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展示会 2024-#5 Medtec・Pharma IT&Digital Health EXPO(CPHI)ほか

こちらももう何年通ってるかわからないくらいのMedtec。医療機器の設計・製造に関する展示会です。

大学での研究から離れてしまって部品・加工屋さん探しのニーズはあまり無くなってしまいましたが、動向をみるのと知り合いとの近況確認、新たな出会いを期待して通っています。

※ ちなみに2017年の第6回Medtecイノベーション大賞にてarchelisが入賞しています。

一方のCPHIは医薬品の研究、開発、製造に関する展示会です。医薬品にはあまり縁がないので昔は全く行ってませんでした。
しかし最近はSaMD・DTxといったデジタル医療が「デジタルの薬」として製薬会社が積極的に研究開発を進めていることもあり、CPHIの方に併設されているPharma IT & Digital Health EXPOも回っています。

会期最終日の本日回ってきましたので印象記といくつかのトピックを。




全体の印象

昨年と比較してCPHIは落ち着いた?Medtecはいい感じ

コロナ禍明けの昨年はMedtecはちょっとおとなしい感じの一方でCPHIのボリューム感と活気に圧倒された感じでしたが、今年はそこまでの圧倒感は感じず。共に落ち着いた感じです。

相変わらずCPHIは海外勢(中国・韓国・イタリアが中心)がすごい勢いでしたが、Medtecもそれなりに負けてないぞという感じです。もちろんMedtecも海外勢はそれなりにいます。去年と同じくシンガポールエリアも。

(昨年の様子についての投稿↓)

MedtecとPharmaIT。オマケでCPHI。 珍しく他に展示会をやっておらず初めて会議棟地下駐車場に入れた。 最近活況を戻してきた他の展示会と比べるとMedtecはいまいちおとなしい。 部材・加工の中小ものづくりばかりだとマーケット...

Posted by 中村亮一 on Friday, April 21, 2023

工業デザイン系は?

しかし昨年の投稿を見て思い出しましたが、JIDAブースがありませんでしたね。残念。微細加工工業会ブースも高橋さんのプロデュースではなさそうな感じ。製造業の躍進にデザイン系の支援は必須派(バイオデザインとはまた別の面で)なのでちょっと寂しい感じ。

Medtec Japan

F.MEDのマイクロ手術支援ロボット

今回一番の目玉は、九州大学発ベンチャーF.MED株式会社のマイクロ手術支援ロボットの展示。触らせてもらいました。

マイクロサージャリー支援用ロボットシステム

実際軽く触らしていただいた第一印象ですが、

  • マスタの操作に対して鉗子が即座に反応して動き位置姿勢を合わせますが、まずパラレルリンクで姿勢を合わせた後に鉗子の位置姿勢を維持したままメインアームが遅れて姿勢を調整する(パラレルリンクの形を初期状態に整えるような)動きが初めての体験で不思議な感じでした。鉗子はキビキビ動くのにその動きと関係なく後ろがよっこいしょと動く感じ。実際の使用時に術者がメインアームを見るわけでもないので問題ではないですが、不思議な感じで面白かったです。
    2024.04.20追記:F.MEDの動画がわかりやすかったので持ってきました。パラレルリンクがマニピュレータ、後ろのメインアームがポジショナーです。パラレルリンクで鉗子が動いて止まった後にポジショナーがゆっくりと姿勢を変えていくのがわかると思います。操作者が動かしていないときもポジショナーが動いている感じになります。

  • マスタの操作に対して少し遅延があるような感じがしましたが、ラパロ系ロボットの感覚で大きく動かしすぎたせいかもしれません。マイクロ手術の動作範囲でやってみるべきでした。

  • エンドエフェクタの開閉は聞き忘れてこのデモ機で出来るのかわかりませんでした。

  • 洗浄性・滅菌性は問題なさそう。パラレルリンクの先で鉗子が取り外せます。鉗子の構造も外から見た感じでは特に特殊ではないと思います。

メディカロイド・リバーフィールド・朝日サージカルロボティクスに続く国産ロボットメーカーに成長できるでしょうか。

hinotori・Saroaも展示

去年と同じく日本臨床工学技士会エリアで車載hinotori展示。
※車載hinotoriはこのまま車を搬入するだけで設営でき展示コストを削減できるのでこういう出張出展ができるとの先輩分析。

定番の車載hinotori

こちらも毎度出ているNTT docomo×女子医大のモバイルSCOTに今年はSaroaが搭載。

2回のデモ、共に終了直後に行ってしまい見れず

Saroaはハプティクス(触覚)機能を生かした愛護的な手術操作が売りなので肺を扱う呼吸器に注力している感じですが、今日元同僚のリバーフィールド菅野取締役CTOにhinotoriも胸部外科(呼吸器)の適応取りましたねとお話したところ、負けじと次の適応拡大も考えられている様子でした。

取り組まれている経営陣は大変と思いますが、競合との競争で技術・サービスやビジネスが磨かれていくのはユーザにとっては幸せなことです。
da Vinci 一択の時代から国内手術支援ロボットメーカーが増えてきたことは、必ず日本の外科医療にプラスになると感じています。

ポータブル超音波の動向と将来性はどうなのか

SoC(System-on-Chip)メーカーSOCIONEXTがワイヤレス超音波の試作機と専用LSIを展示。

SOCIONEXT

大昔自分でもシグマックスのmirucoを研究用に導入してましたが、GE Vscanを始め大手診断機器メーカーButterfly Netwokなどいつのまにかかなり参入が増えたポータブル超音波。
実際のところマーケットサイズやシェアはどういう感じなんでしょう。中小企業やベンチャー、非医療系製造業の参入の価値がある領域でしょうか。

おまけ:医科歯科大生材研ブース・JSCAS2024

久しぶりに生体医歯工学共同研究拠点ブースへ。前職の医科歯科大生材研ブースは情報医工学分野(中島義和教授)がご出展でした。

退職後初めての生材研ブース立ち寄り

中島先生が大会長を務められる第33回日本コンピュータ外科学会大会(JSCAS2024)は11月8−10日に東京医科歯科大学(10月から東京科学大学湯島キャンパス)にて開催です。ぜひご参加を。


Pharma IT & Digital Health EXPO

去年よりは落ち着いた感じでした。AI・IT系の開発会社の大きめのブースが減って小規模ベンチャー・スタートアップ出展が増えている印象。自分の関心的にはいい感じです。

4P-xxにベンチャー・スタートアップが多数

AI感情推定による快適な環境整備

お話を聞いたのは北大発ベンチャーのmiruwsさん。

展示ではバイタルセンサ(心電)を用いたAI感情推定(上記ページの真ん中あたり)のデモをされていました。どちらかというと、不快や驚きなどを検知してアラートを出す安全支援というよりは、快適性や安心を得られる環境を調整するためのツールとしての活用についてのお話が多く、なるほどポジティブでいい方向性だなと思いました。
自分はどうしても医療・介護での事故・ヒヤリハットを検知する安全支援の応用を考えてしまう頭になってしまっているので、こういったポジティブな取組を見せていただくとポジティブな方向に自分を持っていけるような気がします。

なおこの研究は島圭介先生(同じBME系で同じ初期テニュアトラック経験仲間)との共同研究とのこと。世間は狭いです。島先生教授昇任おめでとうございます。

ライダーの感情を可視化する「感情センシングアプリ」を開発 ~産学共創の技術で、楽しく、安心・安全なバイクライディングを支援~
https://www.ynu.ac.jp/hus/koho/30057/34_30057_1_1_230511105157.pdf


おまけ:マーケティングWeek

一応小企業の経営者なので一連の業務に関する技術・サービスについてもビッグサイトに行くたびに展示があれば寄っています。BtoBの一人会社なのでほとんどの営業支援・EC関連は関係ないのですが、バックオフィスと販促などは関心を持って見ています。今回のマーケティングWeekもざっと会場を回りました。

販促EXPO:サスティナブルは紙に落ち着く?

友人の五十嵐さんが段ボールによるポップアップストア・展示ブース用什器を展開しているのでこの分野興味あってよく見ています。運搬コスト(重量・サイズ・組立)、材料に配慮した展示用什器・ディスプレイの展示の取組みはSDGsの流れもあり注目の分野と思います。

今回の販促EXPOではSDGsに配慮したノベルティ(木や竹などの素材、エコバッグ等)のブームはすこし落ち着いた一方、紙による展示用什器・ディスプレイは増えてきた感じがありました。

森紙器
レンゴー
TAISEI
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一方でいつもド派手な段ボード展示ブースが目を引くコンバートコミュニケーションズは今回のここには出展せず。

来週のJapan IT Weekのメタバース活用EXPOに出展のようです。

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