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ヘルステック・デジタル技術関連ニュースまとめ 2024#19
この1週間に弊社Facebookページ等で紹介したヘルステック・研究・産業、ロボット・AI等デジタル技術関連ニュースをまとめて紹介します。
※ 記事のリンクが切れている場合は記事名で検索していただくとヒットする場合があります。
※ 過去のまとめはこちらのマガジンに。
今週の個人的注目トピックは
ソニーの術具オートチェンジャー付き微細手術支援ロボット、動物実験に成功しICRAで展示。(動画あり)
8k内視鏡で遠隔手術支援に成功
Apple Watchの心房細動履歴機能、FDAのMDDT(医療機器開発ツール)に。本機能を用いたSaMD開発の加速化に期待。
です。
・医療AI
GoogleとMetaが相次いで医療向け言語モデルを発表 | XenoSpectrum (2024.05.06)
GoogleのMed-Geminiが話題ですが、Metaも医療向け言語モデルMeditronを発表。
応用開発や研究よりも「これで試験解いてみた」論文がしばらく続く予感…
アトピー性皮膚炎の診断支援に向けたAI画像解析技術、広島大学:Medtec Japan 2024 - EE Times Japan (2024.05.07)
先日のMedtecでの広島大学ブースの研究紹介。
「皮膚表面の画像から皮膚微細構造(キメの細かさ)を数秒で識別できるAI画像解析技術を開発」
短時間で専門医レベルの鑑別を実現。
大腸NBI拡大内視鏡画像のAI分析による自動NICE/JNET分類器も。
国立がん研究センターとJmees、AIによって大腸内視鏡検査前処置時の排便性状を判定するアプリ「ナースコープ」を開発・リリース (2024.05.07)
「大腸内視鏡検査前処置時の排便を撮影することで、その排便性状をAIが自動で判定」
「患者さんの心理的負担や看護師の業務負担の軽減が期待」
東大出身元救急ヘリ医のTEDトーク、舌癌で声を失った私が思う「病を治すのは誰か」 | Forbes JAPAN 公式サイト(2024.05.08)
データは現代の原油。病院は現代の油田。
「AIの精度は、いかに多くのデータを学習したかによります。このデータは患者から積極的に医療現場に提供されるものであり、実際、そのような未来の医療への貢献に対して医師が患者に感謝の意を表明する場面も増えてきていると感じます」
大規模言語モデルによるトリアージプロセスの支援 | Medical AI Times (2024.05.09)
トリアージAI。
「大規模言語モデル(LLM)が患者の臨床記録から症状を抽出し、治療の緊急性を効果的に判定できることを明らかに」
論文は
Use of a Large Language Model to Assess Clinical Acuity of Adults in the Emergency Department
AI放射線治療計画支援サービスを開発するアイラト株式会社が、2ndクローズを含むシードラウンドで総額1.2億円の資金調達を完了 (2024.05.08)
強度変調放射線治療 (IMRT)のAI放射線治療計画支援サービス「RatoGuide」を開発。
「今回調達した資金は、事業及びプロダクト開発、並びに今後の事業展開において特に重要な人材採用及び医療機器販売体制に充当し、組織基盤の強化に取り組みます。」
乳癌超音波画像AI診断支援ソフトウェア「スマートオピニオン METIS Eye」の医療機器承認取得 | Smart Opinion (2024.05.09)
「精密検査の必要性が疑われる所見の検出感度は94.4%であり、また、医師単独で読影した場合の正診率69.3%と比べ、本プログラムを用いて読影した場合は感度73.1%となり、有意な読影精度の向上が認められました。」
※つい医機連の医療技術産業戦略コンソーシアムを思い出してしまいました。
がんのタイプ分けなどのゲノム医療分野の課題を世界最高精度で解く、説明可能なAI技術を開発 〜 テキストや画像など、異なるデータ形式の判断材料を自動的に組み合わせて因果を導出 〜 | 富士通 (20204.05.09)
個人的には「説明可能AI」といえば富士通のイメージ。
「例えば肺がんの主要な2つのタイプのタイプ分けを、病理画像情報にさかのぼってその要因を説明する形で高精度に判定支援できることを確認しました」
「これらの技術を合わせることで、例えば病理画像などの十分な学習データを準備できない場合でも、ゲノム情報なども組み合わせて精度の高い判断を支援するAIを実現できることが期待されます」
・医療DX
横浜市立大学発のクロスシンク、入院患者急変を予測する医療アプリ - 日本経済新聞 (2024.05.07)
iBSENは重症患者のモニタリング情報を表示・共有するシステム。
プレスリリースは
≪国内初≫ 医療スタートアップの横浜市立大学発認定ベンチャー「CROSS SYNC社」は、クラスⅡ 医療機器プログラム「生体看視アプリケーション iBSEN DX」の医療機器認証を取得、販売・導入開始 (2024.05.08)
「日本集中治療医学会が定める「遠隔ICU 設置と運⽤に関するガイドライン」に準拠した日本初となる患者モニタリングアプリケーションとして販売を開始し、横浜市立大学附属病院に納入」
Apple Vision Proは、医療に空間コンピューティングが浸透する“未来”を提示している:杉本真樹 | WIRED (2024.05.11)
杉本真樹先生のインタビュー。
デバイスの性能(低遅延、没入感、空間記録)が上がることでようやく時空間を超えた体験の共有・現実とバーチャルの一体化が現実化する。
「メタバース」よりも「空間コンピューティング」の方が普及・定着に近い観念かもしれない。
しかしもう少し安くならないかな…
インフォメーション・ディベロプメント、AIを活用した医療画像のマスキング化ソフトウェアを慶應義塾大学病院で運用開始 (2024.05.10)
これは便利かも。
こういった細かい部分での自動化、意外なほど業務上のストレスとリスクを減らしてくれる。
「このソフトウェアは自動的に顔写真の目元やレントゲン写真に含まれる患者番号を識別し、必要に応じてマスキング処理を行います。画像処理に特化したAI技術を使用することで、顔写真の目元や患者番号のプライバシーを守ります。」
プレシジョンメディシンの実現に向けたメディカル・ヘルスケア事業会社の統合について | NTT (2024.05.10)
4つのグループ会社の事業を統合し、新会社「NTTプレシジョンメディシン株式会社」を2024年7月に発足。
オバマ大統領がプレシジョン・メディシン・イニシアティブを発表してからもうすぐ10年。
「これまでNTTグループでは、NTTライフサイエンス株式会社で検査サービス、NTTデバイステクノ株式会社で医療機関の業務DX(電子カルテ事業)、新医療リアルワールドデータ研究機構株式会社(PRiME-R)で研究開発支援、株式会社クリニカルサポートで治験業務効率化など、関連事業に取り組んできました。これらの会社や事業を結集し、データの生成から活用までを一元的に推進できる体制を整えます。」
・SaMD・DTx
治療用アプリ(デジタルセラピューティクス:DTx)の開発の特徴と留意点 | KPMG (2024.05.01)
DTx開発の基礎の基礎。
医療機器該当性、行動変容は臨床試験でしか確認できないこと、保険収載戦略の3つについて。
Boston Medical Sciences – 厚労省「優先SaMD」への指定 | Medical AI Times (2024.05.08)
無下剤バーチャル内視鏡検査システム「AIM4CRC」は
「大腸CT検査をベースとした、下剤不要のバーチャル内視鏡検査システム」
プレスリリースは
Boston Medical Sciencesの無下剤バーチャル内視鏡検査システム、厚労省の「プログラム医療機器に係る優先的な審査等の対象品目」に指定 (2024.05.07)
認知機能チェックツール「ONSEI」医療機関において認知症群を高い精度で分類 | DeNA (2024.05.09)
「「ONSEI」は、検査施設や参加者の年齢に関わらず、医療機関において認知的健常群と認知症群を高い精度で分類できることが明らかになりました。「ONSEI」は短時間で簡単に利用可能であるため、家庭や地域社会など様々な場所でセルフチェックツールとしての活用が期待されます。」
DeNAからのヘルステックプレスリリースということでアルムかと思ったら日本テクトシステムズ社。認知機能検査等に特化したヘルスケア企業。2021年にDeNAのグループ会社に。
論文は
Actual Clinical Practice Assessment: A Rapid and Easy-to-Use Tool for Evaluating Cognitive Decline Equivalent to Dementia
・手術支援ロボット
ソニー,独自のマイクロサージャリー支援ロボットを開発 ~ICRA2024(横浜)のソニーブースで試作機を初公開~ | innavinet (2024.05.09)
鉗子オートチェンジャー搭載&動物実験でΦ0.6mmの血管吻合に成功。
ちょっと見に行きたいけど展示のみRegistration Fee 35,000円か…
Sonyの技術紹介ページはこちら。
Microsurgery Assistance Robot 微細な外科手術を支援するロボットの技術開発 (2024.05.09)
https://www.sony.com/ja/SonyInfo/research/projects/microsurgery_assistance_robot/
動画も。
・在宅・遠隔医療
在宅・遠隔眼科医療用網膜モニタリング機器「eyeMO」を使用した特定臨床研究についてのお知らせ | 窪田製薬ホールディングス (2024.05.07)
https://sw4596.swcms.net/ja/news/newslist/auto_20240507582294/pdfFile.pdf
eyeMOは
「ウェット型加齢黄斑変性や糖尿病黄斑浮腫等の網膜疾患の患者が、在宅あるいは遠隔で網膜の状態を測定する超小型モバイルOCT」
かな?
Remote Retinal Monitoring Device: Home-based Miniature OCT | Kubota Vision Inc.
この分野詳しくないのですが、在宅OCTは既にホットな分野?
下記の論文ではNotal Vision、Visotec、バーゼル大などのHome OCTが紹介されています。
Optical coherence tomography in the 2020s—outside the eye clinic
エクサウィザーズ グループのExaMD、医療VRのジョリーグッドと業務提携 AIとゲームを活用した、在宅×ウェルビーイング・予防医療の新サービスの共創へ (2024.05.09)
2月に設立されたばかりのExaMD。
エクサウィザーズ時代からの認知症診断SaMDに続き医療VRを利用した認知症診断・検知サービスの共創・強化へ。
北海道の医療をつなぐメディカルウイング | NHK北海道WEB (2024.05.10)
周術期管理の大変さや医療資源の集約化なども考えると、遠隔手術支援ロボットよりも当面はこちらの方が現実的な高度医療になるような気がする
・教育・トレーニング
2024年4月27日(土)に九州大学・福岡大学でジャパン・メディカル・カンパニー社製の医療模型を用いたハンズオンセミナーが開催 (2024.05.07)
最近は赤ちゃんの頭のかたち矯正ヘルメットに話題が特化していた感のあるJMC、久々にKEZLEXの話題。
医療現場における教育の課題を解決する医療シミュレーションプログラム「GrowSIM~救急初期診療編~」CERCITと東北大学の産学連携プロジェクト | 株式会社CERCIT (2024.05.07)
「「GrowSIM」は、救急診療を行う技能やチーム医療トレーニングを効果的に行い、同時に、指導者の負担を軽減できるプログラム」
・大学・研究
8K腹腔鏡手術システムによる映像を伝送し遠隔で手術支援を行う 世界初の実証実験で医学的有用性を確認|国立がん研究センター (2024.05.07)
8kの動画像が2Dなのに「本物に迫る立体感」を持つことは実際体験してみると驚く。
ただし動きがあること(臓器側orカメラ保持側)に影響される感じがするので、内視鏡ホルダやロボットが前提になった時でも同等の感覚が得られるか見てみたい。
ところでエア・ウォーター(旧カイロス)の8k内視鏡はどうなったかな…
・スタートアップ
医療用バルーン注入で声門閉鎖不全患者の症状を緩和、台湾APreventが600米万米ドルをシリーズD調達 | BRIDGE (2024.05.05)
「APrevent VOIS は2019年にヨーロッパの CE 認証を取得し、現在ドイツ、オーストリア、英国、フィンランドなどの国々で保険適用により利用されている」
「構音障害患者向けの AI 音声アプリ「AiSpeak」については、1年間の調整と開発を経て、昨年末に無事ローンチしたが、現在は主に中国語圏の市場に焦点を当ててプロモーションを行っている」
首を映した20秒間の動画で脳卒中リスク検知、台湾Pulxion(博想医学)が挑む予防医療 | BRIDGE (2024.05.05)
「PulStroke が一般的な超音波検査、CTA 検査、MRA 検査と大きく異なる点は、脳卒中の主な原因の一つである脳の血管が閉塞した際に生じる拍動性の異常を利用している点である。頸動脈の流れを観察することで、PulStroke は閉塞した血管の動脈特性の変化を検出することができる」
Pulxionの武器は人材。スタートアップの成功はチーム作りにかかっている。
「Pulxion は、アメリカのスタートアップでさえできなかった帰納的分析をどのように行ったのだろうか? 分野横断的なチームと専門的なデータの蓄積が、Pulxion の重要な資産である」
論文検索のポストGoogleか。事業開発を加速する「Memory AI」とは | Forbes JAPAN 公式サイト (2024.05.07)
研究知見・特許、製品・企業など、事業開発に必要な情報は昔よりは手に入りやすくなった一方で溢れに溢れすぎているので、こういったサービス発展の重要性は痛切に感じている。
スタートアップ育成のファンドと研究会が誕生「起業」「M&A」「ユニコーン」などを支援 | M&A Online (2024.05.07)
4/25設立の東大IPCのASAファンドと、スタートアップ研究会について。
ASAファンド
スタートアップ研究会
“医師が患者に感謝する” 医療×AI を加速〜アイリス沖山翔×IBM金子達哉 | Forbes JAPAN 公式サイト(2024.05.07)
重要な示唆2つ。
伝統的な診療ルーティーンをデータ化することは未来の医療へ多大な貢献を果たす可能性を持つ。
「なぜ、喉を見る・胸の音を聞く・熱を測る、この三行為が毎回実施されるのか?それは、医師が判断する上で、非侵襲的に集められるデータが豊富にあるからなんです。」(沖山氏)
医療は保守的でなければならないし、現状のワークフローを破壊する技術は受け入れられない。
「医療の分野は現状を維持しながら変えるというのが絶対条件であることが他の産業とは比較できない難しさ」(金子氏)
東京大学医学部発、メディカル睡眠テックのACCELStars、ニューロシューティカルズと次世代の医療機器産業エコシステムの構築を目指し、戦略的事業提携を締結 (2024.05.07)
国内の医療機器産業エコシステム構築を目指した戦略提携。
「スタートアップではリソース確保やマネジメント等が難しいとされる医療機器のハードウェア開発と大量製造を自社で一気通貫に進めて」きたACがNCIとの提供で水平分業化と開発の加速を進める形か。
Neuralink、脳チップ初治験者のチップ不具合とその修正について報告 - ITmedia NEWS (2024.05.10)
物理的な電線と思われるThreadsが無くなったのにアルゴリズムの修正でパフォーマンス回復、ってそれだけ冗長性の高い設計になってるのか、でも物理的な侵襲を増やしてまで冗長性高める必要があるほどThreadsは弱いのか。詳細は如何に。
原文(NeuralinkのBlog)は
PRIME Study Progress Update — User Experience | Neuralink (2024.05.08)
・行政・規制
Apple Watchの心房細動履歴機能をMDDT(医療機器開発ツール)としてFDAが正式に認定 - GIGAZINE (2024.05.07)
日本への波及はいつ頃になるでしょうか。
FDA qualification of a new Medical Device Development Tool
(2024.05.01)
筑波大、米企業とAI分野で連携の構想表明:朝日新聞デジタル (2024.05.08)
筑波大・ワシントン大、NVIDIA、Amazonによる4社協定。期間は10年間。
日米首脳会談で共同声明された戦略的協定の一つと見られる。
筑波大学のプレスリリース(4月10日)
https://www.tsukuba.ac.jp/news/pdf/20240410040000-jp.pdf
「ワシントン現地10日に行われる日米首脳会談で、AIに関する日米の大学と企業による新たな連携の枠部身(1億1,000万ドル=およそ165億円)として共同声明に盛り込まれる見込みです。今回の合意もその一つで、Amazon社が2,500万ドル(およそ37.5億円)、NVIDIA社が2,500万ドル(およそ37.5億円)の支援を表明しました」