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安定経営の鍵は、経理体制の構築にあり!

医療機関の運営では、診療や患者対応だけでなく、スタッフ管理や設備の整備、さらには経営戦略の構築など、幅広い業務をこなす必要があります。その中でも見落とされがちなのが「経理体制の構築」です。しかし、経理体制は医療機関の安定した経営と持続的な成長において、非常に重要な役割を担っています。本コラムでは、経理体制の必要性とその構築ポイントについて詳しく解説します。

経理体制の必要性
経理体制とは、売上管理や支出管理、帳簿作成、税務申告など、医療機関のお金に関わる業務を一貫して行う仕組みのことです。この体制が不十分だと、以下のようなリスクに直面する可能性があります。

1. 経営の透明性が失われる
売上や経費を正確に把握できない場合、医療機関の経営状態が不明瞭になります。その結果、無駄なコストを見逃したり、必要な設備投資をためらったりするなど、経営判断に悪影響を及ぼします。

2. 税務上のトラブル
不正確な帳簿は、税務申告時のミスにつながり、税務調査や高額なペナルティを招くリスクがあります。医療機関は設備投資が大きく、収入源が複数あるため、税務処理が複雑になりがちです。

3. 資金繰りの問題
支払いのタイミングや税金の納付が適切に管理されないと、資金不足に陥り、医療機関の運営に支障をきたす恐れがあります。

4. 事業継続のリスク
突発的な資金ショートや税務問題による運営停止は、患者への医療提供にも深刻な影響を与えかねません。適切な経理体制がなければ、事業継続のリスクが高まる可能性があります。

経理体制を強化するメリット
健全な経理体制を構築することで、以下のようなメリットを得られます。

1. 経営の見える化
正確なデータに基づいて、どの部門が利益を生み出しているのか、どこにコストが集中しているのかを明確に把握できます。これにより、的確な経営判断が可能になります。

2. 税務リスクの軽減
正確な経理データによって税務申告ミスが減り、税務調査のリスクが軽減します。また、節税対策の実行も容易になります。

3. 資金管理の改善
支払いスケジュールが明確になることで、計画的な資金管理が実現し、キャッシュフローの改善にもつながります。

4. ストレス軽減
経理業務が整理されることで、経営者やスタッフの負担が軽減され、診療や患者対応により集中できる環境が整います。

経理体制構築のポイント
では、具体的にどのような点に気をつけて経理体制を整備すれば良いのでしょうか。以下のポイントをご参考ください。

1. 日々の収支記録を徹底
毎日の売上と支出を記録する習慣をつけましょう。これが正確な経理データの基礎となります。

2. 帳簿の定期チェック
毎月帳簿を見直し、正確性を確認しましょう。専門家にアドバイスを求めるのも有効です。

3. 税理士との連携
信頼できる税理士と密に連携し、定期的に情報交換を行いましょう。適切な助言を受けることで、税務リスクを軽減できます。

4. 経理ソフトの活用
クラウド型経理ソフトを導入することで、効率的かつ正確なデータ管理が可能です。技術の力を借りて業務を効率化し、本業に専念できる環境を整えましょう。

5. スタッフ教育
経理に関わるスタッフに対する適切な教育も重要です。基本的な経理知識を持ったスタッフが増えることで、情報の一貫性が保たれ、業務が円滑に進みます。

6. リスク管理体制の構築
緊急時の資金確保策や、突発的な経理トラブルへの対応策を予め考慮することで、リスクに強い組織体制を築けます。

まとめ
医療機関の運営において、経理体制の整備は避けて通れない重要な課題です。しっかりとした体制を築くことで、経営の透明性が向上し、税務リスクや資金繰りの悩みが軽減されます。また、経営者やスタッフが医療サービスの提供に専念できる環境が整うことで、患者へのサービスの質も向上します。 経理体制の強化に取り組むことで、医療機関はより安定した成長を遂げるでしょう。

一般社団法人九州メディカル・パートナーズ
理事 野田美樹

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