトにたくさん入ってもらうことを要求せざるを得ない。
そこで、なかなか自分の時間を取ることができずに、バイトのシフトを優先してしまう若者も多い。
【若者に広がる「バ畜」】 週7でバイトや無理やりシフト 人手不足で…
こちらは、若者の間で広がる「バ畜」という言葉を取材したニュース動画である。
「バ畜」とは、「バイト」と「社畜」を組み合わせた単語で、学生が学業やプライベートよりもバイトに時間を割いてしまう状況を指す。
本来は、学業が本業であるはずの学生が、学業よりもバイトを優先してしまう状況は本末転倒だと言わざるを得ない。
ただ、「バ畜」と呼ばれる人たちは、基本的に「自ら進んで」シフトに入っている。この点を見落としてはいけない。
バイトの長時間労働が問題となっている背景には、「労働者を求める経営者」と「その求めに応じてしまう学生・労働者」の間にある微妙な関係があるのだと思う。
もちろん、休みを取らせないような圧力をかけたり、過酷な労働を強いたりするのは良くない。
さらに言えば、奨学金の返済などがあり長時間働かざるを得ない学生もいるだろう。
社会としては、気軽に休みが取れる体制を整えたり、お金に困っている学生を支援したりする仕組みが求められている。そうした動きが、良い意味での「休み」のあり方を社会にもたらしてくれると思う。
2.増える飲食店の倒産〜人手不足を見つめ直す〜
1.では、若者の間で長時間労働が問題となっていることを取り上げ、そのために「休み」はやはり重要であると述べた。
それに対して、2.では「休み」が気軽になりすぎてはいけない、という点にも注目してみようと思う。
例えば、帝国データバンク(2024年の「飲食店」倒産894件、過去最多を更新(帝国データバンク) - Yahoo!ニュース)
によると、2024年の飲食店の倒産が過去最多を更新した。
この原因の一つに挙げられているのが、「人手不足」である。
つまり、飲食店が今、深刻な「人手不足」に悩んでいることがデータからわかる。
その対策として話題となっているのが「スポットワーク」と呼ばれるサービスである。大型連休 単発のアルバイト「スポットワーク」の求人が急増 | NHK
このサービスは単発のアルバイト求人を行っており、そうしたサービスを使わないと連休などのシフトを組めない飲食業界の現状が如実に現れていると言える。
そうした状況では、シフトに積極的に入るということが、アルバイトに求められているだろう。
確かに、学生が第一優先にするべきなのは「学業」であって「アルバイト」ではない。
しかし同時に、学生は社会の一員でもある。いずれは就職する身なのであれば、全くバイト経験をしないで、ただただ勉強に専念するというのもまた本末転倒ではないだろうか。
学生は何のために勉強をしているのか。多くの人は「就職して働くため」と答えるのではないだろうか。
だとすれば、アルバイトをして社会経験を積むことも重要なはずである。そして、社会に出て働くということは、相応の責任を持って働くということでもある。
「学生だから」といってアルバイトの仕事を疎かにすることはできない。真剣に「アルバイト」に向き合わなければいけない。
3.私の経験
かく言う私も飲食店でアルバイトをしている。そこで最後に、私がバイト先で経験した出来事を紹介しようと思う。
私がバイトでシフトに入っていたある日のこと、他のスタッフから熱が出たため急遽、翌日のシフトに出られなくなったと連絡が入った。私は次の日もシフトに入っていたため、「どうなるんだろう」と思っていると、店長が他のスタッフにも電話で予定を確認し始めた。だが、とうとうどのスタッフも翌日のシフトに出られないことが分かり、臨時のスタッフとして、現在はアルバイトをやめ就職している元バイトの人に仕事を頼むことになった。
なぜ、そこまでして人数が必要なのかといえば、翌日は日曜日で人の入りが多いということ、したがって人数が少ないとメニューを限定する必要があり売上に影響することなどが主な理由だったと思う。
その日はとても忙しかった。しかし、だからといって熱が出ても出勤しなさいというわけではないが、自分自身、体調管理に気をつけようと思ったのと同時に「休む」ことで大変な思いをする人がいるという事実もしっかり噛み締める必要があるのではないかと思った。
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