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ヘルステック・デジタル技術関連ニュースまとめ 2024#8

この1週間に弊社Facebookページ等で紹介したヘルステック・研究・産業、ロボット・AI等デジタル技術関連ニュースをまとめて紹介します。
※ 記事のリンクが切れている場合は記事名で検索していただくとヒットする場合があります。
※ 過去のまとめはこちらのマガジンに。

今週の個人的注目トピックは

  • ISSでの遠隔ロボット手術実験
    思ってたより遅延短いですね。現実に負傷した宇宙飛行士の出血を止める・傷を縫合するなどの緊急処置が出来るようになるかどうか。
    漫画「宇宙兄弟」では遠隔手術で気胸の処置をしていましたが、このレベルに到達できるかどうか。

  • みずほ産業調査とEYのヘルステックサミット
    ヘルスケアビジネスの展望を調査する際、経産省等の資料やスタートアップの資金調達状況のほか、金融・会計大手の調査も参考になります。

  • 画像診断以外のAI活用スクリーニング
    心電図、認知症、メンタルヘルス、睡眠など様々な応用が増えてきています。一方で診断でなく診断前スクリーニングのサービスでは、市場活性が上がると信憑性の怪しい技術も増えてくるので、何らかのガイダンス・ガイドライン等指針や規格化なども必要になってくるかもしれません。




・医療AI

日本の医療技術をアピール、世界最大の医療機器展「MEDICA 2023」でカシオのAI診断サポート装置を参考出展 | マイナビニュース (2024.02.19)

カシオによるMEDICA出展レポート(PR記事)。
AMED事業(先進的医療機器・システム等開発プロジェクト)により開発された皮膚疾患AI診断サポート装置を参考出展されています。

AIは心電図の読み方を半世紀ぶりに変える:日経メディカル (2024.02.20)

ポイントは

「膨大なデータを学習したAIは、非常に多い各要素の組み合わせをパターンとして認識して評価できる」

「心電図機能を持つウエアラブルデバイスの登場により、日常生活の中でも容易に心電図データを取得できるようになったことも、大きなインパクト」

日経メディカル

オリンパス、AIで大腸の腫瘍発見 国内向けにソフト:日本経済新聞 (2024.02.19)

EndoBRAIN-EYEへの診療報酬加算見込みに続いて。
(製造販売元はサイバネットシステム)

AIメディカルサービス、シンガポール初の胃がん鑑別AI「gastroAI-model G -SG」の機器登録を完了 (2024.02.20)

「シンガポールにおける上部消化管領域の診断支援AIの機器登録事例として初の事例」とのこと。

米司法省も高評価!自衛隊出身社長の「日本発AI企業の強み」 | Forbes JAPAN 公式サイト(2024.02.20)

FRONTEO守本正宏社長インタビュー。

「現在、注力しているのがライフサイエンス領域だ。認知症の発症可能性が日記や会話など言語に表れることに注目し、問診での会話を解析して認知機能低下の有無や重症度を判定するAIを開発中だ。」

Forbes Japan

AIボット導入で、メンタルヘルス・サービスの利用者が増加 (2024.02.21)

利用しやすさと動的でスクリーニング能力の高いサービス。

  •  特にマイノリティの紹介件数が増加

  • 待ち時間の増加・実施臨床件数の減少には繋がらず

  • 診療の質は改善、他のリソースに余裕を生んだ

チャットボットが利用できるようになると、人種・性的マイノリティなどの少数派グループの紹介件数は大幅に増加した。性自認がノンバイナリーの人が179%、アジア系が39%、黒人が40%増加したのである。

重要なのは、紹介を受けた患者の数が増加しても、待ち時間の増加や実施される臨床診療数は減少しなかったことだ。これはチャットボットが詳細な情報を収集することで、人間の臨床医が患者の診療にかける時間が減ったことが主な理由だ。一方で診療の質は改善し、他のリソースには余裕が生まれた。

MIT Technology Review

東大出身の開業医、なぜAI起業? 胃がん早期発見を支援 (2024.02.22)

AIM多田智裕CEOの取材。

「従来の東大卒のエリート医師は、大学病院や研究機関など閉じた世界でアップスキリングにより専門分野を極めた。しかし、多田さんは、消化器内視鏡の精度向上のため、開かれた世界に飛び出し、リスキリングを実施してAI技術などの新たなスキルや能力を身につけた。」

NIKKEI リスキリング


・SaMD

未だ治療法のない生活習慣病NASH(非アルコール性脂肪肝炎)治療アプリの治験をCureAppが開始 (2024.02.20)

禁煙・高血圧・減酒治療に続いてNASHも治験開始。


・デジタル医療

患者中心の医療データ利活用を検証する大阪警察病院「スマートホスピタル構想」にSUNDREDが参画 (2024.02.22)

「全国のどのような病院とでも患者中心にPHRがつながり、医療データの利活用が実現するプラットフォームを構築し、大阪モデルとして全国に展開するための検証をスタート」

SUNDREDプレスリリース

札幌市の救急医療、一新!救急医療情報がリアルタイムに「見える化」2024年2月19日から (2024.02.19)

救急医療DX。
見える化はその先の技術革新にも貢献。


・手術支援ロボット

Surgery in space: Tiny remotely operated robot completes first simulated procedure at the space station (2024.02.13)

MIRA(Virtual Incision)による世界初のISS⇔地球での遠隔ロボット手術実験。遅延時間は800~850ms。


・ウェアラブル

ウエアラブルで痛み測定、中外が新技術開発へ  臨床試験活用を想定、子宮内膜症薬で (2024.02.21)

「同社は2020年から、米バイオフォーミス社と共同で痛みの測定技術の開発に着手。同技術は、腕時計型の機器で、心拍数変動や皮膚コンダクタンスといったバイタルサインを読み取ることで痛みを測定する仕組み」

日刊薬業

動悸、胸の痛みなどの症状を感じた時の心電図を記録できる携帯型心電計 ~オムロン 携帯型心電計 HCG-8010T1 2月20日発売~ (2024.02.20)

「家庭や外出先などで、胸の痛みや動悸などの症状を感じたときに、胸に本体の電極部をあてるだけで心電図を記録できる携帯型の心電計」

「解析結果は「心拍速め」「波形に乱れ」「乱れなし」など13通りのパターンで表示」

オムロン株式会社


・VR/XR

Sharp HealthCare launches spatial computing center focused on Apple Vision Pro (2024.02.15)

"San Diego-based healthcare group Sharp HealthCare announced the launch of a Spatial Computing Center of Excellence in its Prebys Innovation and Education Center that will focus its development efforts on utilizing the Apple Vision Pro augmented reality headset to enhance patient care."

mobile health news

「ひらけ、医療。」VR活用推進キャンペーン開始! 医療DX導入時の“二大課題”を解決 | JOLLY GOOD (2024.02.22)

新規契約者にVRゴーグル3台無償提供・全コンテンツ見放題・担当による導入・運用・定着支援。二大課題はどこでも共通課題であるカネとヒト。

医療業界はDXの取り組みの遅れが指摘されています。総務省「業種別のDXの取り組み状況」※によると、医療・福祉のDX実施は9.7%と最も低くなっていました。医療DXが進まない理由として、人材不足・ITリテラシーの不足・予算不足が挙げられますが、ジョリーグッドは二大課題として、①デバイスコストなど初期費用のハードル ②運用人員体制の構築 を解決するキャンペーンを実施いたします。

ジョリーグッド


・訓練

腹腔鏡手術の「鉗子」を使って折り鶴!1分52秒の最速タイムを保持する外科医に“神ワザ”の秘訣や手術への効果を聞いた (2024.02.23)

あくまで基礎訓練で手術成績へのポジティブな影響については様々な検証が必要ですが、鉗子操作能力自体はかなり上がることが期待されます。

手術操作というのは基本的に「膜の扱い」と「3次元の空間を設計し構成する」ことだそうです。その点で折り紙は膜に相当する薄い紙を扱って3次元的に構造を作っていくので理にかなっているかもしれません。

一方で、

  • 相手を上下左右裏表に自由に動かして得意な方向から作業できる

  • 「折り目をつける」という手術にはない作業が大半

という点は手術手技訓練として適切かどうか判断がわかれるところではないでしょうか。


・研究・大学

網膜眼底画像によるパーキンソン病スクリーニング (2024.02.20)

「ディープラーニングにより、網膜眼底画像からパーキンソン病をスクリーニングできる可能性を指摘」

The Medical AI Times

論文はDOI: 10.1038/s41598-024-54251-1


「浅い睡眠?深い睡眠?」どのレベルかAIが判定…韓国の研究グループ「判読アルゴリズム」開発 (2024.02.21)

韓国でもスリープテック。大きな睡眠データセットを武器に技術開発しているようです。

J-STAGE Articles - AIを活用して英語論文を作成する日本語話者にとっての課題とその対策 (2023.06.01)

少し前の論文です。

戦略的にAI活用執筆は可能ですが、

この方法は,一貫して日本語話者が英語の発想・表現に 合わせることを推奨している。だが,日本語話者を含めた 非英語母語話者が,すべて英語の流儀に染まっていくこと は,長期的には世界の認識の多様性を損なう。それは,人 類の対応力を減らしてゆくことにつながる

https://doi.org/10.18919/jkg.73.6_219

というところは大切な視点ではないでしょうか。

業績を国際誌に限定して和文誌を潰す風潮は、長期的には日本にとっても人類にとってもマイナスではないかという視点もあると思います。僕は和文誌を大切に残すべき、業績にならないから投稿できないなら若手はともかく業績に余裕がある・業績を過度に問われないシニア・テニュア教員が積極的に和文誌を守る活動をすべき、という考えです。

逆にAI翻訳・ネットワークがこれだけ能力が上がってきたら、皆母国語で書いて世界に発信するようにした方が、学術的にも学術界以外の社会的にも良い方向にいくのではとも思います。

医療現場のニーズから生まれた電動式低圧吸引器を研究開発~ユーザビリティーにこだわり、医療従事者の負担を軽減~ 岡山大学 (2024.02.22)

連携相手は埼玉の企業だそうです。
医工連携でのニーズシーズマッチングはそもそも低成功率なので、地域ネットワーク等に過度に限定・依存せず、広く探すのが吉です。私も研究も事業かも学外・県外で広く活動しています。

社会と共に発展する東京科学大学へ | 経団連タイムス (2024.02.22)

これも経団連のニュースですが、やはり「医科」・「歯科」・「工業」と、実業での日本最高峰の専門教育と研究を担ってきた大学が「科学大学」になることの違和感が消えません。「これらは科学ではない」という考えもまだ根強いと思います。

看板は大事だと思うんですけどね。
とはいえ代案はあるかといえば難しく。都科技大も無くなったし「東京科学技術大学」か。よく言われてた「医科歯科メカ大学」は…?


・ビジネス・スタートアップ

第5回 IP BASE AWARD スタートアップ部門 CureAppが奨励賞を受賞 (2024.02.19)


IP BASE AWARDは

「スタートアップの知財活動および知財支援活動を奨励し、スタートアップによる知財活用や支援者による知財支援、スタートアップ知財エコシステムへの取り組みを後押しすることを目的とするもの」

CureApp

だそうです。

みずほ産業調査 Vol.73 「日本産業の中期見通し —向こう5年(2024–2028年)の需給動向と求められる事業戦略—」(2023.12.7発行)

これ見逃してました。
8章に医療機器、24章・25章に医療・介護。

患者・病院・製薬企業 データ共有でスマート医療実現 EYが提唱する「インテリジェント・ヘルス・エコシステム」 : 日経BizGate (2024.02.22)

EY、KPMG、DeloitteなどBig4のヘルスケアビジネス展望・戦略に注目しています。

日本のスタートアップの未来のために解雇規制を見直してはどうか | Forbes JAPAN 公式サイト (2022.02.22)

能力主義の名の下に異常に雇用流動性を高くする施策が打ち続けられてきた大学界隈で生きてきた人間からすると、外の世界が未だに流動性低いのには忸怩たる思いがあります。

最近はマシになってきたのかもしれませんが、流動性の低い世界と流動性の高い世界が存在するとその間での人材移動が起こりにくいと思います。

そういった点からも「特にスタートアップに対して解雇規制の緩和を進める必要がある」は駄目です。限定した規制緩和をすると、スタートアップ界隈に一度入ったら外に出られなくなる恐れがあるので人が寄り付かなくなります。日本の人材マーケット全体の流動性を高めなければ意味がありません。

患者に優しく信頼性が高い最新のカテーテルを開発<TCNプライム>-大学発ベンチャーの「起源」(93) M&A Online (2024.02.25)

神戸大発ベンチャーTCNプライムの紹介です。


・行政・規制

コールドクター、往診サービス終了へ 診療報酬改定理由に3月末で 医療維新 | m3 .com (2024.02.19)

保険制度化での新規ビジネスの難しさを感じさせる部分です。

「「今後の往診に関する診療報酬改定に伴う市場の変化」を理由に挙げ、利用者に陳謝」

「2024年度改定では、訪問診療を行っていない患者に対する緊急往診の加算が引き下げられ、在宅療養支援診療所などが算定できる加算よりも低くなった。」

m3.com

なぜ日本でのメドテック・ヘルステックが難しいのか、の一端は保険制度にあります。保険償還価格によってビジネスがコントロールされるいう問題の他にも、「既存の医療技術が極めて安価にフリーアクセスで提供されているので、新規の医療技術にプラスのお金を払う気が起こりにくい」というのも課題とされることがあります。

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