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第一線で活躍するには〜身体の故障こそが強み

症状を通して自分を見つめていく

アスリートの方に限ったことではないのですが、私が大切にしていることの一つに「症状を通して自分を見つめていく」という手法があります。
この手法の根本には、「何かしらの症状が現れるということは、それ自体が自分自身からのメッセージである」という捉え方があります。

私自身がこの手法を見いだしてから、数多くの方にも伝えてきましたが、この原理を利用することで、自分にとってふさわしい方向に意識を変換することができるようになります。

簡単ではありますが、今日は私の拙著から一部を抜粋し、このテーマについて案内していきます。以下、抜粋した内容になります。


症状から気づきを得てプレーの質を向上させる

身体に違和感が現れることは、運動を継続的にしていると誰にでもあることだと思います。たとえば、右肩が固い、腰が重いなどの症状が現れたときは、身体を通し対話をしてみることが大切です。

私の高校時代をふり返ると、毎日休みなく何時間も練習していましたから、身体に違和感どころか、痛みや重さがあることは当たり前だったように思います。
しかし、当時の右肩の痛みを通して、自分との対話が内側でできていたら、何かしら良い結果が現れていたかもしれません。

30代の後半になって、私は「高校生のとき、なぜ右肩に痛みがあったのか?」と問いかけていったことがありました。
そして、身体を観察し対話をしていくことにより、自分自身の力を出し渋る感情的な原因があるという答えを導き出しました。身体の奥に潜む、癒えていない心の傷が、右肩にまとわりついているのを観察できたのです。

これは、トラウマや癒やされていない心の傷などの感情が、身体の動作に対し影響を与えている一つの例です。肩を動かすということにブロックをかけている(障壁を作っている)ということです。

ここで説明したい大切なことは、もし競技スポーツをする選手がこのように感情的なブロックを持っていたら、プレーの質に大きな影響を与える可能性があるということです。
また、本来その人がもっている素質を大きく開き、それをプレーに活かしていくことも難しくなる可能性があります。

しかし、自分自身の内側で対話をし、感情的な問題を癒やしていった場合、その人の内側では大きな変化を感じられるでしょう。
たとえば関節であれば、可動域が広がる(動く幅が広がる)など自由度が増すことが考えられます。
また、意識の使い方にも大きな変化が現れるでしょう。私は、右肩に現れていた症状から、自分の内側に潜んでいた感情的な問題に気づきました。そしてそれを癒やしていくことにより、現在の自分自身の活動に対し、力を出し渋ることを止めることができています。

このように身体に現れた違和感やあらゆる症状には、たとえ古傷であっても、先に進むためのメッセージが含まれていることが多くあります。
身体に違和感が現れたときは、ターニングポイントだということのお知らせです。そのサインに気づいていければ、ひとつひとつのプレーも向上していくでしょう。 

身体の症状から答えをひも解く「ハート」のメソッド

私自身が右肩の症状を通して自分を見つめていったとき、実際には、そこに非常にナイーブな感情の問題が潜んでいました。何か大きなものに対して、自分が縮みあがっているような感じで、恐怖感のようなもの。
わかりやすく言うと、子どものころに父との間で体感した気持ちでもあるのですが、それだけではない、もっと大きなものに対する恐怖感のようなものでした。

そのようなトラウマ(過去の感情)を抱いていたからこそ、存分に力を出し切れなかったのです。少し専門的に言うなら、ボールを投げるときに身体全体を上手に使いきれていなかったため、右肩に負担がかかり、それが右肩の故障の大きな要因にもなっていたのでした。

もちろん高校時代のときに、この問題を解決していたら、もっと活躍していたと今では思えます。しかし、そのウィークポイントがあったからこそ、今の現実の中でひも解くことができ、安定感のある自分を保てています。

各種の症状に着目することが大切なのは、その部分にこそ、自分自身をひも解く「カギ」があるからです。そのウィークポイントと言える部分は、故障をしやすい箇所でもあります。

身体は自分自身を知るための教科書でもあります。さまざまな記憶が埋め込まれていて、それが自分自身の弱さにもつながっています。それを知っていくことが大切だからこそ、症状として現れてきてくれている。私はそのようにも捉えています。

あと一歩がでない
ここというときに力を出し切れない
同じ失敗をくり返してしまう、など、

人によってさまざまな悩みがあるかと思いますが、このような問題は、身体を通して、自分と対話をしていくことで解決していくことができます。

症状が現れることや、心の弱さと捉えられることがあったとしても、それを悪いことのように捉える必要はありません。

見方を変えれば、自分自身を成長させるチャンスです。

もっと自由に
もっと高みに進んでいくための
自分の内側からの案内なのです。


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